作業療法の原点も教えてくれるOBP2.0
OBP2.0本は相当ハードコアな議論になっている。わずか一章に対して文献が100を越えるとか、笑。文献数は洗練するときにかなり絞り込むけど。わかりやすい内容かつ類書がないぐらい深い議論を目指しますぜ。
2014-04-05 15:51:52アメリカではじめて書かれた作業療法の教科書。著者は看護師のトレーシー。非常に面白いです。関心のある人はどうぞ。→ Studies in invalid occupation https://t.co/FylTgXL0dS
2014-04-06 12:54:49現代作業療法でOBPの重要性が強調され、それは「作業パラダイム」の現代化を意味しますが、本書は作業パラダイムの中核に位置します。私たちは何を現代化しようとしているのか確認しておくとよいかも。 https://t.co/FylTgXL0dS
2014-04-06 12:58:06作業パラダイム初期は作業の質を重視するか作業の過程を重視するかをめぐって信念対立していたんだよ。結局、後者に属していたバートン(作業療法という名前を提唱した人)や先ほどのトレーシー、スレイグル、マイヤーたちが生き残って作業の過程と治療的価値を重視する考えが作業パラダイムになった。
2014-04-06 13:45:22OBPは作業パラダイムの現代化といっても作業パラダイム自体もいろいろあったわけ。作業療法の名付け親のバートンは病気に薬を処方するみたいに作業を適用していけば良いと考えていたし作業パラダイムの中にも医学モデルに通じる発想はあった。
2014-04-06 13:47:37OBPは作業パラダイムの現代化だと言われているけども、案外その作業パラダイムがどんな考え方だったのかを、ちゃんと理解していない人が多いんだよね。そんな状態で現代化したものは、はたして本来の作業パラダイムに根ざしているのか、イメージとしての作業パラダイムになってしまっているのか。
2014-04-06 13:50:49作業療法の名付け親のバートン(建築士)はモリス(芸術家)の影響を強く受けていて、そのモリスはマルクス主義の影響を強く受けていた、と。作業療法のもともとの設計思想の全容がだいぶ見えつつある。
2014-04-06 17:47:31作業療法は本来「何のために」開発されたのか。作業療法の誕生から現在まで続く遺伝情報は作業療法に関する古典から丁寧に読み解かないと理解できないわ。かなり複雑。
2014-04-06 17:49:40道徳療法、アーツアンドクラフツ運動の影響を受けて100年前に作業療法が誕生したとき、なぜアート療法、クラフト療法、活動療法、道徳療法、社会療法等ではなく作業療法(occupational therapy)になったのか。occupationが出てきた謎もたぶん解けた。次の本で書くか
2014-04-06 18:00:30最初の30年間はOccupational Therapy: The First 30 Years 1900 to 1930が最強。“@otfighter: 「誰の弟子が誰で、どんな考えを持ち帰って〜」という、今日本で実際に臨床で使われる概念や技法について、物語的というかナラティ”
2014-04-06 18:03:11例えばアーツアンドクラフツ運動と作業療法の関係はこの文献に詳しい。けど、バートンが影響を受けたモリスがマルクス主義の影響を受けたとかまではわかりません。多数の文献を読込んで、点と点をつないでいくと解き明かせます。興味ある方はどうぞ。 http://t.co/wHcGqrmP10
2014-04-06 18:08:57ライリーはThat man, through the use of his hands as they are energized by mind and will, can influence the state of his own health.といいました。有名な命題。
2014-04-06 19:39:14なぜライリーはuse of hands(両手の使用)と表現したのか。あのライリーが「PTは下肢、OTは上肢」みたいなヘボいOT理解で「両手の使用」などと言うわけありません。ではなぜそう表現したのか。その理由がいまいちわからなかったのですが、それもクリアに理解できるようになった。
2014-04-06 19:41:27「昔は革細工、木工などだできたら生活ができた。だから昔の作業療法でそういった手工芸が用いられてきた。でもいまは手工芸ができても生活できない。教育現場では現代の生活にあった作業種目を教えるべき」という議論をたまに聞きますが、原典を調べるとこの作業療法理解はズレていると思いました。
2014-04-06 19:44:45作業療法の創始者達の文献をよく調べると、手工芸に取り組む過程に人間の尊厳の回復という効用があると考えていたことがわかります。「これできたら生活ができるか」「実際の環境で行う作業か」という観点にだけ依拠して作業の価値を判断していたわけではなく、もっと多様な観点から価値を認めていた。
2014-04-06 19:50:29革細工、木工、織物などの手工芸は人間性の回復、人間の尊厳の復活という極めて人道主義的な理由で選ばれていた側面があります。もちろん趣味活動として、仕事として、という側面もありますが、手工芸の過程自体に人道的配慮という色合いがあった。これは文献を読めばハッキリわかる。
2014-04-06 19:54:56手工芸が人間性の回復(人間らしく生きること)につながるという感度は、当時の時代的背景を理解しないと感覚的に理解しにくいです。当時、工業化社会が著しく進展し、人間の手作業の価値が失われる危機感を背景に、反動形成で手工芸の復活に人間の尊厳の回復を感じ取った人たちがいたわけです。
2014-04-06 19:59:21では人間性の回復(人間らしく生きる)とはどういうことかという問題が残ります。最近の作業療法学に関する文献を読むと、作業ができることが人間らしく生きることだと論が展開しますが、実はこれは解答になっていません。作業ができることが人間らしく生きることとなぜ言えるのかという問いですから。
2014-04-06 20:14:26とここまで書いておいて、ここから先は今書いているOBP2.0の理論書で「論証」していきます、笑。ここから先は先行研究を丁寧に紐解くだけでは理解が進んでいかない新規性のある理路になるので、出版までしばしお待ちくだされ〜☆。
2014-04-06 20:21:31ちなみにここで書いた内容は4月からの学部生への講義(作業科学)で丁寧に教えまする。作業療法を根底から学びたい人はぜひご入学ください、笑。たぶんどこよりも深く学べると思います。
2014-04-06 20:29:28