集合論の無矛盾性と巨大基数
- DaiskeIkegami
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ピサの斜塔を見にいった。最初に見て思い浮かんだのは,ZFC + large cardinals の consistency.
2014-04-19 16:34:16内部に入って登ってもみた。外から見るとそんなに傾いてないように見えたけど,中に入ると結構傾いていることがわかった。集合論も同じかもしれない。集合論を外から見ている人達より集合論を研究している人達のほうが,"consistency tower" は傾いているように感じるかも。
2014-04-19 16:37:57最近かなりギリギリの議論を繰り返しているので,集合論が度々「矛盾」することがあって,thrilling, exciting かつ exhausting だ。
2014-04-19 16:40:31集合論やっていて,いいな,と思うことの一つは,こういう「擬死体験」を何度もできること(してしまうこと)だと思う。
2014-04-19 16:52:14Consistency tower に登って,「塔」の端っこでピョンピョン跳ねながら自分が見たいものにじっと目を凝らす。時には「塔」から落っこちることもある。「重症」を負ってしばらく寝込んでしまうこともある。でも,回復したらまた登り始める。
2014-04-19 16:52:32ある日「塔」は崩れ去ってしまうかもしれない。どこかからポキッと折れてしまうかもしれない。ZFC は矛盾するかもしれない。でも,それがはっきりとわかるまで,僕らは「塔」に登り続ける。
2014-04-19 16:54:35ZFCは無矛盾だというのが少し数学をかじった者の感覚だったが、専門家は異なるとは奥が深い。RT@DaiskeIkegami: ある日「塔」は崩れ去ってしまうかもしれない。どこかからポキッと折れてしまうかもしれない。ZFC は矛盾するかもしれない。でも,それがはっきりとわかるまで…
2014-04-19 18:39:57一応断っておくと,僕は ZFC は無矛盾だと思っている。しかし,ZFC や ZFC + large cardinals が矛盾することも想定して矛盾ギリギリの議論をすることは,集合論そして consistency に対する理解を深めるうえで不可欠だと思っている。
2014-04-19 19:09:01なんか自分のツイートの内容が首尾一貫してないように読めるので補足すると,基本「まぁZFC 無矛盾やろ」と思ってるけど,数学するときはそういう「予想」や願望は一切仮定しないで議論する。そして,議論しているときに「あれ?ZFC+巨大基数矛盾してね?」と思うことは度々ある,ということ。
2014-04-19 21:32:20もしZFCが矛盾しているとして,その証明を読んではっきりと正しいとわかったら,僕はその事実を受け入れると思う。そうなる可能性は決して0ではない。そして,集合論における無矛盾性について考えたとき,ZFCが矛盾していることが証明されたら,それがこのテーマにおける最善の結果である。
2014-04-19 21:37:57@shoin_an_koji 初めまして,池上大祐です。コメントありがとうございます。もしこちらの意図がうまく伝わらなかったとしたら,それはこちらの書き方が悪かったということです。気にしないでもらえると助かります。
2014-04-19 19:53:10@shoin_an_koji ZFC の無矛盾性については,以前,ある方とツイッター内でやりとりをしたことがあります。もしかしたら参考になるかもしれないので,その方の許可が出たら,以前のやりとりを togetter にまとめて,僕のツイッターからリンクをはりたいと思います。
2014-04-19 19:55:47ここから,@math32761 さんとの以前のやりとりです。
@math32761 僕は ZFC は無矛盾だと思っていますが,それはさておき,集合論では,ZFC を強めた公理系たちを考え,どこから矛盾するかを調べる,といった試みがあり,代表的な公理系たちとして考えられているのが「ZFC+ある巨大基数公理」という形のものです。
2013-11-13 03:03:09@math32761 ゲーデルの不完全性定理により,ペアノの算術を含む,無矛盾で計算可能な公理系 T については,T の内部でその無矛盾性を(計算機に載せられるような議論で)検証することが難しいことがわかりました。
2013-11-13 03:07:56@math32761 そこで,より強い公理系を考えてどこで矛盾するか調べることでもともとの公理系の無矛盾性について検証していこう,というアプローチが,巨大基数公理を使うことで ZFC に対して現在とられているものです。
2013-11-13 03:09:48@math32761 現在わかっていることは,1) ある巨大基数公理は ZFC と矛盾する,2) 経験則上,巨大基数公理たちは ZFC をベースにしてその「矛盾しやすさ」に関して線形順序をなしている(この現象を説明しようとする理論も発展していっている),
2013-11-13 03:13:32@math32761 3) 現在までに集合論の技術によって無矛盾性の得られる公理系は,「矛盾しやすさ」の意味で「ZFC+ある巨大基数公理」という形をしたある公理系より弱い,です。
2013-11-13 03:15:57@math32761 3) については,現在集合論によって得られる無矛盾性の議論が限られているだけで,説明してくださった命題たちについては何も言っていません。ただ,結び目についてのある命題で,巨大基数の存在を仮定して証明されてから ZFC で証明されたものはあるみたいです。
2013-11-13 03:18:38@math32761 いずれにしろ,このアプローチで ZFC の(無)矛盾性について考えるとき,ZFC が矛盾することが実際に証明できれば,それが最良の結果になると思います。
2013-11-13 03:21:06現在の foundations of mathematics に現代の公理的集合論が貢献していることがあるとすれば,それは↓に書いたようなことについてだと思う。一言で言うと consistency.
2013-11-13 03:51:00無矛盾性について扱う数学の分野はいくつかあるけど,集合論が際立っている(変わっている?)のは,矛盾に向かって突き進むことで無矛盾性について理解しようとするところ。
2013-11-13 04:27:33@DaiskeIkegami ありがとうございます。「ZFCが無矛盾だと思っていかどうか」について語られているのを、殆ど見たことがないので「無矛盾だと思っている」発言だけでも、とても参考になります。
2013-11-13 09:45:59