中学生でも読めるフーコー『性の歴史Ⅰ』(第四章「性的欲望の装置」〈領域〉の部分)

フランスの哲学者ミシェル・フーコーの著作である『性の歴史Ⅰ知への意志』を中学生でも読めるように要約したもパート8です。
3
zutabukuro @ClothSack

中学生っでも読める『性の歴史Ⅰ』プロジェクト、第4章「性的欲望の装置」〈領域〉の部分を連投しますかね~。今回は長いので、今日、明日の分割で。

2014-04-14 21:02:43
zutabukuro @ClothSack

権力が生み出す性的欲望という性に関する考え方はどのようにな点で用いられたのでしょうか。今まで見てきたように、その対象は様々で、数多くの作戦(戦術)に用いられ、それを根拠とする戦略の 点も多様でした。(続く)

2014-04-14 21:03:14
zutabukuro @ClothSack

全ての社会で通用し、性の全てに関与する唯一の、総括的な戦略は存在しないと言ってもよいでしょう。   ですが、18世紀以降の歴史を見た場合、性についての考え方と権力の特殊な装置(システム)を発展させた四つの戦略的集合を区別することは可能です。(続く)

2014-04-14 21:03:37
zutabukuro @ClothSack

それらはこの時期に、一かたまりのものとして生まれたわけではありませんが、この時期に一貫性を手に入れ権力と考え方の双方に影響を与えていったのです。この四つの戦略的集合を見て行きましょう。   まず、一つ目に挙げられるのが女性のヒステリー化です。(続く)

2014-04-14 21:04:00
zutabukuro @ClothSack

ヒステリーというのは、その当時女性がかかるとされていた精神疾患のことです。この動きには三段階あって、最初女性の体は性的欲望に満ちているとされました。次に女性の体は性的欲望にもとづく医学の対象になっていきました。ヒステリーの原因は性的欲望である、といったぐあいです。(続く)

2014-04-14 21:04:18
zutabukuro @ClothSack

そして、これらのプロセスによって女性の身体は次の三つのものと結合させられていきました。それは、出生率のコントルールをしようとしていた社会、当時発達していった家族、産み育てるべき子供たちの生、これらは簡単言うと家族と生殖の問題です。(続く)

2014-04-14 21:04:35
zutabukuro @ClothSack

まるで、家族の母というものが、ヒステリーという精神疾患の患者である女性に近いものと思われていたようです。   二つ目が、子供の性の教育です。(続く)

2014-04-14 21:05:14
zutabukuro @ClothSack

この時代になると、子供は性的(つまり、性的欲望的)であり、なにもしないと性的行為にふけってしまうので、教育してそれをやめさせなければならないと考えられていきました。その動きについては、以前書いた学校での性教育が良い例でしょう。   三つ目が、生殖行為の社会管理化です。(続く)

2014-04-14 21:05:35
zutabukuro @ClothSack

これは、出生率のコントロールと同じ意味で、前に書いたようにこの時代になってくると人口というものが大切であるという認識が広まっていきました。そのため、社会が夫婦を中心に人口を管理するということを始めたのです。   そして、4つ目が倒錯的快楽の精神医学への組み込みです。(続く)

2014-04-14 21:05:53
zutabukuro @ClothSack

これも以前書いたように、この時代になってくると性的倒錯者というものが定義されてきました。ここでは、性的倒錯者や性的倒錯を異常だと決めつけ、それを精神医学で治して行こうという動きが広まっていったという意味で考えてください。  (続く)

2014-04-14 21:06:16
zutabukuro @ClothSack

この四つの地点が、性についての考え方を生み出す上での特権的な地点であり、標的にして戦略の展開点でした。  では、これらの戦略の目的となるのは何だったのでしょうか。性的欲望との戦いでしょうか。それとも、それらを支配しようとする動きでしょうか。(続く)

2014-04-14 21:06:34
zutabukuro @ClothSack

実際には、性的欲望の産出そのものがこれらの戦略の目的なのです。このような性的欲望という考え方を生み出す動きについて、こう言っても過言ではないでしょう。性的欲望とはそれを生み出す権力と考え方の装置(システム)の名前だと。  (続く)

2014-04-14 21:06:52
zutabukuro @ClothSack

おそらくですが、どのような社会においても、性的関係は結婚、婚姻の装置(システム)を生み出したのでしょう。この装置は、親族関係の固定と展開、財産と地位を引き継ぐことを中心とする仕組みです。(続く)

2014-04-14 21:07:09
zutabukuro @ClothSack

それに対して、西洋の近代社会は、とくに18世紀以降ですが、もう一つの性的関係に関わる新しい装置を生み出しました。それが、性的欲望の装置です。   二つを比較してみましょう。婚姻の装置は、許可と禁止(~とは結婚してもよい/してはダメ)、合法・非合法の仕組みです。(続く)

2014-04-14 21:07:51
zutabukuro @ClothSack

それに対して性的欲望の装置は、権力の流動的で多形的な状況に対応すための技術(例えば、告白を引き出す技術)を元にしています。(続く)

2014-04-14 21:08:10
zutabukuro @ClothSack

前者が社会的関係や権力の関係を維持し再び同じものを作り上げる再生産的なものであるとすれば、後者は今まで見てきたようにその仕組が管理する場所と形の拡大して再び生産する拡大再生産的です。(続く)

2014-04-14 21:08:31
zutabukuro @ClothSack

前者が性的関係をもつ当事者の絆を中心とするならば、後者は各々の身体が持つ性的欲望を中心としています。  (続く)

2014-04-14 21:08:53
zutabukuro @ClothSack

経済的側面を見てみると、前者が富の継承・流通を中心とし社会の維持・再生産を目指すものであるのに対して、後者は身体的な人間の生産と消費に注目し、その増殖・拡大再生産を目指すものであるといえるでしょう。このように身体への注目こそ、性的欲望の装置を考える上での重要な点です。 (続く)

2014-04-14 21:10:20
zutabukuro @ClothSack

性的欲望の装置が婚姻の装置に取って代わったと考えるのは正確ではありません。歴史的に見ていくと、性的欲望の装置が設定されたのは、婚姻の装置の回りで、しかもそれを出発点としているのです。(以下、明日)

2014-04-14 21:10:35
zutabukuro @ClothSack

昨日上げるはずだったのに、すっかり忘れていた、中学生でも読める『性の歴史Ⅰ』第四章「性的欲望の装置」〈領域〉の続きを上げまかね~。

2014-04-16 21:36:02
zutabukuro @ClothSack

18世紀に入ると、前に上げた四つの戦略の場として家族の価値が高く評価されるようになります。このような動きのなかで家族は、性的欲望を根付かせそれを仕立てあげるという役割を持つようになっていきました。(続く)

2014-04-16 21:36:42
zutabukuro @ClothSack

これは複雑なことではありません、家族の価値が高く評価され、家族愛やその他の感情の場として家族が考えられるようになったため、そのような感情(愛)の背景には性的欲望がある考えられるようになったのです。(続く)

2014-04-16 21:37:00
zutabukuro @ClothSack

家族という婚姻の装置による産物を通して、婚姻の装置と性的欲望の装置が結びついていきました。   18世紀以降、家族と性的欲望が結びついた結果問題になっていったのが、家族間における性的関係です。(続く)

2014-04-16 21:37:20
zutabukuro @ClothSack

家族間における性的関係は、婚姻の装置が優勢だった時代においても法的な禁止事項でしたが、性的欲望の装置においてそれが問題になるのは別の理由です。前に書いたように、性的欲望の装置のメカニズムは法ではなく技術・テクノロジーです。(続く)

2014-04-16 21:37:44
zutabukuro @ClothSack

今を生きる我々にとっては何の抵抗もないかもしれませんが、法が重要だと考えていた当時の人にとってこれは問題でした。この問題を解決する最も簡単な方法は、性的欲望の装置は婚姻の装置、つまり法と関係しているすることでした。(続く)

2014-04-16 21:38:13