牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラシー」『科学』6月号。

宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。 岩波書店雑誌「科学」2014年6月号掲載の牧野淳一郎氏の論考に関するツイートです。
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島薗進 @Shimazono

0牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラシーno.20」『科学』6月号。届いたばかりの『科学』6月号ですが、重要論考が目に止まりました。まず、牧野氏の論考からその一部を紹介します。「重要論考」という意味は、健康調査と健康支援のあり方を再考すべきことを強く示唆する内容と思えるからです

2014-05-25 15:59:45
島薗進 @Shimazono

1牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラシー20」『科学』6月号。県民健康調査の第14回検討委員会(2/7)段階の2013年分の甲状腺がんの検査結果から見えること。福島県の中で地域差が見えてきている。2011年の避難地域、12年の中通りに比べて13年の県南・北・西部の割合が低い。

2014-05-25 16:01:02
島薗進 @Shimazono

2牧野淳一郎氏「3.11後の科学…」『科学』6月号「岡山大学や千葉大学などでの(学生対象の甲状腺がん)調査では福島での2011,2012年度に比べると1/2~1/4程度の悪性率になっている、というのは1月号で述べたことですが、2013年度の調査結果はそれらの、福島県以外の調査と」

2014-05-25 16:02:08
島薗進 @Shimazono

3牧野淳一郎氏『科学』6月号「(2013年度の甲状腺がんは11,12年度よりだいぶ低く、岡山や千葉での調査結果と)矛盾しない程度になっているわけです。このように統計的に有意かもしれない地域差が出ているにもかかわらず、検討委員会ではそれについては議論されていないようです。」

2014-05-25 16:02:34
島薗進 @Shimazono

4牧野淳一郎氏「3.11後の科学…」『科学』6月号「また、「平成26年3月11日「報道ステーション」の報道内容についての福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センターの見解」では…「甲状腺がんの発見率に地域差がみられない」と明言しています。しかし、根拠は特に与えられていません」

2014-05-25 16:03:10
島薗進 @Shimazono

5牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラ…」『科学』6月号「3月28日に環境省はわゆる3県調査、つまり青森、山梨、長崎の3県で4400名について検査を行った結果を公表しました」「同日の朝日新聞は以下のように報道しています。「(見出し)甲状腺がんの発見頻度変わらず 福島と他県 環境省

2014-05-25 16:03:54
島薗進 @Shimazono

6牧野淳一郎氏「環境省は28日、福島県外の子ども約4400人の甲状腺検査で、1人ががんと診断されたと発表した」(中略)「環境省は「今回の調査により、症状のない子どもを検査すると被曝とは関係なく、がん登録よりもがんが多く見つかることが確認できた」としている」朝日記事の引用終わり。

2014-05-25 16:04:58
島薗進 @Shimazono

7牧野淳一郎氏『科学』6月号「この結果は4400人に1人なので、2400人程度に1人である福島県の2011,2012年に比べると少なくなっています。また、調査対象者のうち16~18歳以上が20.8%(女性だけで12.7%)と高いため、本来福島県調査に比べて高くなっています。」

2014-05-25 16:05:38
島薗進 @Shimazono

8牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラシー」『科学』6月号「したがって、年齢調整などをすると大体1/3程度と低くなっていてこれもまた従来の岡山大学や千葉大学での調査と変わりません。もちろん、調査の母数が小さいため発見数が1と小さく、統計的に差がある、といえるほどではありません。」

2014-05-25 16:06:00
島薗進 @Shimazono

9牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラシー」『科学』6月号「本来3名程度発見されるはずであったとしても、1名か0名になる確率は10%程度(ポアソン分布を仮定した場合)あるからです」「上の朝日新聞の記事において、環境省の言い分である、「症状のない子どもを検査すると」

2014-05-25 16:06:16
島薗進 @Shimazono

10牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラシー」『科学』6月号「「被曝とは関係なく、がん登録よりもがんが多く見つかることが確認できた」は嘘ではないのですが、このことは、新聞記事で主張されている「甲状腺がんの発見頻度変わらず 福島と他県で」ということを意味していないし、むしろ」

2014-05-25 16:06:33
島薗進 @Shimazono

11牧野淳一郎氏『科学』6月号「数値を見る限り、環境省調査の結果は、福島県の2011,2012年度調査では他の県より甲状腺がんの発見頻度が高い可能性を示唆するものになっています」「最近の政府の発表やそれをうけた報道では、データ(ないしその一部)は正しいものを公表するものの」

2014-05-25 16:06:52
島薗進 @Shimazono

12牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラシー」『科学』6月号「そこから科学的にいえることとはまったく逆の結論をなんの根拠もないのに堂々と主張する、ということが多くなっているように思います。もちろん、このことが最もめだったのは3.11直後で、空間線量率があがっているのに」

2014-05-25 16:07:14
島薗進 @Shimazono

13牧野淳一郎氏「放射性物質の放出は微量であることになっていたころです。しかし、甲状腺がんに関する発表・報道では同じパターンが踏襲されているようにもみえます。数字は正しいので捏造や隠蔽をしているわけではないといえなくはないですが、数字からはいえないことを主張しているのです。」

2014-05-25 16:07:30
島薗進 @Shimazono

14牧野淳一郎氏「3.11後の科学リテラシー」『科学』6月号。甲状腺がんの見つかっている頻度が福島県内の地域によって異なり、それは放射線量と対応している可能性があることについては、『科学』3月号の津田敏秀氏「2014年度2月7日…発表データによる甲状腺検診分のまとめ」も参照。

2014-05-25 16:07:54