【割れたらふたつ】 福間健二 ＃2facotory63

福間健二 @acasaazul

いろんなものに悪態をつくけれど、静かに考えているときもある。「きみの鳥」は。うまい水がわかる。オレンジ色に暮れるこの空、どう広いのか。どう残酷なのか。距離が読めないぼくのR＆Bで踊る恋人たちに。言うべきこと、抗議すべきことを思い出させる。（割れたらふたつ１）#2factory63

福間健二 @acasaazul

唇はミック・ジャガーとカーリー・サイモン。なのに、ズバリ言うのを怖がっている。秘密あり。愛されたい。「あなたは心が強い」と批評してくれた。責めちゃったね。カレー焼きそば、食べたくなった。カレー焼きそばとビール。ビールの銘柄はなんでもいい。（割れたらふたつ２）#2factory63

福間健二 @acasaazul

坂道をのぼり、さらにとても狭い階段をのぼって「何をしても謝らない」彼女の目のなかの川を手と頭も使って泳いで渡った。何になる。その瞬間、彼女の隠れようとしたブラックホール、そこからぼくは生まれた。呪われてなんかいない。涙も頭痛もいらないよ。（割れたらふたつ３）#2factory63

福間健二 @acasaazul

ナナ、ナンナナッ、ナンナナー。ハングリー、聴いただろう。空腹と孤独。でも苦しみはそれだけじゃないという青空はどんな地下室のネズミと寝ているのか。教育されたくない、つまり普通の耳を落胆させる、わかってない二十一世紀。笛の忘れものなかった？（割れたらふたつ４）#2factory63

福間健二 @acasaazul

ひとりの人間がこの地上にあらわれ、お腹いっぱいになったりそうでなかったり、突っつかれたり放っておかれたりして、ある時間をすごして去っていく。せつない旅。でも旅しているのは自分じゃないものだ。電話はね、相手のガチャンを聞いてから切るんだよ。（割れたらふたつ５）#2factory63

福間健二 @acasaazul

すれちがいざまなにか言うやつ。ひどい生き方している。環境に負けている。たいへんだね。讃美と炸裂を明日へと引きのばして。では、ぼくはどうなのか。香る風とオフショルのきみの鎖骨に負けている。キル、ミー。肩甲骨のあいだにも、春。もっと開くかな。（割れたらふたつ６）#2factory63

福間健二 @acasaazul

今年も、サクラが咲いて、散った。今日、四月二十六日は佐藤泰志の誕生日。彼の好きだった文句を思い出す。「地球はひとつ、割れたらふたつ」。アニメの『ガッチャマン』の主題歌の替え歌。いや、起源はもっと昔。器にむかう、もっと簡単な把手のついた針。（割れたらふたつ７）#2factory63

福間健二 @acasaazul

大きな針のひとつやふたつ飲み込んでも平気な気がしてくる。地球はひとつ、割れたらふたつ。これを口ずさみながら、彼は街を歩いたりビールを飲んだりした。そうなのだ、自転車に乗れなかった。犬を怖がった。泳がなかった。人前で裸にならなかった。でも！（割れたらふたつ８）#2factory63

福間健二 @acasaazul

マンガが好きで、機嫌のいいときはマンガの子どもみたいになった。大きな針と小さな針。危なっかしさを一気に逆転するその不意打ちに涙が出るほど笑ったこともある。完璧に無用な「水晶の腕」。もう秘密じゃない。弱い心でぶつかりあってそれを確かめた。（割れたらふたつ９）#2factory63

福間健二 @acasaazul

針と針、骨と骨、尖った共感が待っている。でもだめ、ウーマン、泣いちゃだめ。花は花、犬は犬なのだ。だれかの、なにかの化身なんかじゃない。割れたらふたつ。いまはひとつになって「世界を手に入れる」恋人たち。麻薬、マジックなし。地球儀、二千円。（割れたらふたつ10）#2factory63