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@simesaba0141 ベータ線熱傷が話題になっているので、少しまとめておきたい。まず根本から指摘しないといけないのは、熱傷と言う言葉に惑わされてはいけない、と言う点である。
2014-05-07 22:37:23@simesaba0141 実際、ベータ線、その正体は電子線だが、放射線治療に高エネルギー電子線と言うものがあり、この治療中に熱さを訴える患者は居ない。ベータ線熱傷は、熱による、いわゆる火傷とは全く別物である。別物だが、皮膚細胞の障害のされ方が熱傷と似ているので、そう呼ばれている
2014-05-07 22:38:08@simesaba0141 ただ、熱傷が皮膚面から障害されて奥に届いていくのに対して、ベータ線熱傷は逆だ。 つまり、表皮の下にある未分化な基底細胞が傷害されて起こるため、表皮が新陳代謝によって置き換わった後に症状が現れてくる。
2014-05-07 22:38:57@simesaba0141 従って、ベータ線熱傷が起きても、1日やそこらで出血に至ると言うのはちょっと怪しい。急性反応と言っても、このように新陳代謝が進む事によって顕在化する物もあると言う事は、頭に入れておいて損は無かろう。
2014-05-07 22:39:33@simesaba0141 ベータ線熱傷の仕組みを理解するには、物質内で高エネルギー電子がどう振舞うか、を理解する必要がある。ちなみに、福島で問題になっているトリチウムはベータ線放出核種だが、エネルギーが低いためベータ線熱傷は起こさない。
2014-05-07 22:40:07@simesaba0141 さて、物質内に入った電子は一直線に進む訳ではなく、あっちこっちの原子と相互作用を起こしながらエネルギーを失って行く。従って、描く軌道はアトランダムなジグザグ模様となる。
2014-05-07 22:40:37@simesaba0141 ボウリングのピンが相互にぶつかって倒れるように、ベータ線は周囲の原子の周りを廻る電子と衝突して、これをふっ飛ばし、飛んでいった電子が、また別の電子を…のような連鎖的な反応も起こす。
2014-05-07 22:40:55@simesaba0141 電子を吹っ飛ばすだけではなく、原子核の周りを一定の軌道を持って廻っている電子を、上の軌道に押し上げる事もある。これを励起と言う。吹っ飛ばす事を電離と言い、両方を併せて衝突損失と言う。
2014-05-07 22:41:19@simesaba0141 また原子核の近傍を通る時には、原子核のクーロン力を受けて、電子の飛んでいく方向が捻じ曲げられる事がある。この時、どれだけ原子核の近くを飛んだか、によって、異なる様々な波長のX線が出る。これを制動放射と言う。
2014-05-07 22:41:38@simesaba0141 どちらの場合も、元々ベータ線が持っているエネルギーを与えて減弱する訳だが、その代償として出てくるのは電子だったり光であって、熱ではない。これが、高エネルギー電子線を人体に当てても熱く感じない理由である。
2014-05-07 22:42:08@simesaba0141 放射線の吸収を表す単位はGy(グレイ)、またはJ/kgで、1キログラムあたり何ジュールの仕事をしたか、である。ここでジュールは熱、と短絡してはいけない。熱になる(ジュール熱)こともある、というだけの事である。
2014-05-07 22:42:35@simesaba0141 ジュールはeVという単位にも変換できる。ベータ線のエネルギーが600keVとか、高エネルギー電子線が6MeVとか言う、あのeVのことで、電子一個当たりの電位差と言う話になる。
2014-05-07 22:43:01@simesaba0141 光子のエネルギーも単位はeVで表す事が出来るので、制動放射で電子線がX線に変換されても、あるいは軌道電子の位置エネルギーが光に変換されても、どちらもeV-eVで単位に差は無く、熱でなくともエネルギー保存則が成立する
2014-05-07 22:43:25@simesaba0141 この辺りはお医者さんでも、放射線専門医で無い限り、まずご存じない。ゆえにベータ線熱傷を、単純熱傷と勘違いされる方が多い原因だろうと推察する。 さて、電子があっちこっちにちょっかい出しながら減衰することは説明した
2014-05-07 22:44:19@simesaba0141 では例えばセシウム137が出すベータ線は、物質内でどのくらいまで届くかと言うと、エネルギーが80%程度のエリアでおよそ2ミリメートルである。
2014-05-07 22:45:00@simesaba0141 ベータ線本体は直線的に動かなくとも、前述の二次的な電子が同じような振る舞いをするので、結局たった一本のベータ線でも3次元的に影響は及ぶ。ここがベータ線被曝が恐いとされる所以か?
2014-05-07 22:45:45@simesaba0141 推測だが、鼻粘膜にマイクロホットスポット云々だと、線源がミクロン単位であっても、ベータ線熱傷は直径4mm程度の半球状に及ぶと考えられる。
2014-05-07 22:46:47@simesaba0141 こうなると、実際に鼻血が止まる、と言う状況から見て、起こっているのはベータ線熱傷ではなく、やはり放射線以外の別の要因ではあるまいか。そうでなければあまりに辻褄が合わない気がする。
2014-05-07 22:47:01@simesaba0141 発症時期、症状、そしてもちろん、局所の線量率。どれを取っても事実に合わない。となると、やはり鼻血を出したと言う人の追跡調査や、スピリッツの取材スケジュールのトレースと検査、そうした取り組みが必須なのではなかろうか。(おしまい)
2014-05-07 22:49:54