数物系おすすめ入門教科書(分野別)

新学期なので、数物系のおすすめの教科書をリストしました
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まずは大学1年で習う科目の教科書

シータ @Perfect_Insider

大学の「教科書」というのは、高校までと違って「教科書だから必ず必要」というわけでもないし、書店で変える普通の本なので高校の教科書のように各社とも均質というものでも全くない。授業に出て指定教科書の必要性を見極めたうえで、自分に合う本を探してくる、というのが大学での教科書選び。

2014-04-07 23:08:45
シータ @Perfect_Insider

というわけで、数物系の分野別教科書紹介でも。難易度や特色も書いておくので、自分に合うものを見つけてもらえればと思います。

2014-04-07 23:10:48
シータ @Perfect_Insider

【力学】力学のおススメ教科書は実は難しいのだが、原島『力学』や藤原『物理学序論としての力学』あたりは手堅くまとまっている印象。副読本としては、コマやブーメランなどの豊富な話題を扱うバーガー・オルソン『力学―新しい視点にたって』が面白い。

2014-04-07 23:12:53
シータ @Perfect_Insider

【熱力学】迷わず田崎『熱力学――現代的な視点から』を一冊目に薦める。操作的な観点から、マクロ現象論としてごまかしを排した簡潔な体系を提示してくれる。二冊目としては、いきなりエントロピーを公理的に導入する清水『熱力学の基礎』が相補的。

2014-04-07 23:15:55
シータ @Perfect_Insider

【電磁気学】竹内『高校数学でわかるマクスウェル方程式』で復習したのち、砂川『電磁気学』(岩波)が順当なステップだと思う。進んで勉強したい人は砂川『理論電磁気学』がマクスウェル方程式を出発点にしており、ハイレベルな内容まで進める。

2014-04-07 23:18:00
シータ @Perfect_Insider

【量子力学】前期量子論から入るなら、マッカーリ、サイモン『物理化学(上)』が分かりやすい。そのあとはスタンダードには演習形式の猪木・河合『量子力学1・2』、公理的アプローチが好きなら清水『量子論の基礎』。もう少しハイレベルにはサクライ『現代の量子力学』などがある。

2014-04-07 23:20:02
シータ @Perfect_Insider

【解析力学】大貫『解析力学』か並木『解析力学』あたりがスタンダード。数学的構造を理解したければアーノルド『古典力学の数学的方法』は有名なハイレベルな本。古典力学は終わった学問だと思っている人は大貫・吉田『力学』には現代的な展開がいろいろ出ている。

2014-04-07 23:23:06
シータ @Perfect_Insider

数学については、まずネットで読める教科書、田崎「数学:物理を学び楽しむために」http://t.co/F0tgkWQWVEが非常に充実しているので、必要なページだけ適宜印刷して読むだけでもなかなか便利。

2014-04-07 23:25:10
シータ @Perfect_Insider

【解析】教科書指定だった金子『数理系のための基礎と応用 微分積分1・2』は分かりやすい教科書だった。εーδがとっつきにくい人は、やや変わった本として高瀬『dxとdyの解析学―オイラーに学ぶ』もある。高木『解析概論』はややハイレベルな名著として有名。

2014-04-07 23:27:12
シータ @Perfect_Insider

【線形代数】既に書いた田崎HP(http://t.co/F0tgkWQWVE)がかなり充実している。定評ある教科書は斎藤『線形代数入門』あたりか。石井『線形代数講義』は、徹底して線形変換の観点から議論の枠組みを構築している本でかなり変わっているけど面白い。

2014-04-07 23:30:17

日にちが変わって、ここからは学部3・4年向けの話

シータ @Perfect_Insider

大学初年次より先の内容についても、やはり授業開始シーズンでニーズがあるかなと思うので書いておく。なお、数学の本はあくまでも「物理学徒が」勉強する、という観点から選ぶので、きちんと数学自体をやりたい人はもっと高度な本を選んだ方がいい可能性は高い。

2014-04-08 23:06:31
シータ @Perfect_Insider

【統計力学】基礎固めは田崎『統計力学1・2』がマスト。そのうえで、相転移や臨界現象をやるなら西森『相転移・臨界現象の統計物理学』、ブラウン運動や線形応答などの非平衡に乗り出すなら吉森明「非平衡物理学」http://t.co/RfCTdSGPIuが読みやすい。

2014-04-08 23:08:36
シータ @Perfect_Insider

【相対論】特殊、一般とも簡潔かつ要を押さえて書いてある藤井『時空と重力』はとっかかりにはわりとよいと思う。きちんと一般相対論をやるなら内山『一般相対性理論』が定評がある。分からなくなったらテンソル解析の本を別個読んで勉強すると分かりやすくなる。

2014-04-08 23:11:44
シータ @Perfect_Insider

【場の量子論(物性)】高橋『物性研究者のための場の量子論(1・2)』は個性的だが読みやすい。アルトランド、サイモンズ『凝縮系物理における場の理論(上下)』が大著だが正当な感じか。永長『物性論における場の量子論』は内容は高度だが良書。

2014-04-08 23:14:50
シータ @Perfect_Insider

【固体物理】一般の固体物理と銘打った教科書は、大体各論つめこみで読んでいてもあまりすっきりしない。体系的教科書ではないがアンダーソン『凝縮系物理学の基本概念』は物性物理のよい視座を与えてくれる。斯波『固体の電子論』は重要トピックスをよくまとまった感じで押さえている。

2014-04-08 23:17:57
シータ @Perfect_Insider

【量子情報・基礎論】量子コンピュータ等はニールセン、チャン『量子コンピュータと量子通信(1~3)』がとっかかりにはよい。量子基礎論の稀有な教科書はペレス『量子論の概念と手法』、最近だと谷村「21世紀の量子論入門」(『理系への数学』の連載記事。出版されると聞いたが…)が良解説

2014-04-08 23:20:01
シータ @Perfect_Insider

【複素解析】チャーチル、ブラウン『複素関数入門』はごまかしなく丁寧に書いてある入門書。副読本としては高橋『複素解析』が普通の本には出てないようなトピックスもいろいろと押さえていて良書。

2014-04-08 23:23:05
シータ @Perfect_Insider

【ベクトル・テンソル解析】ベクトル解析の基本的なところは田崎HP(http://t.co/F0tgkWQWVE)でOK。数学的にがっちり詰めるならスティーンロッド『現代ベクトル解析』は公理的アプローチの教科書。テンソルは田代『テンソル解析』が簡潔でよい入門書。

2014-04-08 23:26:10
シータ @Perfect_Insider

【幾何】トポロジーをやるなら、まず位相を松坂『集合・位相入門』で学んだうえで、田村『トポロジー』を読むのが入門としてはよいと思う。微分幾何は小林『曲線と曲面の微分幾何』が読みやすい。さらに進んで学ぶなら、ナッシュ、セン『物理学者のためのトポロジーと幾何学』がファイバー等まで出てる

2014-04-08 23:29:15
シータ @Perfect_Insider

【群論】群論は目標がないと何がやりたいのかわからなくなって面白くなくなる印象。なので「5次方程式の解の公式の不在」をターゲットに据えて周辺トピックスを拾えるスチュアート『明快ガロア理論』は読みやすかった。最近出た結城『数学ガール ガロア理論』も評判が良い。

2014-04-08 23:31:30
シータ @Perfect_Insider

【確率論】入口としては舟木『確率論』が分かりやすかった。離散状態の確率過程ではデュレット『確率過程の基礎』は具体例が豊富。きっちりとやるには伊藤『確率論』は中身が非常に濃い。

2014-04-08 23:34:35