「アジア太平洋におけるアメリカの関与」についての考察

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fj197099 @fj197099

時期を失したが10/28にハワイのカハラ・ホテルでクリントン国務長官が行った外交政策演説、「アジア太平洋におけるアメリカの関与(America's Engagement in the Asia-Pacific)」につき概観しておきたい(http://bit.ly/a5tfAA)。

2010-11-01 17:38:37
fj197099 @fj197099

この演説は同長官の今年1月の演説(http://bit.ly/78piFa)と同様に米国のアジア太平洋地域に対する(再)関与を強調するものだが、前回は「アーキテクチャー」という概念による多国間協調を重視した内容だったのに対して、今回はヨリ包括的な内容となっている点が注目される。

2010-11-01 17:41:58
fj197099 @fj197099

具体的には、長官はこの地域における米国の関与の「ツール」として①同盟、②パートナーシップ、③地域機構の三つを挙げる。そして米国の「前方展開外交(forward-deployed diplomacy)の目的としてA. 経済成長、B. 安全保障、C. 価値の追求の三つを挙げている。

2010-11-01 17:44:41
fj197099 @fj197099

今回の演説には「アーキテクチャー」に対する言及がASEANについての一カ所しかなく、その分、多国間協調よりも同盟やパートナーとの協力を重視する内容となっている。この転換の背景にはやはり中国への見方が大きく変化したということがあるのだろう。協調の困難さが見えてきたためではないか。

2010-11-01 17:47:46
fj197099 @fj197099

同盟国への言及で注目されるのは、以前の演説(http://bit.ly/8XdMRS)では長官は韓国、日本、豪州と韓国を日本より前に持ってきたのに対して、今回は日本、韓国、豪州と順番を戻している事である。尖閣の問題で同盟国としての日本の重要性を再確認した可能性が高いのではないか。

2010-11-01 17:51:11
fj197099 @fj197099

また、目的として経済成長、安全保障、価値の追求と経済成長が他の二つより優先されている事が注目される。言うまでもなくオバマ政権は経済停滞を理由に中間選挙での敗北が確実視されており、一刻も早く経済の立て直しを行わねばならない状態にある。経済重視は国内の政治的文脈で理解すべきであろう。

2010-11-01 17:53:02
fj197099 @fj197099

米国の経済重視の姿勢はアジア太平洋地域に対する輸出の拡充を意味している。しかしこれは同時に輸出先の市場としての中国を重視せざるをえないことも意味する。安保や価値の次元では中国とは対決的にならざるを得ない訳であるから、米国がそれでも経済を最優先にしていることは示唆的である。

2010-11-01 18:03:48
fj197099 @fj197099

今回の外交演説が同盟を重視しつつも経済も強調する内容となっていることは、米国の対中戦略が未だに一つに固まりきっていないことを示唆しているように思われる。すなわち、米国は依然として安保面で中国をヘッジしつつ、経済面では中国との関係を強化したいと考えているのではないか。

2010-11-01 18:07:46
fj197099 @fj197099

対中牽制を行いつつ中国との関係を重視するのは別に矛盾した行為ではない。しかしここ1年で中国の対外行動には無視できない変化が見られた。米国はその変化をまだ決定的なものとは見ていないようであるが、しかし問題は牽制と関与の微妙なバランスを何時まで保ち続けることができるかという点である。

2010-11-01 18:09:37