市川 大河氏『ごちそうさん』感想追えるだけの呟きまとめ

なんとか十一週から最終週(後日談込)までは見つけ出しました。
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【大嫌いっていわしたい】

市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 安斎の、和枝へのプロポーズには、どこにも光源はなく、遠くに小さなオレンジの灯がぽつぽつあるだけ。そんな中で訥々と自分のバックボーンを語る和枝。人として、女としての本音。それゆえ人は、騙される人生を歩むこともある。め以子が手にしたお守りに当るスポットライト。

2013-12-10 12:47:30
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 和枝の株仲間の話を聞く悠太郎。寒色の白昼灯の中で真っ白な椅子の布地が目に眩しい。ハレーションの中で「和枝ちゃん最近ついとるなぁ」という衝撃の話。この当時の5千円は、現代の数億に匹敵する。暖色の中俯瞰で和枝と悠太郎とめ以子を映し出す不安のアングル。

2013-12-10 12:53:23
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 安斎と向き合う和枝は、やはり寒色の中。「人を信じる事でしか、人は生きて行けず、そこに必ず存在する『裏切』の先ででも生きていかなければいけない」和枝の心意気が家長としての勤めを悠太郎に譲るが、それはまるで遺産分けのようにも見える。め以子にも「託す」和枝。

2013-12-10 12:59:49
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 夏の暑さが強調される悠太郎の職場。そこからコントラストを落とした照明で向かい合うめ以子と和枝。恋の終わりを示唆する照明設計とカメラワーク。和枝の人生にも一番の試練が訪れる。この物語世界にもきっと「悪役」はどこにもいないのだろう。

2013-12-11 12:47:12
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん ホルモン爺さんとめ以子のシーンでも、左手前にホルモン爺さんを配置して、右奥にめ以子を配置する演出は、二人の登場人物を丁寧に均等に心理的に刻み込む定番のシーン。そこで描かれる和枝の匂い袋の秘密。和枝の恋は「その先の全て」を察知した自傷行為なのかもしれない。

2013-12-11 12:49:47
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん コメディ調で語られる「焼き氷のシーン」と「安西の正体」その繰り返しで安西が偽物であったことを知る悠太郎。唖然として悠太郎を見守る西門家の女性三人には逆光気味のライティング。悠太郎が気付いたことは、おそらく和枝も内心で気が付いている。認めたくなかったのだ。

2013-12-11 12:54:55
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 一瞬見た夢に、それでも縋り付こうとする和枝。和枝の恋の終わり。窮屈な日常と、呪縛のような過去から「翔んで」みせようと思っていたのだ和枝は。せめて「翔んで」みせれば、自分が生きて来ていた時間が、無駄にならないと信じたかったのだ、和枝は。め以子の苦手な鰯が提案される。

2013-12-11 12:58:42
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 和枝から鰯料理を教わる事で、遡って和枝の人生や時間を肯定する事が出来る。「その時間」が無駄ではなかった事を証明できる。しかし和枝は姿を消す。この物語世界で「家族」と人の繋がりを象徴してきた「強烈なオレンジの照明」だけが輝く無人の部屋を残して。

2013-12-11 13:00:50
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 充満したガスの中、マッチを手に、全てを覚悟していた和枝。これを「朝ドラとしては正視に絶えない展開」と受け止めるか。それとも必死に歯を食いしばって強気に生きてきた和枝の、最後の同国の行方のありようを、見つめてあげるべきだと受け止めてあげるべきか。

2013-12-12 12:52:43
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「20年近う、えぇことなんか何もないんや!疲れたんや……」気丈に生きてきた和枝の弱音。しかしそれに希子が言う。「家の中でも一つもないの?寂しいからつけこまれたんや!」和枝の淋しさを全て抱きしめた上で、和枝を抱きしめる力が籠る。『淋しいのはお前だけじゃない』

2013-12-12 12:55:37
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「誰もが、それは和枝の再生だ『と』思ったのでした」最後の最後に来てのこのナレーションが齎す不安感には、得も言われぬぞっとする怖さを感じるだろう。明日と明後日。まだ最後のハードルを越えるだけの時間は残されている。

2013-12-12 13:01:37
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん さすが森下佳子節だ、と改めて思うのは。47歳の中年のおっさんから言わせてもらえば、ギスギスした嫁姑問題を繰り広げてきた西門家の女性は、め以子だけでなく希子も静も和枝も、全員がしっかり「女性として可愛い」のだ。それを踏まえて描けて確執を描いてきた森下節の凄さよ!

2013-12-12 13:12:51
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん を観ている今=うん。困難もあるけど、このまま行くだけできっと幸せも夢も掴めるよね、先が楽しみだ。  丁度一年前、#純と愛 を観ていた今頃=いやいやいや。まさかとは思うけど「このまま延々と今のままの繰り返し」じゃあるまいな?まさか……なぁ?

2013-12-12 13:40:44
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子のお腹に宿った新しい命はきっと「父の自覚を抱き始める悠太郎」に父を許させ、「母になれなかった自分を苛む静」に自分を許す契機を与える。家族に新しい命が宿る意義を明確に記す。かつて森下脚本は「女性の中に命が宿る」事で『白夜行(06年)』の全てをレスキューした。

2013-12-12 13:47:29
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 笑顔でめ以子を和ませようとする和枝。しかしその和枝の笑顔の裏に、暗い淋しい顔が浮き上がってくる。希子とめ以子の楽しげな会話も、きっと内側で和枝を切り裂いているのかもしれない。和枝の中に蘇る暗い記憶。人の幸せが他の誰かの不幸を呼び覚ます。その構図は生々しい構図。

2013-12-13 12:52:18
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん このタイミングでめ以子の祖母のナレーションが優しく言葉をかける。もちろん登場人物には聞こえるはずのない声だが、この物語にとって真なる意味のレスキューになっている。朝ドラはそのコンセプトから聴覚を重視するのが基本だが、『あまちゃん』といい技巧が凝らしてある。

2013-12-13 12:54:16
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 悠太郎とめ以子の中で、和枝の存在の「たおやかさ」が語られる事になる。そうか。この問題は「嫁VS嫁ぎ先女性陣」に悠太郎が手助けをして勝ち取る物語ではなく、悠太郎が介在するのはあくまで、自然な人間関係の隙間と立ち位置であったのだ。

2013-12-13 12:56:10
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん だからこそ、め以子はめ以子のやり方で和枝と向き合う。敵対するのでもやり負かすのでもない。「繋がり合う」ために、この先を「支え合いながら生きていく」ために。和枝の傷はまだ癒されてはいない。先日の「だが」のナレーションの怖さも解かれてはいない。しかし人々は繋がり合う。

2013-12-13 12:58:10
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「料理ってやっぱりその人の人柄が出ますよね」それは文章やイラスト全ての表現に通じて言えるものだが「食べる」ということはもっともっと人の生きる生理の根幹の問題であり「美味しい」ということは生きさせてくれた環境への感謝なのだ。「どうしてもあんたを好きになんかなれへん」

2013-12-13 13:00:14
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん そういやぁ。僕は一年前からしか朝ドラをしっかり見ていないが「年末には一回物語舞台を火事騒動祭りにしましょう」ってルールは、誰かが決めたの? NHK大阪的な?

2013-12-13 22:59:53
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 和枝の独白。それは和枝の中にあった自分への写し鏡のように「許される惨めさ」を吐露する和枝。それを追うめ以子と和枝の間に強烈な陽光が差し込む。「料理が人を表す」それを叫びめ以子を「試す」和枝。熾烈なアクションバトルよりも過酷な展開。和枝はめ以子から別れ言葉を引き出す

2013-12-14 12:49:58
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 陽光の月さす光の中で消えていく和枝。「誰も自分のことを知らない場所へ行きたい」和枝の最後のSOS。め以子のバイタリティが和枝を追い詰めた。これはある種の(性善説で組み替えられた)イジメの限界説を解体している状況ではあるが、そのどちらもが弱さを発端としている証左。

2013-12-14 12:52:52
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 人という生き物は100%の善人にも悪人にもなれない。中途半端なまま、ある程度の残酷さと、自己嫌悪で自分を殺す事が出来ない程度の優しさで「心」が築かれている。「ごちそうさんでした!」め以子はそれでも「大好きだ」と叫ぶ。そう叫ぶ事でしかめ以子は手を差し伸べられない

2013-12-14 12:56:18
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 日陰に隠れた和枝の顔と、陽光を浴びため以子の顔のカットバック。和解などどこにもなかったこの別れの清々しさは、BGMだけの恩恵ではない。そこには登場人物の劇的な変化などはありはしないが、そのタイミングでとうとう起きてしまった関東大震災。「皆生きてるってことだから」

2013-12-14 13:00:11
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