茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1243回「男と、女の脳差ってよく聞かれるんだけど」
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おお(1)脳科学者をやっていると、よく聞かれる定番の質問がいくつかあって、それらは、実は研究テーマとしては主要なものではないということが多い。誰も、「クオリアと志向性はスペクトラムの中でどう位置づけられるのか」なんて聞いてくれない。もっと素朴な人生真実質問が飛んでくる。
2014-05-22 07:34:24おお(2)定番の質問の一つが、「男の脳と女の脳はどう違うのか?」というもので、正直、多くの研究者にとって、主要な関心事ではない。もちろん大切な問題ではあるが、他にもっと重量級の質問はある。で、なぜこの質問がポピュラーになったかと言えば、「地図を読めない女話を聞かない男」みたいな
2014-05-22 07:35:44おお(3)本のせいであろう。ところで、男女の脳差については、女性の方が左右の半休を結ぶ脳梁が太いとか、いろいろあるわけだけど、私が比較的良い視点だと思うのは、共感回路に関する研究で、男性は、敵だと思うと、相手の痛みに対する共感回路をシャットオフしてしまうのだけれども、
2014-05-22 07:37:51おお(4)女性はたとえ相手が敵だとしても、その痛みに対する共感回路の活動が残るというデータがある。これなぞは、敵味方関係なくその看護に尽くしたナイチンゲールのケースなどを思い起こさせて、良い話だなと思う。それで、男女の脳差について不思議なのはジェンダーの問題は複雑になっているのに
2014-05-22 07:39:36おお(5)「地図を読めない女話を聞かない男」のような、ステレオタイプを確認したい、確認してもらうと安心する、みたいな傾向が世間にあることで、だからこそ、「男の脳と女の脳はどう違うのか」という定番の質問を受けると、当惑するというか、その場から光速で逃走したくなるわけである。
2014-05-22 07:40:38おお(6)亡くなった将棋の米長邦雄さんは、ある時お話したら、将棋の能力において、男女の差はありませんと断言されて、素敵だと思った。たとえ、現状で実力に差があっても、それが永遠に続くとは限らない。女性棋士でがんばっている人がいる時、男女の脳差がうんぬんというのはナンセンスだ。
2014-05-22 07:42:28おお(7)男女の脳差といっても、統計的な概念であり、個人差も大きく、パラーメータ数も膨大だから、たとえば将棋は男性の方が得意だ、と決めつけることは愚であり、その点、米長邦雄さんのように、「男と女の能力の差はありません」と断言する方がさわやか流的に正しいと言えるだろう。
2014-05-22 07:43:43おお(8)もう一つ、たとえジェンダーによる脳差があるとしても、男、女がお互いの特徴を取り入れた方が、より幅広い活躍ができるという視点もある。たとえば、男性は、女性の傾向を取り入れた方が(敵の痛みをも、共感できる)より現代的な意味で素敵なひとになることができるだろう。
2014-05-22 07:45:31おお(9)男女の脳差うんぬんの話は、思考停止の気味があるから、あんまり面白くないのだろうが、その一方で、ジェンダーによる統計的な傾向があるのは事実であり、そのスペクトラムを超え、両性の本質的共鳴に基づく、トランスジェンダーを目指すのが一番面白いと私は考える。
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