「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」「ド、ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。テルビューチェです」慌てて立ち上がり、アイサツを返すテルビューチェ。「ニンジャスレイヤー?ふざけた名前しやがって、テメェもニンジャだろう!」「その通り。ニンジャを殺す為だけに存在する。オヌシも殺す」1
2014-04-14 18:30:51「何をバカな……ッ」笑い飛ばそうとしたテルビューチェは、目の前の赤黒のニンジャから発せれられる殺気に一歩下がりかけた。自分に宿るニンジャソウルが恐怖で萎縮しているのを感じたのだ。(バカな、たかが狂人にこれほどのプレッシャーだと!?)2
2014-04-14 18:34:44テルビューチェは長さ五十センチ程のノコギリめいた武器を抜いた。自分の名前と同じ武器、テルビューチェだ。ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構える。「この施設は何だ。ニンジャは何人居る。言え、そして死ね」「バカめ!テメェに教えて何になる!イヤーッ!」テルビューチェが斬りかかった。3
2014-04-14 18:38:08「イヤーッ!」「グワーッ!?」金属音!ニンジャスレイヤーは振り下ろされるノコギリめいた武器をブレーサー(腕部鉄甲)で弾き、すかさずのボディブロー!カウンター!テルビューチェは身体をくの字に折り悶絶!手甲に弾かれたテルビューチェの持つノコギリめいた武器は、一部の刃が欠けている!4
2014-04-14 18:41:14防具でありならがら敵の武器を破壊する恐るべき性能はエドの時代から受け継がれる職人のワザマエ!「オゴーッ!」悶絶するテルビューチェにニンジャスレイヤーが襲い掛かる!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!アバーッ!」5
2014-04-14 18:43:44膝を狙ったケリ・キック!鳩尾に高速ダッシュ肘打ち!そして肩から背中を叩き付けるボディチェック!ゴウランガ!ニンジャスレイヤーのカラテが炸裂!テルビューチェが一瞬で壁まで吹き飛ぶ!激突の衝撃で壁に大の字の亀裂!「オゴーッ!」テルビューチェは膝と肋骨の大半を砕かれ痙攣し崩れ落ちる!6
2014-04-14 18:49:10「バカな……こんなカラテ、デタラメだ……」「ハイクを詠め。テルビューチェ=サン」死神めいた足取りで歩みを進めるニンジャスレイヤー。だが瀕死のテルビューチェの目が不吉に光った!(そうだ、もっと近寄れ。俺のサメ・バイトの間合いに入った時がキサマの最期!)あと三歩!二歩!一歩!!7
2014-04-14 18:55:24「死ね!ニンジャスレイヤー=サン!サメ・バイト!」テルビューチェが頭巾を引き裂きながら跳躍!ナムサン!一瞬でテルビューチェの口が大きく裂け、サメめいた歯列が現れた!テルビューチェは頭部をバイオサメに変化させる事の出来るバイオニンジャだったのだ!コワイ!「「イヤーッ!」」8
2014-04-14 18:58:15一瞬の静寂。テルビューチェのサメ・バイトは躱され、ニンジャスレイヤーのチョップが一瞬早くテルビューチェの胸を貫通していた。鮮血に染まるその手には……おお、ナムアミダブツ!未だ脈打つテルビューチェの心臓!「ア……アバッ……!」9
2014-04-14 19:01:19テルビューチェはビクリと痙攣、最期の力を振り絞り目の前のニンジャスレイヤーを噛み砕こうとする。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは腕を引き抜きテルビューチェのサメ・バイトをすり抜ける!噴き出す鮮血!握り潰される心臓!「サヨナラ!」テルビューチェは爆発四散!10
2014-04-14 19:06:06爆風がニンジャスレイヤーのマフラーめいた布を靡かせる。ショッギョ・ムッジョ。ヨウカイヘンゲ・ジツとバイオボディのハイブリッドニンジャは、その実力を発揮する事なく死んだ。相手の力量を見誤れば死ぬ。これがニンジャのイクサだ。ニンジャスレイヤーはザンシンを解くと周囲の気配を探る。11
2014-04-14 19:09:27ガンドーの言っていた侵入者が居た筈だが、既にその姿は無かった。ニンジャスレイヤーは気持ちを切り替える。負傷は皆無、敵は未だ健在。先ほど察知したソウルの持ち主が居るはずだ。油断禁物。敵の状況を知るべくガンドーと連絡を取ろうとしたその時、ガンドーからの通信が舞い込んできた。12
2014-04-14 19:12:46「オイオイオイオイ!なんだこれ!」ニンジャスレイヤーがテルビューチェを爆発四散させる僅か前。ガンドーは自分が敵施設内である事を忘れて声を上げた。最初からここが単なるマグロ養殖場では無いことは承知していたが、ハッキング開始からわずか三分でこの研究所の所業が暴かれ始めた。14
2014-04-14 19:16:13違法マンボウ粉末?そんなものは子供のイタズラだ。ニンジャスレイヤーの言うマグロ爆弾もすぐにログに出てきた。だがマグロ爆弾すらカムフラージュだ。第二コントロール直下の施設に、恐るべきクローンプラントがある。クローンヤクザはガンドーにも馴染みがある。15
2014-04-14 19:18:45ヨロシサンの影の主力商品。今更驚くに値しないと思っていた。先日も鹿と人間を縫合するという悪夢のバイオ騎兵を生産している現場を暴いたばかりだ。「ブッダ……」今回の件はそれと同等かそれ以上の悪夢だ。ガンドーはニンジャスレイヤーに通信を繋ごうとし、その一瞬前にコマンドを中止した。16
2014-04-14 19:21:07全てを知らせるべきか。ガンドーは迷った。ニンジャスレイヤーのニンジャとそれに与する暗黒メガコーポに対する憎悪は苛烈だ。この事実を知れば、怒りの矛先は施設全体に向くかもしれない。だがマグロ養殖場が壊滅すれば周辺住民は働き口を失い、キョート全体の食糧事情が悪化するやもしれぬ。17
2014-04-14 19:25:07「全てが悪ってわけじゃねぇけどよ、コイツは見過ごせねぇだろ……」マグロ爆弾、マリンヤクザ、最近の事故。全て線で繋がった。己の正義に掛けてこれを看過する事は出来ない。かつてのあの日、自分は闇を照らすカラス・ライトになると誓ったのだ。ガンドーは深呼吸、ニンジャスレイヤーを呼ぶ。18
2014-04-14 19:29:00「どうした、ガンドー=サン」発信から一秒で応答があった。「これを見てくれ」ガンドーは細かい説明を抜きに監視カメラの映像をリンクさせた。「なんの冗談だと思う?」ガンドーは発見したばかりの情報をニンジャスレイヤーの携帯UNIXへ送信する。「これは……」19
2014-04-14 19:31:58映し出された映像……そしてマリンヤクザのデータにフジキドは言葉を失った。「マグロ爆弾どころの騒ぎじゃねぇ。この前の鹿騒動も酷かったが、コイツは……」ニンジャスレイヤーにはガンドーの言葉も聞こえない。半ば強引に決定した今回の突入作戦だったが、想像以上の事態だ。20
2014-04-14 19:34:30そしてデータから確信する。マグロ爆弾、更にはこの悪夢のようなバイオヤクザこそが近海の漁船沈没事故の元凶。マリンヤクザによる漁船襲撃は戦闘訓練と漁師の仕事を奪い、水産加工場の労働力として徴用する非情なアブハチトラズ。ここもまたヨロシサンの邪悪な前線基地だったのだ。21
2014-04-14 19:39:12昼間見た合同葬儀の光景がフジキドの脳裏に蘇る。家族同然の隣人を亡くし悲嘆にくれる住人達。船を失い、働き口を無くした者。父を失った事を理解できていない幼子の姿。ニンジャスレイヤーの胸中に怒りの烈火が燃え盛る。不浄の殺意がニンジャの疾駆を加速する。22
2014-04-14 19:41:36今は休眠の憂き目を見ている魂の同居人、ニンジャ全殺を目標とする恐怖のナラク・ニンジャがフジキドの怒りに反応しているのだ。続けて送られてくる情報はこの施設のニンジャ情報。テルビューチェとスキュレーという二人のニンジャ。「このスキュレーってのがどうやら漁船襲撃のリーダーらしいな」23
2014-04-14 19:44:16「テルビューチェは殺した。もう片方も殺す」短く答えると通信を切った。もはや話すことはない。ブガー!ブガー!ブガー!ついに全館に警報が鳴り始めた。ニンジャスレイヤーは非常ランプに染まる連絡通路を疾走する!ニンジャ目掛けて!ニンジャを殺すために!24
2014-04-14 19:46:54