2006年以降の「AV女優」について

中村淳彦『職業としてのAV女優』 を基にセックスワークと社会についての上曽根玲子(@kamisone_reiko)さんのツイートです。 この10年ほどの経済状況と業界構造の変化によって、ブラック企業の労働者さながらに"使い捨て”にされる"AV女優”という仕事について考えるキッカケになればと思い、簡単にまとめさせて頂きました。
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上曽根玲子 @kamisone_reiko

セックスワークをはじめ、性の問題に取り組む際は、「病み感染」しないように、かなり意識して、健康的な生活を送らなければいけない、と考えています。飲酒や喫煙など言語道断、毎日栄養バランスのとれた食事をとって、定期的に有酸素運動をして、日々定時に起床&就寝し、

2014-04-18 06:16:22
上曽根玲子 @kamisone_reiko

、円満な家族関係をキープ、みたいな。笑い話に聞こえるかもしれませんが、この点は、いくら強調してもしすぎることはないかと。

2014-04-18 06:16:23
上曽根玲子 @kamisone_reiko

社会問題の解決や、組織の活動を軌道に乗せるためには、5年、10年、あるいはそれ以上の年月がザラにかかるわけですから、セックスワークの問題系に関わる中で、一番大切なことは「心身ともに健康であること」なのかもしれません。

2014-04-18 07:15:01
上曽根玲子 @kamisone_reiko

そういう意味で、「心身ともに健康である人」が、もっとこちらの世界に入ってきてほしいですね。やや話が脱線しましたが、「デフレ化するセックス」(中村淳彦)、セックスワークの今がリアルに分かる、名著です。 googl/8jALI

2014-04-18 07:15:02
上曽根玲子 @kamisone_reiko

『職業としてのAV女優』 著:中村淳彦 出版社:幻冬舎 ■物語のない「裸」に迫る 中村淳彦の『職業としてのAV女優』の新書版を地下鉄で読んでいたら、手元の携帯電話が鳴った。向かい側のシートに分かれて座っていた友人からである。何ごとかと思って顔を上げると、

2014-04-18 08:17:01
上曽根玲子 @kamisone_reiko

両手を交差させてバッテンマークをつくっている。「?」。意味がわからないという顔をすると、再びバッテン。「?」。すると今度はメールが届いた。「AV女優志願者と思われるよ。最近は熟女ブームなんだから。カバーしなさい、カバー」 んなわけないだろ、と思い切り噴き出したが、

2014-04-18 08:17:14
上曽根玲子 @kamisone_reiko

、なるほどそうかと腑(ふ)に落ちたことがある。本書のキンドル版の売れ行きがいい理由である。電子書籍の売り上げの大半を占めるのはエロ系で、購読者にはこれまで堂々とエロ本を買ったり読んだりできなかった女性が多いということはよく知られているが、本書も案外、女性読者が多いのではないか。

2014-04-18 08:17:16
上曽根玲子 @kamisone_reiko

ただ、本書は性的な欲求を満たしてくれるエロな内容ではない。不況に強いといわれてきたアダルト業界にもデフレの波が押し寄せ、AV女優の労働環境や職業意識にどんな変化が生じたか、業界全体に何が起きているのかを長年の取材経験をもとにリポートした、

2014-04-18 09:17:06
上曽根玲子 @kamisone_reiko

応募者の疑問に答えるQ&Aコーナーや、仕事別のギャラを細かく掲載しているところもある。採用されてからは、やりたくないNG行為を事前に申告しておけば、現場でいきなり過激なプレーを強要されるようなことはない。

2014-04-18 09:17:09
上曽根玲子 @kamisone_reiko

その代わり女優にも協調性や自己管理が要求される。昔は精神疾患を抱える女性も多かったが、トラブルを避けるため最近はほとんど採用されなくなっているという。 業界が健全化していく中で、AV女優そのものも大きく変化した。中村淳彦によれば、レンタルビデオ全盛期と、

2014-04-18 10:15:48
上曽根玲子 @kamisone_reiko

、90年代後半にセルビデオの優良企業が登場して業界の構造が激変し、不況といわれるようになった2006年以降では、AV女優の「人種が違う」らしい。

2014-04-18 10:15:49
上曽根玲子 @kamisone_reiko

かつては、風俗業界を転々としている時にスカウトされてAV女優になったものの、仕事でするセックスは好きではなく、「たくさん稼いで早く足を洗いたい」という女性が大半だった。

2014-04-18 12:58:41
上曽根玲子 @kamisone_reiko

ところがここ数年は、性風俗の経験も非行歴もない、一般の大学生やOL、主婦らが経済的理由や性的好奇心から自ら志願するケースが急増し、倍率は25倍にもなるという。

2014-04-18 12:58:42
上曽根玲子 @kamisone_reiko

多くは地方出身者で、働きながら看護師などの資格取得を目指す女性や、居酒屋のバイトだけでは生活できないフリーター、夫の給料が下がったため消費者金融で借りた借金を返そうとする主婦もいる。

2014-04-18 12:58:43
上曽根玲子 @kamisone_reiko

セックスという究極のプライバシーが公開され、映像や画像が引退後も消えずに残ることへの不安やうしろめたさは微塵も感じられない。周囲にちやほやされ、楽に稼げたことが嬉しくて、「できるだけ長く続けたい」と願っている。誰かに必要とされることが生きがいになっているのである。

2014-04-18 13:58:45
上曽根玲子 @kamisone_reiko

とはいえ、彼女たちの希望は市場原理とは合致しない。通常、仕事とは時間と共に経験を積み、それを武器としてキャリアアップしていくものだ。ところが裸が売り物のAV女優は真逆(まぎゃく)である。性体験は少なければ少ないほうがよく、

2014-04-18 14:58:44
上曽根玲子 @kamisone_reiko

、働くごとに体の価値は下がり、賃金は滑るように落ちていく。それは今も昔も変わらないこの職業の現実だろうが、昨今は労使トラブルが激減した一方で、消費スピードはますます加速しているのである。

2014-04-18 14:58:46
上曽根玲子 @kamisone_reiko

最大の要因は、過激な動画ならインターネットに無料でいくらでも転がっている時代、AV業界が若年層を取り込むことに失敗したことである。昨今の購買層の中心は、IT操作が不得手な高齢者。熟女ブームの背景もそんなところにある。

2014-04-18 15:58:45
上曽根玲子 @kamisone_reiko

インターネット時代の若い女優には常に新しさが求められ、次々と使い捨てられていく。旬の季節は一瞬で、売れなくなれば日当3万円、果ては、交通費込み1万円という現実が待っている。

2014-04-18 15:58:46
上曽根玲子 @kamisone_reiko

対象に媚びず、突き放す 中村淳彦はこれまで15年以上にわたり、AV女優のインタビューを続けてきた。居酒屋で偶然見かけた同い年の元AV女優への発表するあてもないインタビューから始まって、現在までに約700人の記事を書いてきたという。

2014-04-18 16:58:44
上曽根玲子 @kamisone_reiko

AV女優には、「単体」「企画単体」「企画」という分類があり、アイドル候補として名前で稼げる「単体」から、名前を必要としない「企画」(痴漢、レイプ、SM、人妻、女子高生、スカトロなど)まで、厳密なヒエラルキーが形成されている。

2014-04-18 16:58:46
上曽根玲子 @kamisone_reiko

この「企画」に属するAV女優たちへのインタビューをまとめた『名前のない女たち』(宝島社)は映画にもなり、今や知る人ぞ知るのシリーズである。

2014-04-18 16:58:47
上曽根玲子 @kamisone_reiko

男性誌の「定番コンテンツのために自分の意思とは関係なく」続けていたと書いているように、取材対象への思い入れはあまり感じられない。安易にAVに出ること、自覚の無さに憤っているようにも思える。話の矛盾を突き、相手を怒らせることもある。

2014-04-18 17:58:45
上曽根玲子 @kamisone_reiko

'ある女優から、「アナタみたいな女優の気持ちを理解しようとしない人が、この世界のライターをやっているなんて信じられない!」(『名前のない女たち セックス依存症編』)とぶち切れられたこともあるらしい。

2014-04-18 17:58:48
上曽根玲子 @kamisone_reiko

15年前の記事と比べると、近年の記事は、長らく付き合ってはきたものの、そろそろ愛想も尽き果てたという印象がある。それでもこのシリーズが一部のファンに根強く支持されてきたのは、対象に媚(こ)びずに突き放すスタイルを貫いてきた戦略の勝利だろう。

2014-04-18 18:59:33