@f_zebra さんの「大飯発電所の耐安全性評価についての審議の実態」

f_zebraさんによる連続ツイートをまとめました。
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Flying Zebra @f_zebra

関西電力大飯発電所の再稼働時期が遅れるとの報道が出ていますが、問題となっている基準地震動に関して、事業者がどのように説明し、それに対して規制委員会がどう対応してきたかを具体的に検証してみたいと思います。

2014-04-21 01:49:52
Flying Zebra @f_zebra

審査会合については全て動画と議事録、会議資料が公開されています。以下ではなるべく具体的な会合の日程を示します。疑問に感じた方はぜひ一度自分の目で確かめ、事業者、規制委員会のどちらがどれだけ合理的、科学的な態度で臨んでいるのか判断して頂きたいと思います。

2014-04-21 01:51:14
Flying Zebra @f_zebra

福島事故後の再稼働(2012年)に際して、最初に問題とされたのは大飯発電所の敷地内に活断層があるという疑いでした。「一部の専門家」がそれを示唆する発表を行ったことを受け、当時の原子力安全・保安院の指示によりトレンチ掘削調査が行われました。

2014-04-21 01:52:27
Flying Zebra @f_zebra

問題視されていたF-6破砕帯については再稼働後の2012年11月にも追加調査が指示され、事業者からの活断層とは考えられないという説明に対して規制側は科学的に反論することなく、ひたすら追加のデータを求めるという態度を続けました。

2014-04-21 01:54:10
Flying Zebra @f_zebra

2013年9月に漸く活断層ではないとの共通認識を確認し、今年2月に正式に了承されました。その間、規制委員会から合理的な反論、説明は一切無く、事業者が当初から繰り返してきた説明がそのまま認められました。膨大な費用と手間を掛けた追加調査は、科学的にはほとんど意味のないものでした。

2014-04-21 01:55:39
Flying Zebra @f_zebra

F-6破砕帯が活断層ではないと認めざるを得なくなった規制側が次に持ち出してきたのが、FO-A、B断層と熊川断層の連動、いわゆる三連動問題です。2013年7月に新規性基準が施行され、審査が始まった直後の7月23日の審査会合において、次の2点が指摘されました。

2014-04-21 01:56:26
Flying Zebra @f_zebra

一つは、「一部の専門家」の論文を受け、三連動を考慮する場合を地震動評価の基本ケースとすること、もう一つは地下構造を三次元的に把握し、地下構造モデルへの反映について評価することです。

2014-04-21 01:57:14
Flying Zebra @f_zebra

事業者は各種の調査結果から三連動の蓋然性は低いとの立場でしたが、2012年の再稼働に際して「念のために」三連動を考慮した地震動評価結果(760ガル)を示しており、2012年4月23日の地震・津波に関する意見聴取会で当時の保安院はこれを妥当と判断していました。

2014-04-21 01:58:42
Flying Zebra @f_zebra

昨年に新規制基準ができると、既に稼働していた大飯3、4号機について新しい基準の下で運転継続を認めるかどうかの規制判断が行われました。2013年7月3日の原子力規制庁による「大飯3号機及び4号機の現状評価」では次のように評価されています。

2014-04-21 02:00:27
Flying Zebra @f_zebra

三連動による基準地震動(759ガル)が耐震評価結果に及ぼす影響を確認し、安全上重要な問題があるものではないと評価した(断層上端深さ4km)。つまり、三連動に係る地震動評価については再稼働、運転継続の各段階でこの評価が妥当との規制判断がなされてきたのです。

2014-04-21 02:01:29
Flying Zebra @f_zebra

なお、事業者は反射法地震探査、海上音波探査、ボーリング調査、リニアメント調査、段丘面調査、地質境界調査を実施しており、その結果FO-A断層と熊川断層が15km隔離していること、FO-A、B断層と熊川断層は連続する活構造が認められないことを確認しています。

2014-04-21 02:02:14
Flying Zebra @f_zebra

2013年10月2日の審査会合で事業者はこの結果を示し、三連動の蓋然性が極めて低く、考慮する必要がないことを説明しました。これに対し規制側は、まだデータが不十分であり、F-6破砕帯問題のようにデータをしっかり示せば一致した結論が出る、と応じました。

2014-04-21 02:03:24
Flying Zebra @f_zebra

これを受け、事業者は小浜湾での海上ボーリング等の追加調査を実施し、データを揃えた上で三連動を考慮する必要がないことを改めて説明しました。規制側は更なる小浜湾調査を指示し、加えてFO-A、B断層の端部が明確になっていないという、新たな指摘を出してきました。(11/1審査会合)

2014-04-21 02:04:51
Flying Zebra @f_zebra

事業者は更なるデータ拡充を行いましたが、FO-A、B断層は海の中なのでトレンチ調査のような現物確認はできず、どれだけ真摯に対応しても規制側がこれまで全く問題にしていなかった新しい指摘を出すという科学を無視した態度を続ける以上、完全な証明は困難と判断しました。

2014-04-21 02:06:24
Flying Zebra @f_zebra

関西電力としては、九州電力のように科学を置き去りにして委員に阿る評価を出すことは原子力安全文化を損なうこととなり、福島事故の教訓からも規制内容に疑問を持ちながらそれを無視して規制に合わせることの弊害は明らかなため、あくまでも科学的に戦う覚悟でした。

2014-04-21 02:07:27
Flying Zebra @f_zebra

ところが、これ以上審査が長期化し、再稼働時期が遅くなればそれだけ電気利用者の負担が増え、更に電気事業者の使命である安定供給を果たせなくなるリスクが高まってしまいます。これは国民全てが被る不利益であり、本来は国が責任を果たすべき局面ですが、仕方がありません。

2014-04-21 02:08:24
Flying Zebra @f_zebra

そこで、蓋然性が低いという主張を取り下げたわけではありませんが、あくまでも安全側の判断として三連動を考慮して759ガルで評価することを表明したのです。(12/18、12/25審査会合)ここまでなら既に評価自体は終えているという事情もありました。

2014-04-21 02:09:45
Flying Zebra @f_zebra

安全性というものは限られたリソースを合理的に配分することで高いレベルを達成できるものであり、合理的根拠もなく地震動ばかりにリソースを費やすことは全体の安全性を損なうことになります。安全性を犠牲にするのは事業者としても痛恨の極みでしょうが、規制当局に抗うのは容易ではありません。

2014-04-21 02:11:32
Flying Zebra @f_zebra

審査を引き延ばす理由を失った規制委員会が次に持ち出してきたのが、断層上端深さという地下構造の問題です。先に挙げた昨年7月の現状評価書で断層上端深さ4kmで問題なしと評価しているにも関わらず、改めて屈折法のデータを補充して説明することを求めました。(12/18審査会合)

2014-04-21 02:12:48
Flying Zebra @f_zebra

事業者は言われた通り屈折法、地震干渉法の追加データを揃え、断層上端深さ4kmの妥当性について改めて説明しました(今年1/29審査会合)。これに対し、規制委員会は次のように応えたのです。この先は名言がたくさんあります。ぜひyoutubeで確認することをお勧めします。

2014-04-21 02:14:30
Flying Zebra @f_zebra

「断層上端深さは4kmではなく、3.5kmとか3kmとかではないかと思っている。データに基づき3kmと思っていることを否定してくれればよい。」この発言に際し、なぜそう「思っている」のかという理由について一切説明がなかったのはいつもの通りです。

2014-04-21 02:14:50
Flying Zebra @f_zebra

対応している事業者の担当者のやるせない気持ちを想像すると怒りを通り越して悲しくなりますが、事業者はめげずに中越沖地震、新地盤モデルの追加データを示して改めて4kmの妥当性を説明しました。これに対し、規制側は断層上端深さ4kmは「常識的に」深すぎると応じます。(3/5審査会合)

2014-04-21 02:16:15
Flying Zebra @f_zebra

ここに至って、事業者はまたも審査長期化回避のため科学を置き去りにした判断を強いられました。3/12の審査会合で、断層上端深さ3.3kmを基本ケースとすることを表明したのです。根拠として、若狭地域ではなく近畿地方の地震発生層上限の速度(Vp)の観測記録によるモデルを用いました。

2014-04-21 02:17:23
Flying Zebra @f_zebra

ここでも、規制側は更に観測データを反映して再評価することを要求しています。この際、近畿地方では「残念ながら」地震があまりないので、という発言があり、彼らの本音が垣間見られます。稼働を阻止することこそが目的で、安全性の確保はどうでもいいのでしょうか。

2014-04-21 02:19:27
Flying Zebra @f_zebra

この後の経緯については詳しく知りません。根拠はなくても規制側が発言した一番厳しい数字である3kmにしない限りいつまでも再稼働が認められず、管内の電気利用者に迷惑を掛けてしまうと判断したのでしょうか。

2014-04-21 02:20:30