茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1224回「きのこの山と、たけのこの里」

脳科学者・茂木健一郎さんの5月3日の連続ツイート。 今朝は、昨日コンビニで思ったこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1224回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。今朝は、昨日コンビニで思ったこと。

2014-05-03 07:08:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(1)昨日、コンビニに入ったら、見慣れないパッケージが。むむむと思ってみたら、「きのこの山」と「たけのこの里」の「大人バージョン」みたいなのを売っていた。黒っぽくて、しっとりとしたパッケージ。思わず手に取った私の脳裏には、論争の歴史が、ありありと蘇っていった。

2014-05-03 07:10:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(2)話は突然飛ぶが、私は「乾き物」が苦手で、クッキーは、いただいても、「はい」と誰かにやってしまうことが多い。ところが、マクヴィティーというブランドで売っていた、チョコレートがかかった全粒粉のやつは、好きで、子どもの頃よく買ってきて一気食いしていた。

2014-05-03 07:11:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(3)また、乾き物が苦手、と言っても、おせんべいは好きで、ぽりぽりパリパリ食べている。好き嫌いというのは、自分で考えても不思議で、「きのこの山」と「たけのこの里」論争においても、お腹の中に入ってしまえば一緒なのに、要するに口の中の「クオリア」が違うのである。

2014-05-03 07:12:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(4)講演会などで、「クオリア」の説明をするのに、よく「きのこの山」と「たけのこの里」を例に出す。会場の人に挙手をしていただくと、ほぼ半数になる。しかも、みな、迷わず投票している。つまり、「きのこの山」と「たけのこの里」のクオリアについて、好みがはっきりしているのである。

2014-05-03 07:14:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(5)ちなみに、私は「たけのこの里」派。しっとりとして、ビスケットとチョコレートが一体となった食感が好きである。一方、「きのこの山」支持派に聞くと、そこが気持ち悪いとか言う。チョコレートと、ビスケットは、別々に味わいたいと言う。バラバラにしてから食べるという人もいる。

2014-05-03 07:16:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(6)好き嫌いというのは面白い。人々のほぼ半分が「たけのこの山」、「きのこの里」それぞれを支持しているから、明治製菓も両方を出している。このように、好きなクオリアの「分水嶺」がちょうど半分で分かれる事例が発見されたというのは、人類の歴史の中でも画期的なことだろう。

2014-05-03 07:19:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(7)「きのこの山」と「たけのこの里」の支持が割れるということは、お腹に入って消化、吸収される際の「栄養」とは異なる「脳の栄養」とでも言うべき、喜びの文法があることを意味する。つまり、それはクオリアであり、ニック・ハンフリーが言うところの意識の存在意義でもある。

2014-05-03 07:20:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(8)ニック・ハンフリーは、意識の進化論的意義の一つとして、意識が、感覚の喜びを与えるという点を挙げる。さまざまなものを食べる際に、クオリアの喜びがあるということが、私たちが生きる原動力になっている、つまりそこに意識の意義があるというのがハンフリーの説だ。

2014-05-03 07:22:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

きた(9)「きのこの山」と「たけのこの里」の支持が分かれる、ということは、つまり、クオリアには一つの正解はないということで、どのようなクオリアを愛好して生きるかということが、その人を作っていく。つぶあんかこしあんか、味噌味か醤油味かトンコツか塩味か魚介類スープか。

2014-05-03 07:24:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1224回「きのこの山と、たけのこの里」でした。

2014-05-03 07:24:41