茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1213回「編集者という、仕事」

脳科学者・茂木健一郎さんの4月15日の連続ツイート。 本日は、昨夜に受けた、一本の電話
5
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1213回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨夜に受けた、一本の電話

2014-04-15 07:12:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(1)熊本県の山鹿市の八千代座でのイベントが終わり、打ち上げ会場に歩いているとき、携帯電話が鳴った。出て見ると、新潮社の北本壮さんである。「ああ、北本さん!」と言うと、「週刊新潮の北本です」という。「えっ」と反応すると、4月1日から、週刊新潮に移ったのだという。

2014-04-15 07:13:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(2)北本さんには、自著の単行本や翻訳書でお世話になってきたのだが、週刊新潮編集部に移ったというのは、驚きだった。それで、北本さんの同僚の方から、コメントを求める取材があったので、打ち上げ会場の外でお話した。今週号か来週号に、掲載されているかもしれません。

2014-04-15 07:15:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(3)新潮社は週刊新潮、文藝春秋は週刊文春という週刊誌を持っている。入社直後にこれらの雑誌に配属される編集者もいる。そして、これらの雑誌で、外部ライターが署名して書いているもの以外は、基本的に編集部にいる編集者たちが記事を書いているということである。

2014-04-15 07:17:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(4)北本壮さんにせよ、金寿煥さんにせよ、あるいは、養老孟司さんや内田樹さんなど、大物ばかり担当している足立真穂さんにせよ、新潮社で私がお世話になっている編集者は、みな、その気になれば自分で文章を書いて、本も出せるくらいの実力を持っている方ばかりである。

2014-04-15 07:19:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(4)実際、新潮社で『考える人』を創刊した時の編集長、松家仁之さんは、その後、プロの作家になった。新潮社や文藝春秋が典型だけれども、私の抱く編集者のイメージは、時に著者よりもむしろ文章力がある人たちが、敢えて黒子に徹しているという一つの美学である。

2014-04-15 07:21:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(5)筑摩書房の増田健史さんにせよ、NHK出版の大場旦さんにせよ、実力のある編集者は、文章を生み出す力が強い。実際、業界内では、著者から上がってきた原稿がダメなものである場合、編集者が書き直してしまうことが時々あると聞く。そこを含めての編集プロセスである。

2014-04-15 07:23:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(6)本を書くようになって、しばらく経った時、原稿を書いている時に、担当編集者を読者として想定していて、そのことによって文章が変わるということに気づいて大いに驚いた。それくらい、編集者の役割は大きい。もっとも、これは一番よく機能した場合であって、そうでない場合も時々ある。

2014-04-15 07:24:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(7)商業出版である以上、売れるということを一つの命題として編集者は働く。PHP研究所の丹所千佳さんのように、個人的には大いに深い趣味の世界を持っていて、それを隠し味として、一般に向けた文章の編集をしている編集者も多い。売れなければならぬ、しかし、自分の味も出したい。

2014-04-15 07:26:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

へし(8)北本壮さんが週刊新潮に移ったという電話をいただいて、編集者をめぐるさまざまを思い出した。新潮社は、一人の著者を担当する編集者が基本的に変わらないが文藝春秋は変わる。一説には、文春は芥川、直木の両賞を持つため、特定著者との関係が強まり過ぎないようにするためだとも言われる。

2014-04-15 07:28:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1213回「編集者という、仕事」でした。

2014-04-15 07:28:50