福井地裁の判決文が異例の踏み込みで原発政策を批判

原発事故後では初の原発差し止め訴訟に関する判決で、福井地裁は5月21日、大飯原発の再稼働を認めない判決を出しました。この判決文(要旨)の踏み込み方が非常に素晴らしいと、ネット上では大評判に。一部を引用して紹介します。
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木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

大飯原発の安全性について判決は「確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ない」と明解に指摘。→【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載します / NPJ ow.ly/x7wg3

2014-05-22 08:26:14
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前1)被告の、原発はコスト低減になる等の主張に対しては「極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことである」うえ・・(続)

2014-05-22 08:33:42
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前2)国富流出との議論は「たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と一刀両断。

2014-05-22 08:34:45
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前3)国富流出論について「「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」って、すごくないですか。さらに判決文は、福島第一原発の事故は日本最大の環境汚染事故であると認定しています(続)

2014-05-22 08:35:41
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前4)原発はCO2削減になるという主張に対しては「原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである」。

2014-05-22 08:37:20
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前5)「環境問題を原発運転の根拠とすることは甚だしい筋違い」ときたか〜。いや、判決文の踏み込み方、表現力が半端なくて、泣けます。この3人の裁判官、素晴らしい!

2014-05-22 08:38:06
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前6)ところで判決は福島第一原発事故について、以下のように認定しています。「福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている・・・(続)

2014-05-22 08:40:02
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前7)「・・・家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない」。続けて、放射線の健康影響については、20年以上にわたって広範囲の避難区域を維持しているウクライナ、ベラルーシの現状を紹介。

2014-05-22 08:42:45
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前8)両国政府がそうせざるをえない事実は、「放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるもの」と指摘。福島原発事故の直後に原子力安全委員会が、半径250kmの避難勧告を検討したことは・・(続)

2014-05-22 08:44:07
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前9)・・250kmという距離は「緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断することはできないというべきである」とし、事故による影響を避けるための避難区域が膨大になることを認めている。これらの指摘を、原子力規制委はどう考えるのか。

2014-05-22 08:45:45
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前10)という疑問が浮かぶが、規制委の田中委員長は、裁判所の判断は裁判官の考えであって、「我々は科学技術的な知見に基づいて、基準に適合しているかの判断をする。そこでどうするかは私達の判断ではない」という認識。つまり、考慮はしないということ。

2014-05-22 08:48:57
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前11)もちろん規制委は規制委で科学的知見に基づいて審査すればいいのだが、実際には、福島第一原発事故の検証はできておらず、事故原因は未解明。そのための資料が大量にあるにもかかわらず、例えば吉田調書すら田中委員長は「見る見ないを決めていない」と、昨日の会見で述べている。

2014-05-22 08:50:39
木野龍逸 (Ryuichi KINO) @kinoryuichi

承前12)つまり科学的知見は、事故原因を「推定」したうえで得たものにすぎない。事故原因の精査も済まないうちに、福島の事故の教訓を生かして安全性を高めるといっているわけで、これほど非論理的、非科学的な話はないだろう。原発安全性を議論する前に、事故調査を徹底すべきだ。

2014-05-22 08:53:54