全国学力テスト。公開是非を論じるよりも、まずこの悪問っぷりを知ってくれ。(平成26年4月22日実施/小6メイン)
- FukushimaKokugo
- 22733
- 15
- 2
- 39
ところで、こういう内容の答案だったら、どう採点するんだろう(文字数はとりあえず無視して書く)。 まど・みちおさんの「タンポポ」という詩は、いろいろな動物が出てきて、いいと思います。「たんぽぽさんが呼んだ」のほうは、あーらひょーらぷーらしょとか、踊っているみたいです。
2014-05-05 16:58:17まず、指定された「まど・みちお」の使い方が、おそらく出題者の意図に沿っていない。生き物を愛している作者まど・みちお、というつながりを要求していたんだろうが、大半の子は、こんなふうに、詩の作者まど・みちお、としかとらえずに書いただろう。でも、バツにはできまい。
2014-05-05 17:00:08そして、先の答案を、採点者は「共通点を述べている」ととらえるのか、「相違点を述べている」ととらえるのか、あるいはどちらも述べていないととらえるのか。採点者の国語力に委ねられてしまうことだろう。
2014-05-05 17:03:03前半・後半、どちらも前向きにとらえていると考えれば、共通点とも言える。しかし、共通点を引き出すというのは抽象化の作業だから、その抽象語が1つでも書いていないといけない。どちらも「いい」ですとか、どちらも「楽しい」ですとか。しかしそういう抽象化の痕跡がないので、本来はバツになる。
2014-05-05 17:04:57一方、相違点を書く場合は、必ず「共通の観点」のもとにくらべなければならない(詳細はこちら→ http://t.co/MtJyfNLsB6 )。先の答案は、「いいです」「踊っているみたいです」となっており、食い違う。前者なら「悪いです」、後者なら「踊っているようには見えません」。
2014-05-05 17:09:51だから相違点を述べているとは言えない。しかし、少なくとも字面では、違ったことを書いている。だから、採点者の中に、「共通の観点をチェックする」という基準がないと、こういう答案は、マルになったりバツになったりして揺らぐことになる。そのあたり、国立教育政策研究所の解説には載っていない。
2014-05-05 17:10:59そういうわけで、この小B大問3は、非常に悪質である。問おうとする能力が拡散しており、採点基準も拡散している。こんなひどい問題によって、詩の解釈力が判定されてしまうこととなったわけである。
2014-05-05 17:16:13ところで、ひとつだけほめておく。きのう書いた小Aの中に、こういう指示があった。【――部を、「~たり、…たり」という表現を使って書き直しましょう。(解答には、「~」と「…」の記号は必要ありません)】 この、(解答には、「~」と「…」の記号は必要ありません)が秀逸だった(笑)。
2014-05-05 17:18:06こういう設問の趣旨を読めずに、「~たり…たり」とモロに書いてしまう子というのが、一定数いるのだ。そういう、現場指導者にしか分からないような要素を取り入れていたのは、偉いと思った。しかしそれにしては、子どもの思考回路を無視した複雑怪奇な設問が多すぎる。
2014-05-05 17:19:40まあ、(解答には、「~」と「…」の記号は必要ありません)という文言が入ったのは、過去の記述設問の中でそれが多数書かれてしまったという苦い経験があったことだけが要因なんだろう。それを、「出題者のセンスが良い」と一般化するには、まだまだ足りない。
2014-05-05 17:21:16中3向けのほうは、小6向けにくらべれば、かなりまともである。だから、もうやめよう。とはいえ、小中問わず言えることをいくつかだけ、書いておく。
2014-05-05 17:31:24長ったらしい本文、長ったらしい設問(指示)を読ませる割に、設問数が少ない。「え? こんだけ?」と気が抜ける。ずる賢い子は、先に設問を読み、該当するところだけを拾い読みして解いただろう。生真面目な子は、少なくとも正解するだけの能力があるにもかかわらず時間切れになっただろう。
2014-05-05 17:34:55結局、学習指導要領に束縛されており、指導要領の項目ごとに設問を作成しているから、そうなる。やはり、諸悪の根源は学習指導要領。そのへんは、今朝送った朝日新聞への投書にも書いておいた。
2014-05-05 17:35:34そして、多くの小中学生が抱いたであろう違和感は、これだ。「ふ~ん、学力テストって、変わってるなあ。いつも学校や家や塾でやってる勉強と、ずいぶん違うなあ」。これでもかというくらいの演出・脚色。これでもかというくらいの複雑な本文・設問。しかし、選択式問題は驚くほど平易。
2014-05-05 17:38:03この「変わった国語テスト」のありようが、あるべき国語授業の理想形だとは、到底思えない。その根拠は、これまで書いてきたとおりだ。となれば、このテストは、単なる変わりモノ。「変わった理想」も世の中にはあってしかるべきだが、今回は理想ではなくただの変わりモノ。それを224万人が受けた。
2014-05-05 17:41:01