小太刀右京先生のマスタリング講座 ～シナリオの書き方・編～　#TRPG

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

ドゥモー。いろいろリクエストを戴きつつ放置していたマスタリング講座、ひさびさにやってみようかと思います（主な理由：酒が入っていて仕事にならない）

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

まあ過去の記事と重複していたり、あなたの主義主張と反していたり、一部のＴＲＰＧに適用できなかったりする場合は適当に流して使いたい部分だけ使ってください。あとＴＲＰＧ興味のない方、すんません。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

というわけで今回は「シナリオの書き方」です。ここで言う「書く」とは、何らかのストーリープロットを含む一連の記述を、ワードプロセッサーなりエンピツなりで文字情報とする行為であるものとします。「脳内で出来ているアドリブシナリオ」には触れませんし、縄状文字などについても触れません。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

また、文字とは何か、ストーリープロットとは何か、という定義論にも踏み込まないものとします。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

さて、シナリオに必要なのは「結末」です。このシナリオは何をしたら終わるのか――ああ、あなたのお手元のゲームにエンディングフェイズがないのはわかっています――これを定義しないと、シナリオは書き始めようがありません、というか終わりません。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

たとえば、「竜を倒してその財宝を手に入れる」であったり、「誘拐されたUVクリアランスの要人をコミーの秘密集会から奪還する」であったり、「ディープワンに占拠された田舎町から脱出する」であったりするわけです。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

もちろんプレイヤーは、それらの目的とは別の目的を見いだします。それは竜の護衛についているラクシャーサと雌雄を決することであったり、UV様をヌカコーラ地雷で吹き飛ばすことだったり、田舎町の祭壇に祀られたネクロノミコンを持ち逃げすることだったりします。TRPGは自由です！

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

だがまあそれは実際のマスタリングの時に取っておきましょう。今はシナリオを書くのです。ここではケツを決めてしまうのです。大丈夫、転がり始めてから直すことはできます。とりあえず決めるのです。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

では、決まった結末に対して、必要条件を考えましょう。「田舎町から脱出する」には何が必要でしょうか。 １．ＰＣたちが田舎町に行く ２．ＰＣたちは何らかの理由で、敵を皆殺しにできない

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

この必要条件を埋めることで、序盤と中盤はほぼ埋まります。先の例なら、「なぜ田舎町に行くのか」から決めましょう。敵が田舎町にいるなら、そこに行かねば出会えませんから、１を２より先に解決するのです。まあ、「友達が田舎町で行方不明になった」としましょうか。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

これで「友達が田舎町で行方不明になったので探しに出かけたＰＣたちは」「ディープワンに占拠された田舎町から脱出する」というシナリオが出来ました。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

では次です。解決していない情報を整理しましょう。 １．友達はなんで行方不明になったのか ２．なんで田舎町はディープワンに占拠されているのか ３．なんでＰＣたちはディープワンを皆殺し（あるいは警察に連絡して解決）にしないのか ４．どのように脱出するか

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

一個ずつ解決しましょう。１は、そうですね、「実は友達もディープワンで、その血が目覚めたので田舎町に呼び寄せられた」としましょうか。でも、それだけだと探しに来たＰＣたちの善意がムダになります。「友達は人間の心を残していて、ＰＣたちに逃げるように言ってくれる」でどうでしょう。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

ということは、２は決まりました。この田舎町は、元々住人全員ディープワンの血族なのです。占拠されていて当然です。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

３は、ディープワンの数が多すぎてＰＣたちが戦ったら間違いなく全滅する、としましょう。戦闘したいプレイヤーもいるでしょうから、何体かはショットガンとダイナマイトと流行のマーシャルアーツでやっつけて、後は逃げ出す、という流れがいいんじゃないでしょうか。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

警察が呼べないのは、電話線が切られている、でも警察もヤツらとグルだ、でもいいでしょう。自分は後者が好みです。まあ、こういうのはエクスキューズがあればだいたいなんとかなります。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

あとは４です。まあ３と絡めてしまいましょう。ほとんどの車は敵に押さえられており、唯一ＰＣ全員を乗せて脱出できるトラックを奪うには、見張りを倒さないといけない、ということにしましょうか。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

さて再び整理してみましょう。「ＰＣたち友人を探しに来る」「友人はディープワンでＰＣたちに逃げろという」「警察も含めて街全体が敵である」「ＰＣたち見張りを倒してトラックを奪う」「脱出する」です。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

さて整理した結果問題点が２点わかります。そうです、シナリオが凡庸でまったく面白くないことです。いやそこは問題ですが問題ではありません。いいんだ。あなたはもっと上手くやれるはずです。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

ひとつは、「友人を探しに来たら友人が見つかる」というドラマの薄さです。ここにはイベントが欲しいですね。もうひとつは「トラックを奪ったら逃げられる」ことです。これもイベントが足りない。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

友人を探す過程については太らせることにしましょう。まずＰＣたちは田舎町に到達し、退屈なバーや、やる気のないガソリンスタンドのバイトや、横柄な警察官や、下品な農夫や、奇妙に無口な主婦から友人の話を聞かねばならないのです。その過程で、この田舎町の異常性を強調したいところ。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

情報収集の結果見つかる、でもいいのですが、もうちょっとひねるなら、「友人の家は判定の結果見つかるが、行ってみると無人である。そこで判定を行なうと、隠し金庫から日記が見つかる」としましょう。日記を解読すると、友人が逃げ込んだ場所がわかるのです。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

これで友人と会うまでのイベントはなんとかなると思います。後はトラックで逃げる箇所ですが、たとえばカーチェイスはどうでしょうか。整備不良のエンジンに悩まされたり、崖っぷちをドリフトしたりしながら、大量の狂信者を満載した追ってのトラックから逃げたり、ときには反撃したりするのです。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

これでだいたいイベントは埋まった、と思います。後は、適当なモンスターデータをルールブックから抜粋し、ＮＰＣのデータをシティガイドやシナリオから流用し、街のマップに使えそうな田舎町をgoogleマップあたりから探してきましょう。固有名詞は俳優の名前あたりから持ってくると楽です。

小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

というわけで、一例ですが自分の場合のシナリオの作り方をご説明しました。「目標を決める」→「その必要条件を満たす」→「チェックする」→「漏れた条件を満たす」の繰り返しだと、だいぶ楽が出来ます。