社虫太郎さんによる「風評被害」についての考察

社虫太郎さん @kabutoyama_taroによる「風評被害」についての考察。 【キーワード】 ○リスクテイカー/ノンテイカー ○排除とカタストロフィ ○「風評」と内部的排除 ○原子力をめぐる政治的二項対立 ○目的関数としてのリスク ○リスクと当事者性 ○倫理/規範 ○無法の表象 ○代表性の政治学 ○分断 続きを読む
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「リスク論から考える除染の問題」「非知のコミュニケーション」に関連して

社虫太郎 @kabutoyama_taro

仮に鼻血の「増加」はないとしても、あのような状況下で鼻血を出す人がいれば因果性を疑ったり強い不安を覚えるのが至極当然であり、かつ一定の確率で鼻血を出す人が必ずいたに違いないという自然法則に照らせば、双葉町の「症状を訴える町民がいる事実はない」という主張は極めて危険かつキナ臭い。

2014-05-10 04:00:15
社虫太郎 @kabutoyama_taro

「代表性」とはそれが政治的なものであれ言説的なものであれ本質的に恣意的。その限界や副作用やそれが排除するものへと目を向けるのが外部観察者というものだろう。 県がHPに反論掲載へ 「美味しんぼ」鼻血描写問題(福島民友ニュース) http://t.co/0KIGrErR3q

2014-05-11 18:24:38
社虫太郎 @kabutoyama_taro

風評被害という語については、おそらくもう「リスクをテイクする当事者」と「その決定に参加しない部外者」との間で言葉が通じないほどの視座の乖離が生じているようにも感じられる。 http://t.co/EWX7Q6Gx6f

2014-05-11 18:53:59
社虫太郎 @kabutoyama_taro

そして先の「代表性」との絡みで言えば、「このリスクをテイクする者」=【フクシマ】という表象政治がほぼ完全に成立したように見える。 http://t.co/9IW0gxFwcE

2014-05-11 19:00:11
社虫太郎 @kabutoyama_taro

それにしてもこの理論は恐ろしいほど現状によく当てはまるというか、今まさに炎上してる鼻血問題なんてこの「特定化されない非知」そのものだわ。http://t.co/EWv4QVtDeY

2014-05-11 19:07:07
社虫太郎 @kabutoyama_taro

なにせ風評被害という語を用いることは、「当のリスクをテイクする立場」であることのおよそトートロジカル(同語反復的)な表明そのものであると断言して差し支えないだろう。しかしそれは直ちに、リスクテイクを躊躇・拒否する者との乖離を宣言すること、語弊を恐れず言えば宣戦布告ですらある。

2014-05-11 19:18:25
社虫太郎 @kabutoyama_taro

ことほどさように、リスク/危険の視座乖離という一般理論から見れば、風評被害という語はそれじたい社会の中に分裂やコンフリクトを生起せしめる(シンボルsymbolならぬ)悪魔diabolワードであると言わざるをえない。

2014-05-11 19:20:31

リスク/危険、リスクテイカー/ノンテイカー

社虫太郎 @kabutoyama_taro

リスク/危険という二項対立はわかりにくいので、リスクテイカー/ノンテイカー(部外者)と表現するほうがいいかもしれない。で、リスクテイカーから見た好ましからざる・しかし許容すると決めた可能性をリスク、ノンテイカーから見た好ましからざる・許容しえない可能性を危険と呼ぶお約束。

2014-05-11 19:39:49
社虫太郎 @kabutoyama_taro

なんと行政のHPにツイートボタンがついてるのか。 なにせこれはもう科学的論争に突入しているので、この水準で行うべきやり取りではないな…。 週刊ビッグコミックスピリッツ「美味しんぼ」に関する本県の対応について - 福島県ホームページ http://t.co/fuHi4EYEX1

2014-05-12 11:40:18
社虫太郎 @kabutoyama_taro

ハッキリ言えるのは、ここで展開されている言説はあくまで(科学ではなく)「ポリティクス」という分類に属するものであるということ。 政治だから良いとか悪いとかいうことではなく、純粋に事実問題としてこれは政治である、というただそれだけの指摘なので誤解されぬよう。

2014-05-12 11:49:48
社虫太郎 @kabutoyama_taro

"県産農林水産物については、「農地等の除染」「米の全量全袋検査などの徹底したモニタリング検査」等により安全性の確保、市場関係者や消費者の理解が進むとともに、観光分野においても、観光客入込数が回復傾向にあるなど、ようやく本県への風評も和らぎつつある状況に至ったところです。"

2014-05-12 12:23:08
社虫太郎 @kabutoyama_taro

震災前と比べてマイナスになっている指標は基本的に「風評」と見なすお約束が完全に確立・定着したということか…。 しかしこれは社会科学的には必ずしもノーマルな認識とは言えないというか、この問題の社会的取り扱いが完全に社会科学不在のまま進んでいるのはかなりまずいという気がする。

2014-05-12 12:29:40
社虫太郎 @kabutoyama_taro

というか、この社会科学的感覚不在は、おそらく政府レベルでは「故意」だろう。 つまり事態を積極的にポリティクス/イデオロギー化しようとする意志が存在する。

2014-05-12 12:31:05
社虫太郎 @kabutoyama_taro

3つ前の「宣戦布告」という表記は、リスクテイカーの側がマジョリティである場合はニュアンスが少々不適切かもしれない。ノンテイカーの側からすればそれは多分に暴力性を伴う「社会的排除」だろう。 つまり風評被害の語は、共同体への帰属やロイヤリティに関する「踏み絵」として機能している。

2014-05-12 12:39:18
社虫太郎 @kabutoyama_taro

リスク問題を社会科学的に見るということに関しては、こちらの一連のスレッドを参照されたし。https://t.co/9Mz3nACDwP

2014-05-12 12:47:10
社虫太郎 @kabutoyama_taro

いずれにせよ、行政=公共団体が積極的かつ正面切って「排除」「色分け」のロジックを振り回すのはかなりまずい。 しかもこの排除と色分けの力学は、必ずしも対外的にだけでなく共同体の内部に対しても作用しているに違いないし、またそうした「内部的排除」のほうが問題としては遥かに深刻な筈。

2014-05-12 12:59:16

排除とカタストロフィ

社虫太郎 @kabutoyama_taro

排除とカタストロフィ "「危険」を被る被影響者の立場から表明される非知は、どちらかといえば「特定化されない非知」、どこが不明であるのかすら不明であるという事態、「カタストロフィの閾」を越えてしまったところに形成される非知である。" http://t.co/EWv4QVtDeY

2014-05-12 14:05:01
社虫太郎 @kabutoyama_taro

"ある種の決定に関与できない被影響者を、数量的なリスク計算によって説得させることができなくなるとき、そこにカタストロフィが成立する…自主避難というのは、こうした「特定化されない非知」からのカタストロフィ的行為、矮小化された非知の特定化への、被影響者からの「異議申し立て」である"

2014-05-12 14:08:38
社虫太郎 @kabutoyama_taro

この社会科学的には極めてノーマルな反応であるカタストロフィを慎重かつ適切に取り扱う作法が、公害問題等の経験にも関わらず全くと言っていいほど「学習」されていないことは大変まずい。あまりにまずすぎる。(いや故意に学習を忌避したのか)https://t.co/WaH39ywWvq

2014-05-12 14:20:32
社虫太郎 @kabutoyama_taro

カタストロフィ的反応は必ずしもあからさまに不合理なものであるとは限らない。 例えば兵庫県産品と福島県産品を並べられたら品質や価格が同等であれば兵庫県民の大半は兵庫県産を選ぶだろう。これは先の定義に基づけばカタストロフィだが、消費者の一般的行動として必ずしも不合理とまでは言えない。

2014-05-12 14:24:11
社虫太郎 @kabutoyama_taro

歴史をひもとけば、公害クレイムの多くは「特定化されない非知に基づくカタストロフィ的反応」という形から始まっている。 むろんそれは単なる杞憂or狼少年で終わる可能性も留保せねばフェアではないが、それでもなお社会がカタストロフィ的反応を慎重に扱うべき理由はそこにもある。

2014-05-12 14:44:20
社虫太郎 @kabutoyama_taro

有象無象の世論は仕方ないとしても、政府・行政は、こうした「カタストロフィ的反応」を、社会的リスク問題においては必ずや生じうる"ノーマルな事態"として受け入れ、慎重に扱え。積極的排除など言語道断。社会に分断と亀裂を好んで生み出す"悪魔diabol"の役回りを演ずるな。

2014-05-12 14:54:02
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