茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1236回【「良い馬鹿」と「悪い馬鹿」】連続ツイート

2014.5/15 茂木健一郎氏【馬鹿には二種類あって、同じ名前で呼ばれている】連続ツイート …馬鹿には二種類あって、同じ名前で呼ばれている。これは実に深く、興味のある事象ではないか。良 い馬鹿は、向こう見ずで、いろいろなことに挑戦してしまう。失敗を恐れない。自分がどう見えるかも 続きを読む
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1236回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、一つのobservation。

2014-05-15 07:23:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(1)馬鹿には二種類あって、同じ名前で呼ばれている。これは実に深く、興味のある事象ではないか。良い馬鹿は、向こう見ずで、いろいろなことに挑戦してしまう。失敗を恐れない。自分がどう見えるかも気にしない。他人の評判も気にせずに、ただ、やりたいことをやる。これは、良い馬鹿だ。

2014-05-15 07:24:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(2)良い馬鹿は、常識にとらわれない。既成観念に従う、ということがない。良い馬鹿は、他人に良く思われようと、小心翼々、自分の言動をあらかじめ縛るということがない。彼ないし彼女は、人から批判されようと、そんなことを気にせずに、やりたいことをやってしまうのだ。

2014-05-15 07:26:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(3)批判する側になるより、批判される側になれ、とはしばしば言われることである。批判される側は、多くの場合「良い馬鹿」であるが、批判する側には、悪い馬鹿が多く潜んでいる。それでは、そろそろ、悪い馬鹿たちについて、語ることにしよう。

2014-05-15 07:27:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(4)悪い馬鹿の特徴は、卑劣なことである。匿名性の蓑に隠れ、自分自身は安全地帯において、身体を張って良い馬鹿の道を言っている人に罵詈雑言を浴びせて、チンケな満足感を得ている。悪い馬鹿たちは集団で、イナゴのように動く。バッシングの対象を見つけると、わーっとたかっていく。

2014-05-15 07:29:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(5)悪い馬鹿たちは、Dunning-Kruger効果に記述されているように、しばしば自分たちの能力を実際よりも高く見積もる。良い馬鹿がアホのように歩む、その後ろから、良い馬鹿だってとっくの昔に知っていることを指摘して、優越感に浸ることで、自分の小さな自我を保っているのだ。

2014-05-15 07:30:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(6)悪い馬鹿のことをあまり記述しても有益ではないので、これくらいにするが、その数は実に多い。さて、ここで、興味深い問題がある。良い馬鹿と悪い馬鹿は、人間のあり方として全く対極的なのであるが、日本語でも、英語でも、多くの言語において、同じ言葉で記述されているのだ。

2014-05-15 07:32:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(7)たとえば、Steve Jobsがスタンフォード大学の卒業式で、Stay hungry, stay foolishと言った時は、良い馬鹿を指している。ところが、「foolish」という同じ単語が、悪い馬鹿に対しても用いられる。これは、人間の迂闊か、それとも深い叡智か。

2014-05-15 07:33:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(8)トルストイの「イワンの馬鹿」は、良い馬鹿と悪い馬鹿が交錯する創作である。トルストイは、脇目もふらず、自分自身の道を行く「良い馬鹿」を信じ、その一つの象徴として「イワン」という人物を造形した。その良い馬鹿と、悪い馬鹿たちが行き交い、一つの物語をつくる。

2014-05-15 07:35:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

ばお(9)同じ言葉で記述されているということは、「良い馬鹿」が、無防備に、自らの道を行こうとしている時に、一見、「悪い馬鹿」の愚鈍に近づくことがあるということであろう。なぜ、fool はfoolで、馬鹿は馬鹿なのか。自分はどっちか。雨の日は、歩きながら考えて見るのが良い。

2014-05-15 07:36:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1236回「馬鹿には二種類あって、同じ名前で呼ばれている」でした。

2014-05-15 07:36:55