では感情貯金に大きな負債を抱えて、ハードな悪循環ループにはまっているクライアントをどう援助するか。基本的にはクライアントの感情的負債を減らすことに協力し、親や世界を許す作業を援助していくことになる。
2014-05-13 09:03:44カウンセラーには当然、クライアントからの転移が向かう。つまり、ハード支配型M「奪う」という理不尽な感情が向けられることになる。その「奪う」動きを全て受け入れるのは、効率が悪い。奪うことで得られる感情貯金の量は小さいからだ。また「奪う」行動を強化すると、社会に対して不適応になる。
2014-05-13 09:07:25これはクライアントの感情的負債が多ければ多いほど言えることだ。クライアントが全てを取り戻し、感情的負債がゼロになったり、少なくとも世界を許す作業に取り組めるまで負債を減らす前にカウンセラーは潰れてしまう。
2014-05-13 09:09:10そこで、クライアントが一方的に奪いに来ることは一度受け止めるが、奪うことは許さない。その代わり、ソフト服従型Sでやれる範囲、社会的に許容される範囲の援助をすることで、関係をつなぐ。自分が怒ってしまって、奪い返すハード支配型Mのポジションに入ったり、関係を切ると状況は悪化する。
2014-05-13 09:12:58クライアントがぶつけてくる怒りや誹謗中傷などでカウンセラーに生じた感情的負債については「許す」ことで毎回チャラにする。これは「許す」という行為を実際にやってみせることで、クライアントのお手本、モデルとなる。人間、モデルがないとマネができない。
2014-05-13 09:15:16また、関係が安定している時にも、積極的にソフトな好循環のループを回す姿勢で接する。ハードな悪循環にはまっている人は、ソフトな好循環のループの振る舞いを知らないので、最初はカウンセラー側の都合を無視して、一方的にハード支配型M「奪う」動きで乗ってくる。
2014-05-13 09:17:45そうしたら、あくまでもソフトな好循環のループの基準で動くようにして、ハードな悪循環のループに巻き込まれないようにする。カウンセラーが完全に怒って恨みモードになってしまうと、全てが終わる。どれだけ、こまめに許して感情的負債をゼロにできるかが、カウンセラーの力量となる。
2014-05-13 09:20:16カウンセラーも人間なので、チャラにできる負荷には限界がある。その負荷を超えるクライアントは相手ができない。自分の実力を超える難しい相手、対応するのが現時点では無理な相手なのだと考えて、手を引いた方が良い場合も多いと思う。
2014-05-13 09:22:28自分が潰れない範囲で「許す」「ソフト服従型Sのループを回す」ことをクライアントとの間でやり続けることで、クライアントは少しずつ、感情的負債を減らしながら、「世界を許して、好循環のループに移行する」ことを模倣学習していく。そして、十分に時期が来れば、自然とそれが実行される。
2014-05-13 09:25:12現時点でぼくが考える基本的なアプローチはこのようなものだ。他にも細かい工夫や技のようなものもあるのだろうとは思うが、思えば、今まで自分はベースとしてはこれでやってきたし、その結果、時間とともに自然と良くなるケースも多かった。クライアントの負債量によってかかる時間は変わる。
2014-05-13 09:27:48また、ぼくが抱えられる限界を超えたクライアントについては、当然ながら良い結果が出せなかった。ぼくは自分が潰れないことを重視しているので、自分が潰れることは今までないのだが、その抱え込みでは足りずに改善しない例もあるのだろう。
2014-05-13 09:29:24そういう場合は、ぼくよりももっと力量、度量のあるカウンセラーのもとに行ってもらうしか手はないのだと思う。いずれにせよ、カウンセラー側は常に感情貯金を多く蓄えておいて、必要な時に放出できるようにしたほうがいいし、普段は効率よく溜め込んでおいたほうがいい。
2014-05-13 09:31:07ぼくの師匠であった先生は、大変に腕の良いカウンセラーだったのだが、ある日、突然、カウンセリングをやめた。本人曰く、嫌になったのだそうだ。今思うと、自分の感情貯金を貯める速度より、カウンセリングで減らす量の方が多くなって、自分の感情貯金がマイナスになってしまったのかもしれないな。
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