アイヌアニメ第三話『ニタイパカイェ』解説

アイヌ文化研究者・丹菊逸治さん (@itangiku) によるアイヌアニメ第三話『ニタイパカイェ』の解説です。
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丹菊逸治 @itangiku

アイヌ文化財団のアイヌ語アニメ『オルシペスウォプ2』。今回は知里幸恵『アイヌ神謡集』から第11話「この砂赤い赤い」、子守唄「赤ん坊の知らせ」、叙事詩「ニタイパカイェ」の3本立てです。 http://t.co/Cncb4nNZo2

2014-04-18 22:14:47
丹菊逸治 @itangiku

アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。アイヌの叙事詩「ユカラ」(いわゆるユーカラ)を忠実にアニメ化。日本語音声版 https://t.co/9Go1Qmusru

2014-04-18 22:22:01
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。アイヌの叙事詩「ユカラ」(いわゆるユーカラ)を忠実にアニメ化。アイヌ語音声日本語字幕版(沙流方言)  https://t.co/DOd8UTt3Ng

2014-04-18 22:22:50
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。これはアイヌの「yukarユカラ」(ラは小文字)と呼ばれる長編歌物語ジャンル、いわゆる叙事詩。金田一京助が「ユーカラ」として紹介したもので、有名な『虎杖丸の曲』などもこれ。

2014-04-18 22:24:41
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。「ユーカラはアイヌ口承文学の総称」」という説明を見かけることもあるが、ちょっと違う。それは「日本語の文章内において」の話であって、アイヌ語の「yukarユカラ」はあくまで「叙事詩」のこと。

2014-04-18 22:29:28
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。叙事詩は地域によっては「yukarユカラ」ではなく「sakorpeサコロペ」「hawkiハウキ」などと呼ばれることもある。同じものが地域によって違う名前で呼ばれるというより、そもそも別の話群だけど、形式はよく似ている。

2014-04-18 22:31:04
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。さて、今回のアニメは前作「ルロアイカムイとの戦い」と同じくポイヤウンペが主人公。ただし話に直接の連続性はない。そもそも叙事詩はお互いに一種の「パラレルワールド」みたいなもの。

2014-04-18 22:32:04
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。前回の「ルロアイカムイとポイヤウンペの戦い」は旭川の話だったけれど、今回のものは沙流川地域で伝承されてきたもの。強いて時系列に入れるなら前作より以前の話。

2014-04-18 22:33:27
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。「ニタイパカイェ」というのは主人公ポイヤウンペを育てた「竜巻の神」のこと。叙事詩にはもともとタイトルがあるわけではないので、アニメ化にあたってこのゲストキャラの名前をタイトル代わりにつけてみた。

2014-04-18 22:35:06
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。この話には筆録資料が2つ、音声資料が1つある。比較的広く知られた話だったのではないか。今回のアニメは、大筋としては鍋沢モトアンレク氏の刊行資料に沿った脚本になっている。

2014-04-18 22:37:42
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。私が前作以上に口を出したにもかかわらず、前作以上にピコグラフさんの作品である。アイヌ伝統文化関係もかなり勉強されている。あまり私がでしゃばる余地はないんだけど、お話自体は解説しておきたい。

2014-04-18 22:41:27
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。お話を知ってる人には余計なお世話だろうけれども、知らない人が見ると展開が速すぎて、わけがわからない「謎アニメ」になっていると思うので。

2014-04-18 22:43:32
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。さて、ここからは見た人向けネタバレ解説なのでいったん切ります。

2014-04-18 22:50:25
丹菊逸治 @itangiku

アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』。さて、ここからは見た人向けネタバレ解説です。本編はこちらからどうぞ。 https://t.co/9Go1Qmusru

2014-04-18 23:04:34
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。さて冒頭、岩山が映し出され、ドン、ドン、と音が響いている。地上では黒い半球状のドームのようなものが回転している。時折、白い光のようなものが打ちあがる。音は魂が肉体を離れる音、光は飛び去る死者の魂である。

2014-04-18 23:05:46
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。岩山の洞窟で仁王立ちの壮年男性戦士「ニタイパカイェ」。彼は「聞こえるか、わが軍勢の魂が飛び去る音が」と声をかける。「敵はシヌタプカの奴らが3人なれどなかなかに手ごわい」。先の半球状ドームは戦場の空間。

2014-04-18 23:09:03
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。叙事詩では戦場は遠くから見ると黒く見えることになっている。本来は土ぼこりか何かなのだろうが、ここでは文学的表現をそのまま視覚的に誇張して描いてみた。

2014-04-18 23:13:56
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。金色の鎧を着つつある若き戦士「ポイヤウンペ」が「俺の初陣の相手にふさわしい」と不敵な台詞。ニタイパカイェはポイヤウンペに刀を渡し、シヌタプカの連中を滅ぼすように命じる。ポイヤウンペは空を飛んで戦場に向かう。

2014-04-18 23:24:23
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。そしてここで戦場の半球ドームに突入して「ニタイパカイェ」のタイトルが出る。

2014-04-18 23:28:32
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。「ニタパカイェ」は鍋沢モトアンレク氏の『アイヌの叙事詩』という本で読める。おおまかな全体像は遠藤志保氏の論文でも知ることができる。 http://t.co/ALNUSF6U8M

2014-04-18 23:29:38
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。ここでは最も入手しやすい『アイヌの叙事詩』版を便宜上「原作」と呼び、アニメと対比しながら説明していく。原作冒頭ではポイヤウンペがニタイパカイェに育てられる様子が語られる。この手の描写は叙事詩にはつきもの。

2014-04-18 23:32:26
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。これはジャンルの形式と考えてよい。逆に形式を無視するならこの部分は不要。そういう意味では前回の原作「ルロアイカムイ」は原作者の砂沢クラ氏が、30分程度に収まる一種のダイジェスト版にジャンルを変換したもの。

2014-04-18 23:35:13
丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ2。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。今回のアニメでも冒頭の生活の場面は映像化していない。そんなことをしていたら短編ではなく長編になってしまう。そういう意味ではピコグラフさんは脚本作りが抜群に上手い。叙事詩の長々とした描写を見事に圧縮している。

2014-04-18 23:39:29
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