ヒフウ・イン・ナイトメア・フロム・リューグー#6

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@nezumi_a

◆知る◆これから数十ツイートほど、ニンジャスレイヤー/東方プロジェクトの二次創作をツイートします。目障りに感じたらリムーブ、ミュート、ブロックを推奨です。◆定形◆

2014-04-10 18:41:05
@nezumi_a

◆馬鈴薯◆本作は以前に作られた同人誌の内容であり、いうなれば再放送めいたものである。またこれはあくまで二次創作であり、原作であるニンジャスレイヤーならびに東方プロジェクトの本編とは一切関係ありません ◆長葱◆

2014-04-10 18:41:59
@nezumi_a

◆さだめ◆また、更新中にニンジャスレイヤー本編の翻訳更新が始まった場合は、しめやかに中断するものとする。ただしダイハードテイルズ側はこれに含まない 前回掲載分はこちらから http://t.co/GAfvm3ERch ◆鋳◆

2014-04-10 18:42:48
@nezumi_a

「で、どこに行けばいいのよ」秘封倶楽部は迷子になっていた。運良く敷地内に入れたまではよかったが、入り江の生簀プールを繋ぐキャットウォークは足場の途中で跳ね橋めいて途切れている区画があり、迷路と化しているのだ。1

2014-04-10 18:48:43
@nezumi_a

迷う原因は他にもあった。バイオ金魚の案内は安定せず、行ったり来たりを繰り返しているのだ。「それで、このキンギョが海神だとして、どうすれば私は花火を楽しめるのかしら?」「論が飛躍しているわよ蓮子」「そもそもなんでそんな姿なのよ」細かい経緯を聞いていないのはメリーも同じだった。2

2014-04-10 18:51:46
@nezumi_a

「やっぱり信仰の減少かしら?」首をかしげる蓮子。「でも地元の人たちはお祭を欠かさないくらいには覚えているみたいだけど」メリーが反論する。今時珍しい信心深い民とすら言える。花火の件を知る蓮子の言葉にキンギョが俯く。それを見たメリーは器用な魚だな、と思った。3

2014-04-10 18:54:35
@nezumi_a

「お社を建て直して奉ればいいんじゃないの?」人々が信仰を失ったならともかく、ここなら問題はないように思える。「どうもそれで済む話じゃないみたいなのよ」メリーが首を振る。「力を失ったと言っていたわね、原因は?」「聞いてみるわ」根本の問題が判らなければ対処も難しい。メリーは問う。4

2014-04-10 18:59:44
@nezumi_a

(アー、アー、ツナミ・ニンジャ=サン聞こえますか)(なんだ)すぐに応答があり、メリーの意識の半分がコトダマ空間に接続した。蓮子と暗い砂浜の光景が重なって視える。(このままでは朝になってしまいます)(ダマラッシェ!)(手掛かりをください、形とか大きさを)メリーは一喝を無視する。5

2014-04-10 19:06:46
@nezumi_a

メリーが交信しているらしい間に、蓮子は周囲を見回す。足元が金網一枚の下に海という落ち着かない状況だが、歩くに問題はない。波の音が存外大きい。「一時四十八分二秒。まぁナビゲーションがいるだけいつもの探索よりはマシかしら」「夜明けまではまだあるわ。余裕よ」6

2014-04-10 19:08:46
@nezumi_a

海神の話はこうだ。かなり前に人間と戦い敗れ、契約があるために海を守って細々と暮らしていたが急に力が衰えた。その為、天候の制御が出来なくなり、海が荒れ始めた。どうにかしたいが力が出ない。というか、このままでは衰弱死する。「それで、天気予報に無い豪雨が起こるわけか……」7

2014-04-10 19:11:47
@nezumi_a

蓮子は天気予報と実際の気象データを見比べる。「顕著ね」異常気象と工事の時期は面白いほどに一致していた。仕掛けが分かれば単純な話だが、普通の人間はこの解答に辿り着くことは出来ない。「手っ取り早く力を取り戻す方法?あるじゃない」蓮子が言った。「生贄なんて討伐隊が出るわよ」「冗談よ」8

2014-04-10 19:15:53
@nezumi_a

歴史に潜む人類の結社。魔を狩り闇を祓う組織。孤高のダークハンター。それらは独自の正義を持っている。この世の常識の通用しない世界と向き合う彼らは狂人と紙一重であり、同じ夜を歩く二人にとって危険な存在となる事もある。「信仰を取り戻すには最低でも天候異変を治める必要があるわ」9

2014-04-10 19:22:12
@nezumi_a

「肝心の通力が衰えてるんでしょ?」話題がループしはじめた。(そこじゃ。ワシの力が衰えたのは心当たりがある)(というと?)(角じゃ)「つの?」思わず声に出すメリー。(左様。この地を治める約束をした時、ワシは角に力を授けて預けたのじゃ)「ああ、伝承で折られたっていうアレね……」10

2014-04-10 19:25:51
@nezumi_a

「どういう事?一人で納得してないで説明しなさいよ」会話に入れない蓮子が焦れてきた。メリーは軽く解説をした。「なるほど、バッテリー付きのアンテナみたいなものか……」「本体が弱ったからアンテナ側のバッテリーを回収しようというわけね」蓮子なりに調べた情報もあるので理解が早い。11

2014-04-10 19:28:29
@nezumi_a

(オヌシらの言う事はよくわからんが、角が戻ればもう少しマシにはなるじゃろう)「天候異常が回復し、ご利益があるとわかれば信仰も途切れない。なるほど話はわかったわ。それで?角はどこにあるの?」方針が明確になり蓮子に張り合いが生まれた。(それは)「それは」12

2014-04-10 19:32:06
@nezumi_a

ツナミ・ニンジャと視覚を共有するメリーも、暗黒の中に緑のグリッド線が引かれただけの状態では、目標の正確な座標がわからない。上空なのか地中なのか、どれだけ離れているのか、その目安となるものが存在しないのだ。「下手をしたら工事のどさくさで地中に埋まっているかもしれない……」13

2014-04-10 19:34:30
@nezumi_a

「判らないで探し物を頼もうっての!?」「アイエッ」(アイエッ)蓮子の剣幕に一人と一匹が竦みあがった。(い、いや、社から持ち出された事は判るのじゃが、いかんせんこのナリじゃ。海から出られんし、力もないから位置を割り出す精度が出せないのじゃ……)もはや海神の威厳は無い。14

2014-04-10 19:36:51
@nezumi_a

「あっちの、方……かな?」自信なく指差すメリーに蓮子が言った。「そうじゃなくって!私の目はどういう能力だか言ってみなさいよ!バカメリー!」「エ……?アッ!」メリーの理解が及ぶ前に、蓮子はメリーの手を掴んでいた。指が触れ、手が絡む。「「ンアーッ!」」15

2014-04-10 19:39:34
@nezumi_a

メリーの視界に強烈なノイズが走った、ラジオが混線するように蓮子の存在が重なってくるのが分かる。ノイズが収まるとコトダマ空間側の視界にも蓮子の姿があった。「……どう?」恐る恐る、とメリーが問う。蓮子は目を閉じ顔を顰める。「ええ……大丈夫、私にも『視える』わ」蓮子は呻く。16

2014-04-10 19:42:18
@nezumi_a

これまでもメリーの助けを借りて同じ世界を視る事が出来た。どうやら今回も成功したらしい。「星が見えない。あの光は何?月じゃない」蓮子が空を見上げ言った。その言葉に、メリーは鳥肌が立った。自分の見ている01の事象に蓮子が踏み込んでいる。それがどうしようもなく危険な事に思えてきた。17

2014-04-10 19:48:58
@nezumi_a

「蓮子、手短に……」「判ってる……、私は、あまり居られそうに無い……」今の視界はメリー経由で齎されている。何度か経験してきたが、今回はいつもよりも負荷が大きい。氷の浮いているプールを泳ぐような寒さと、硬い障害物を意識する。自由な往来を阻害する物が浮いているように感じる。18

2014-04-10 19:52:02
@nezumi_a

冷や汗を流している実体側の蓮子に、メリーは自分の特殊性を痛感する。「さあ、どっちにあるの!?」蓮子は意識をヤスリ掛けされるような感覚に耐えながら叫んだ。「あれじゃ」黒い世界に辛うじて光点がいくつか見えた。「どうだ、判りそうか?」手元のキンギョが喋った。「え、これ喋るの?」19

2014-04-10 19:55:05
@nezumi_a

「ドーモ、ツナミ・ニンジャです」ツナミと名乗るキンギョに重なるように、青銀色の光点が見える。「こんにちは、宇佐見蓮子よ」「蓮子はさっきまで私が何と会話していたと思っているのかしら」「てっきりメリーの妄想かと」「テメ00101ッコ010ラー!」メリーの叫びが飛沫となって弾けた。20

2014-04-10 19:58:56
@nezumi_a

「それより角の場所を特定してくれんか……」会話に入りにくいのか、ツナミが若干萎縮しながら提案する。「任せて、座標の感覚には自信がある」右手に感じるメリーの手の温かさに縋るように握り返し、蓮子はザリザリと魂が削られる感覚に耐えながら精査を続ける。「キツイけど、判ってきたわ……」21

2014-04-10 20:02:50
@nezumi_a

「同じ色の光が少し向こうにある……そうね、地下三階くらいの深さ」「やはり高さが違うのか!」違和感の正体に気付き、得心の声を上げるツナミ。「ちょっと黙ってなさいよ!」蓮子は必死に自分が見ている光景と、入り江の地形データとを照合する。ふと、蓮子の視界に別の光点が見えてきた。22

2014-04-10 20:04:34