三日目、昼の記録 - 選定のオルディナンス

2014/05/24から2014/05/26までの、〈勇者〉と〈神具〉の語らいの様子です。
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クレアーヘリオン @Clairherlion

狭い。明らかに間近に、人の気配……どころか、温度がする。ぱちりと目を開くなり、僕は『それ』から距離を取るように、外へ這い出した。胸の下半分と腹を隠せていない、服の残骸を身に着けたまま、冷たい床石の上にぺたんと座る。 「……なんで同じところに入ってんの、こいつ……」 げんなりする。

2014-05-24 00:37:30
クレアーヘリオン @Clairherlion

べつに、それがエオンの行動によることだと思ったわけじゃない。疲れて眠かったけれど、これだけ近づかれて起きないわけがないのだ。だから嫌悪や怒りはないし、ただ不本意だ遺憾だという思いでため息をつく。 「……はあー、そういえばひとつなくなってたけど……ひどいなー」 まだ眠い目を擦って。

2014-05-24 00:37:39
牡丹 @ordnanceI_peony

向ける好意と与える好意の絶対量は等価。黎明の空。白染の視界。女は乙女へ手を伸ばして―― 夢から現実へ戻るように。 夜から、昼へ切り替わる。 「……夢オチだったら泣くぞ、コレ」 羽毛に包まれる布団の中、僅かに和らいだ倦怠感を覚えながら、女は伽藍の天井へ手を伸ばしたまま、毒づいた。

2014-05-24 02:54:28
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「お早う御座います、契約者様」 お早いお目覚めですね、と掛かる声は穏やかに。女の寝そべる布団の脇に座っていた書は穏やかな微笑みを湛えて。 「――ところで牡丹様、ゆめおち、とは?」 零れた言葉を拾い、口にしたまま首を傾ける。目が覚めたのに夢に落ちるとは、と言いたげな雰囲気を醸し。

2014-05-24 03:42:45
人間《ディアドラ》 @actSkbz

毒づいた女の顔を覗き込むようにして、書は身を乗り出すような体勢を作る。 「ああ、そうだ。お加減はいかがですか」 首を傾げたまま、もうひとつ問い掛けを投げる。だいぶ疲労は抜けたかと思いますが、と続けて、胸の前で手を合わせた。

2014-05-24 03:45:43
牡丹 @ordnanceI_peony

頭上から掛かる声と、き込む乙女。その姿に安堵を覚えたと共に、″誰に問うでもなくそう感じた″自分自身を、苦笑する。伏せる瞳。出した掌を軽く振って。 「……いいや、何でもないよアステーリア。『華胥』の様なものだ。帰ったら、読ませてあげる」 誰もが望む理想郷。夢物語は、夢のままでいい。

2014-05-24 07:06:26
牡丹 @ordnanceI_peony

起こす体。覚える疼き。右腕は、もう痛まない。 「そうね……ええ、大丈夫。十全、とはいかないけど」 刀を取り、振るうには十分過ぎる。回路が繋がるとは、こういう事なのだろう。 「いずれ慣れるさ。これが、お前との繋がりなら」 繋がりは、痛みを伴うのだ。それが人とであれ、神具とであれ。

2014-05-24 07:15:05
不老 蓮 @Lotus_frow

どっぷりと眠りについていた男は温かい感触に心地好さを感じていた。真っ暗な瞼の裏側からみる世界はなにも写さず、その正体が何であるかわからない。 不意に『それ』が離れる。 追うように寝返りを打てば先程まで何かが布団を温めていた温もりがあった。

2014-05-24 07:54:27
ニゲルニグ @niger_nig

また増えてんな。 ぽつぽつと起き出す勇者達ーー決闘してた二人が同じ布団にいたのは笑いそうになったがーーを認識しながら斧は広間の中を観察する。 温かく十分な量の食事がのったテーブル。 3日目。最後の晩餐。 おあつらえ向きなこったで。

2014-05-24 09:19:14
ニゲルニグ @niger_nig

「おはよう勇者達」 二日目の朝と同じ言葉を広間に向かって投げかける。 「ああ、クレアへーリオン。エオンがそこに服を用意してくれてんだろう? 起きたなら着替えることを勧めるね、俺は。ズタボロのままが好みだと言うなら無理にとは言わんが」

2014-05-24 09:23:24
スウェンテイル及びThe C @sousaku_asobi

「おかえりなさいませ」戻って来た者、目覚めた者、気がついた者。それらを歓迎する声、ひとつ。目を向ければ、時計の顕現体が目に入るだろう。けれど今は、人間の膝下にも満たない小ささではなく、成人女性と同じくらいの身長になっていて。腰の前に手を添え、人形は丁重な趣で立っている。

2014-05-24 09:51:58
スウェンテイル及びThe C @sousaku_asobi

黒いドレスの上に、レースで飾られたエプロンをつけて。「勇者さまたちのご希望もあり、即席ながらお食事をご用意させていただきました」見目も、雰囲気も、声音も。幼子のような甘さは人形からは消えて、淑やかな女性のそれに変わっていた。しっとりと落ち着いているような。品のある。

2014-05-24 09:52:02
スウェンテイル及びThe C @sousaku_asobi

「料理のご要望がございましたら<改竄>を以って即座にお持ちいたします。お気軽にどうぞ」覚醒を始めた者たちへ向けて、そう丁寧に述べて。

2014-05-24 09:52:06
キュセル @ozQuseL

不意に、布団の一つ。その枕元に置かれた女物の服が、震え出す。 「提案。クレアーヘリオン。キュセルは、起床の前に、クレアーヘリオンが身支度を整える事と、キュセル自身を装備する事を提案します」 服の中から、女の声がする。小刻みな振動音は、擬音にするのなら「ぬ゛ーっ、ぬ゛ーっ」である。

2014-05-24 10:11:13
セシリオ @ord_cecilio

丸まったまま布団に収まっていた小さな体が、シーツと同色の頭がもぞもぞと動いて、泣き腫らした目がぼんやりと円卓を捉える。初めはそれが何なのか分からぬ風でぼうっとしていたが、その視覚情報が目から脳へと届けば布団を跳ね飛ばす勢いで跳ね起きてその上に乗せられた様々な料理や菓子を眺める。

2014-05-24 10:51:04
セシリオ @ord_cecilio

「すごいや、やっぱりミシェルに任せてよかった! 僕じゃあこんなにたくさんは、きっと考えつかなかったよ」 自分のイメージはせいぜい紅茶とそれに合わせる菓子くらいのものだった。それより遥かに豊かで豪勢な食卓に心躍らす。

2014-05-24 10:51:24
セシリオ @ord_cecilio

「Cも、ありがと--」 眺め回す中に、小さな人形は見当たらない。訝しげに声は途切れ、無言のまま広間をぐるりと見回して、人影は大きな物が8になっていることを理解し、 「……C、だよね?」 と、その面影を残すものへ向けて問う。

2014-05-24 10:51:30
ヨモギ @ord_yomogi

「また随分と暴れてきたようね」 呆れ越えを隠さぬ矛の台座には他のそれとは異なり東洋風の白木の膳が据えられている。 「その様子だと決着は付いたのかしら」

2014-05-24 11:05:31
ヨモギ @ord_yomogi

いずれにしても、と続く。 「はやく身支度を調えなさいな。せっかくのご馳走なのだから」 ねぇ、と選定の間全体を見渡しながら声をかけた。

2014-05-24 11:08:37
スウェンテイル及びThe C @sousaku_asobi

@ord_cecilio 「はい。わたくしがCです」少年よりも、頭1つぶん以上は高い背丈から。口許を優しく緩めた女性が、玉繭色の白髪を揺らしながらそう答えた。弾むような調子ではなく、大人びた静けさを伴って。「あるじを伴わない力ですから、一時的なものではありますが――」

2014-05-24 11:15:28
スウェンテイル及びThe C @sousaku_asobi

@ord_cecilio 「ミシェルさまの深層心理に影響され、Cもこのように<改竄>されたようです」己の指先を見下ろし、からだをぺたぺたと触って。自分の体躯、物珍しそうに観察する。「きっとこうした方がミシェルさまの近くにおられたか、あるいは求めていらしたのでしょうね」

2014-05-24 11:15:53
クレアーヘリオン @Clairherlion

掛けられた声に顔を上げて、枕元で振るえる服に目を落とす。 「おはよう、キュセル、ニゲルニグ。そうするよ」 それに埋もれている剣を助けるように、服を持ち上げて膝の上に退かす。着替える前に、震える剣を一度手にとって、笑う。 「ね、僕が勝ったんだよね。キュセルと一緒に、帰れるんだよね」

2014-05-24 12:27:37
クレアーヘリオン @Clairherlion

呆れ果てたようなヨモギの声にも顔を向けて、肩をすくめる。 「死なないからって無茶しすぎたのは、ニゲルニグに叱られたから、反省してるよ」 二度とはできないことだと思う。次があるとしたら、その時は、僕は既に『死んでいる』のだろうと。 「でも、勝ちたかったんだもん」

2014-05-24 12:37:02
ミシェル @tfhMichelle

寝て、起きた、という実感がない。 Cの声の余韻に浸り、気付けば豪勢に様変わりした広間に立っていた。 キュセルを争って決闘に赴いていた二人もいつの間にか戻ってきている。……二人とも恐ろしいいでたちになっているが、結局どちらが彼女を手に入れたのだろうか。 「____あれ? C?」

2014-05-24 13:59:15
ミシェル @tfhMichelle

二日目の朝と同じく姿を変えていたCに目を丸くする。 前回の姿の変化とは大分異なるが、 「____ああ、Cだ」 にこりと微笑む大人びた『C』は、まぎれもなく彼女だ。

2014-05-24 14:02:45
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