【続・五月の底辺】福間健二 #2factory65

ツイート詩を始めてから三年たちました。休みを入れているので、今回の最後が九五〇本目です。いちばん最初に書いた「五月の底辺」を思い出しながらやりましたが、あまり関係のないことに。5は、その日の朝に見た夢。行かなかった授業、心配してきてくれた両親、バターつきのパン、「貧民街の少女」が出てきたのです。途中、話者が入れ替わっていますが、「古い友だち」はもともと分身的なので、そうだと気づかれなくてもかまわないというところも。ニーチェ、最近勉強しました。ボブ・ディラン、夢のなかの「少女」が彼の「John Wesley Harding」に出てくる少女だったのです。 音楽は、ディランじゃなくて、単なるいまの気分の、少女のイメージで、スロヴェニアでCDを買ったMaja Keuc の「Tako lepo mi je」。 https://www.youtube.com/watch?v=RLNa8pRpqso
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福間健二 @acasaazul

あれから三年たった。ぼくはまたおなじみの症状に苦しんでいる。殺せなかった日本語があちこちの関節に入り込んで、せっかくの錯乱をだいなしにしてくれる。チッ、チッ、チッ! あとだしジャンケンで勝ってるだけのバカども、言葉は道具じゃないんだぞ!(続・五月の底辺1)#2factory65

2014-05-10 08:48:55
福間健二 @acasaazul

きょうも足りないものはない。あいさつ。情報。社交術。人見知りのやさしい目もある。情報を書かない詩人の、魔法のドアだって。でも、世界は退屈な映画だ。弱虫だった子どもが後指さされないように微笑しながら最悪のドアを示す。あけるのは自分じゃない。(続・五月の底辺2)#2factory65

2014-05-11 09:55:06
福間健二 @acasaazul

簡単な昼食。きのうの味噌汁にヨーグルトとごま油を入れてラーメンをつくる。酸っぱさがいいと笑った古い友だち。彼はすっかり忘れている。何に乗りそこなってここまでおりてきたのか。欲望という名の、このライター、捨てようとして試すと点くんだよね。(続・五月の底辺3)#2factory65

2014-05-12 10:11:41
福間健二 @acasaazul

断片、謎、残酷な偶然。ニーチェは、ツァラトゥストラは、人間はそれだと言った。そして、それをひとつのものにするのが「わたしの創作と努力の一切だ」と。百円ショップで買った杖をついてさっきから寒そうにしている古い友だち、きみの場合はどうなのか。(続・五月の底辺4)#2factory65

2014-05-13 10:39:38
福間健二 @acasaazul

一、二と授業をやって、昼休み、なにかしているうちに、気がつくと三が終わってる午後三時。連絡を受けた父と母が駆けつけてくれた。二人とも死んでいるというのに大きなバターつきパンを半分ずつ食べている。それを「貧民街の少女」が横取りしようとする。(続・五月の底辺5)#2factory65

2014-05-14 10:53:44
福間健二 @acasaazul

うるせえ。そう言うだけ。その少女こそ、断片、謎、残酷な偶然が共謀したミス。でも小さなミスだ。弱いのか、やさしいのか。母が自分のパンを少女にあげて二人は涙ぐむ。ぼくは泣かない。四時間目に行く。でも行き方わからない。ついてこいと少女が言った。(続・五月の底辺6)#2factory65

2014-05-15 13:59:34
福間健二 @acasaazul

バスでもストリートカーでもない。人が人を侮辱する街のすみずみに通じた少女の病んだ心に乗った。むきだしの部分に汗の粒びっしりの少女。先に入ったのは、鉄条網をめぐらした侵入禁止区域。さあ、つながらない断片を組み合わせてつくる欲望の教室だよ。(続・五月の底辺7)#2factory65

2014-05-16 12:04:48
福間健二 @acasaazul

早く入って「ここの炎症ができているところに」嘘をつかないキスをして。じゃないと、わたしまたお腹がすく。このゴミたちと下層の動物たちの身代わりになって。シャンラララ、どうしよう。年のはなれた大金持ちと結婚して不幸な真珠夫人になってしまうよ。(続・五月の底辺8)#2factory65

2014-05-17 10:13:01
福間健二 @acasaazul

だけどぼくはニーチェでもボブ・ディランでもない。たまにひとりで病人と医者やってこの世の終わりの咳で体を弛めたり、親指ほどの、動物の子を生きかえらせて棚に並べたりはするけどね。入らなかった。入らないなら心臓の病気もってる大金持ち探してこい!(続・五月の底辺9)#2factory65

2014-05-18 10:17:33
福間健二 @acasaazul

昔は金持ちになったり、貧乏人になったりして、お姫さまの機嫌をとった。いまはここにおりてラーメン食べて、そうか、死者の心に乗るのか。おやじたち、どこに行ったかな。古い友だち、謎を解けない詩人である。北国に行ったら四時間目の少女によろしく!(続・五月の底辺10)#2factory65

2014-05-19 11:08:14