プチ小説・その2

くまみたいな人📎＠夢と感動を、東北に！ @miya_19870304

@miya_19870304さんは、「夜の病院」で登場人物が「怖くなる」、「蜂蜜」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927　　→整いました！題は「砲丸投げのあいつ」

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「あーあ、ついてないなあたし・・・」陽香は病院の一室でつぶやいた。「今頃はキラキラと輝いていたはずなのに・・・」陽香は高校1年生、陸上部に所属しているハードルの選手だ。8月の1年生大会では県記録にわずかに及ばなかったものの、ぶっちぎりのタイムで優勝。

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10月末に行われる秋季大会では県記録更新も狙えると、周囲の期待も高かった。大会3日前だった。最後のハードルを跳ぶときに左足がハードルに接触した。中途半端な体制で地面についた右足が折れる感触が、陽香にはまだ残っている。右足踝剥離骨折・・・全治2ヶ月、1週間入院の重傷だった。

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秋季大会に出られないこと、この時期の故障は他のライバル選手に差を詰められることになること、体力が戻るまでまた数ヶ月かかることも陽香には分かっていた。その悔しさで、夜になると毎日涙があふれた。

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入院して6日になるその日の夜も、陽香は病院のベッドでひとり泣いていた。泣いていてもしょうがないのは自分でも分かっていた。けど、今の自分がやれるのは足を固定しての腹筋くらい。そう思うと悔しくて涙が止まらないのだった。しかし、その日は外の様子がおかしかった。

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何か人が歩くような物音がする。しかも、自分の部屋の前を1回、2回と往復している。広い4人部屋に陽香一人しかいないのも彼女の不安を助長させた。子どものころからお化けなど信じなかった彼女も、さすがに「怖い」と思うようになった。足音が止んだと思うと、部屋のドアが開くのが見えた。

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「きゃぁ！」そういいながら、彼女は枕をドアの方向へ投げた。「いってぇ！」大きな声が病室に響いた。「佑一くん？！」陽香は、その声で誰が入ってきたのかがすぐ分かった。

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佑一は、陸上部で砲丸投げをやっている同級生だ。ちょっとシャイで、ちょっと女の子が苦手な・・・そんなタイプの男子。それが陽香の持っている佑一のイメージだった。そんな彼が、なぜここにいるのか。「いやぁ～、バレたか・・・」「バレるも何も、ここって病院でしょ？何で入ってきたの？」

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佑一をとがめる陽香。すると、佑一は持ってきた箱を机の上に差し出した。「あけてみなよ」佑一の言うままに箱を開けてみると、そこには「退院おめでとう」の文字が。「今日退院だったよね？ケーキなんかはじめて作ったよ。隠し味に蜂蜜入れてみたんだけどどうかなー？」

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ちょっと緊張しているのか、顔が赤らいでいる。そんな佑一を尻目に、陽香がつぶやく。「・・・バカ。私の気持ちなんて分かってないくせに」すると、佑一はこうつぶやいた。「分かってるよ。」佑一は間髪入れずに続ける。

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「消灯時間になるまでずっと練習してるのを見てるし、体調管理のために買い食いもしないって同じハードルの絵梨加が言ってたよ。だからこそ悔しかったろうな。でも心配すんなよ。お前の努力する才能があれば、すぐに県記録も塗り替えるさ。」

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「わかったふりしないでよ！」と陽香は怒鳴りつけた。けど、内心は嬉しかった。緩んだ頬がそれを証明していた。

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「佑一くんは何位だったの？」「10位。あと少しで入賞だったんだけどな。お前に負けないように頑張らないと！」そういう佑一の背中は大きく見えた。この気持ち、ひょっとしたら恋のはじまりかもしれない。

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以上！スポーツもので勝負しようと考えたらこんな感じに仕上がってしまった・・・