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幕間
白金桜花C96日曜西ゆ45a @YamanekoOuka
艦娘の権利なんて気にしてはいけない。 艦娘の都合なんて気にしてはいけない。 ただ自分の欲望をぶつけるモノとして扱い、そこに救いを願え。 それが艦娘にとっても、人間にとっても幸せな事なのだから。 ~ある艦娘の手記より~ #地獄鎮守府の日常
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Q:深海棲艦が上陸してきたらどうしますか? A:気に入らない艦娘を餌にして食われる様を眺めて遊ぼう! ~九龍鎮守府内にて貼られていた極彩色の張り紙より~ #地獄鎮守府の日常
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鎮守府内の地下下水道。薄暗い発光ダイオードが天井を照らし、壁にはパイプが張り巡らされ、一部からはよくわからない液体が漏れ出す世界。 艦娘と供に防護服とマスクを着用し、私はさらに火炎放射器を持ちながら、深海棲艦が侵入していないかの巡回警備を行っていた。 #自鎮
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叢雲と不知火と私だけの退治仕事、基本交戦距離は夜戦距離と変わらなく、この2名の練度は高いため問題はない。 「この前の映画つまんなかったわね」 叢雲だ。 「不知火は面白かったけど、司令官はどうです?」 「いいラブストーリー映画だったけど、日本人役者がね」 #地獄鎮守府の日常
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「あそこが問題よ、前作でもそうだけど折角あの人呼ぶならもっと出番暮れてもよかったじゃない」 「きちんと印象に残るカットはあったので問題ないと思うわ。問題はヒロイン候補っぽく出て特に何もしなかった子よ」 映画の話題をしながら、敵を探し続ける。 #地獄鎮守府の日常
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この下水道には浮浪者や、不法居住の野良艦娘も多数いる。 それらに対しては排除せよとも言われていないため私は放置するが、独自の生活圏を形成し、店を開いたり釣りをする人もいた。 「釣れるの?」 叢雲が釣り人に聞く。 「色々と」 釣り人が答えた時だった。 #地獄鎮守府の日常
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深い下水から水しぶきを上げ、緑色のライトアイが特徴的な、鋼の魚が釣り人に飛びがかかり、その上半身を食い破り下水に潜る。 深海棲艦 駆逐ロ級だ。 「敵か、どうする?」 既に反応し砲撃を何発も下水道に向け撃つ叢雲に聞く。 「私が行くわ、不知火は司令の守護!」 #地獄鎮守府の日常
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「はい!」 不知火も返し、叢雲は敵の追撃にかかる。 そして私は暗い、電気の明りのみが灯される露店街の釣り堀にて、下半身だけになり内臓を零す屍骸を見る。 認識できなかった、だと言う事は、私は運が良かっただけということだ。 運が悪ければ、こうなってたのは私だ。 #地獄鎮守府の日常
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「……司令官、さっきのロ級、恐らくかなりの手練れだと思います」 「所謂フラッグシップか?」 「恐らくは、その中でも更なる手練れ、不知火も、叢雲さんも反応できなかった……そして関係ない民間人を食って、すぐ逃げた……これが意味するのは……」 #地獄鎮守府の日常
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「陽動か……判断ミスだな」 私も指揮官として経験不足か、と考える。 「まぁ、叢雲さんなら大丈夫でしょうが」 不知火は平然として言い放つ、彼女は叢雲と私は信頼するから言える言葉だ。 確かにこの戦場は叢雲にとっては格好の狩場、昼が訪れない地下の世界、常に夜戦だ。 #地獄鎮守府の日常
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演習においても様々な戦艦を彼女は叩き殺している、実際には脳を破壊するのは禁止されてるため単に戦闘不能にするだけだが。そのため戦艦殺しなんて異名を鎮守府内で持つぐらいだ。 「だから待っていましょう、叢雲さんが来るまで」 不知火の手が、私の手に触れる。 #地獄鎮守府の日常
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その手は少し、先ほどの状況で恐怖を感じたのか震えていたため。私はぎゅっと握る。 「……気づかれましたか」 「ああ」 「怖かったんです、一瞬で死ぬ中に、不知火が含まれるというのが」 「誰だってそうさ」 私は返す、どちらもマスクがなければ、キスをしてた状況だ。 #地獄鎮守府の日常
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私は警戒を行う、露店の人達も興味を以って駆けつけたが、情報を聞くと「よくある事だ」と返し、去っていく。 この下水道にとってこの程度の事は「よくあること」でしかない。 鎮守府内のスラムと等しい、或いはそれよりも安い命の世界が、ここにある。 #地獄鎮守府の日常
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そうして待っていると、刀を持った叢雲が返り血を浴びて真っ赤に染まった体で戻ってくる。 艤装の損傷は左側の砲撃ユニットが損壊、左腕の魚雷発射用ガントレットが弾切れしていた。 「大丈夫みたいだったな」 「ちょっと壊したけど、楽勝よ」 叢雲はニッと笑った。 #地獄鎮守府の日常
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その後叢雲は状況を報告する。 確かにあのロ級は陽動で、待ち伏せがあった。 だがそれらを全て、叢雲一人が殺したというのだ。 実際に戦果を確認するため、私達は待ち伏せがあったとされる中継ポンプ施設まで向かう。 そこで見たのは、恐るべき光景であった。 #地獄鎮守府の日常
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まず戦艦タ級の頭に魚雷を叩き込まれ、その中身が水上にまき散らされた死体が2つ。 次に縦横斜めまるで切断するのを遊んでるかのように真っ二つにされた重巡リ級の死体が4つ。 砲撃や魚雷で蜂の巣にされ体液や内臓を零し肉体は欠損した軽巡ト級及び雷巡チ級それぞれ4体。 #地獄鎮守府の日常
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そしてそれらの中心に居た、駆逐ロ級……この艦隊の指揮官と思わしき存在は、原型が辛うじて判別できる状態ではあるが、殴られ蹴られ砕かれ、ぐちゃぐちゃな状態だった。 その口の中の人間は、既に死んでいたため、無造作に床に置かれていた。 #地獄鎮守府の日常
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「どう?これが私の本領よ?」 叢雲が、無邪気な笑みを浮かべる。 ここで、彼女はマスクや、防護装備を外してたことに気付く。 「装備は?」 「そこらに捨てたわ、どうせ艦娘の体なら臭いだけで影響薄いし」 あっさりと叢雲は答える。 「じゃ、後は焼却処分お願いね?」 #地獄鎮守府の日常
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そうして焼却を終え、私は今回は叢雲とでなく、不知火と一緒に食堂で食事を取る。 叢雲が行って来いと言ったのは、恐らく先の虐殺めいた戦いを見せた事への配慮なのだろう。 彼女はこういう時、メンタルケアとして不知火を用いる。 「凄かったわね……」 「全くね」 #地獄鎮守府の日常
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「兵器と言うのは最高の条件の元に最高の力を出す、つまり叢雲にとってはあれが一番戦力を出せる場所だった」 「閉所で、暗く、角の多い場所……」 「まぁ、それよりもご飯を食べようか」 こうして話していても、変な方向に向かいそうで怖い私は、話を止める。 #地獄鎮守府の日常
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豚汁……と言っても人工肉と野菜のスープが、舌に馴染む。 「こうして一緒に戦って、ご飯を食べると言うもの、幸せなことなのかもしれませんね。恐怖も、悲しみも、楽しみも共有できますから」 不知火が、私に笑顔を向ける。 彼女は私と一緒にいることに、安堵を覚え、依存している。 #自鎮
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その笑顔は私が造りだした笑顔のようなものだが。今日の私にとっては彼女の笑顔が一番の報酬だった。 #地獄鎮守府の日常
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