茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1247回「パフォーマンスでなく、ポジション」
- toshi3636_1
- 5390
- 0
- 1
- 105
ぱぽ(1)ある出版社から、教育の本をつくろうとしていて、いくつか取材している。編集者に、世間からFランク大学と言われている大学の学生としゃべりたいと言ったら、探し出してきてくれた。実際に会ってみたら、深い個性を持っている、いいやつらがいた。ガレージパンクの達人もいた。
2014-05-26 06:44:46ぱぽ(2)そいつらは、大学を聞かれて、名前を言えないとか言っていた。だから、ぼくは言った。君たちの大学は、ハーバードと共通点がある。それは、創設者の名前が大学の名前になっているということ。思いが名前になっている。これからは、日本のハーバードです、と堂々と言え! と言った。
2014-05-26 06:46:04ぱぽ(3)その時交わした会話で、印象的だったことがある。進路指導の先生とお話していた時、その先生がこんな分析をしていた。いわゆる偏差値が高いと言われている大学の卒業生が、年間だいたい2万人くらい。一方、丸の内に本社があったりするような、人気のある上場企業の採用数が、やはり2万人。
2014-05-26 06:47:33ぱぽ(4)つまり、いわゆる「一流大学」の卒業生の数と、「一流企業」の採用数はほぼマッチングがとれているのであり、「うちの大学は、就職先と言っても、あまりそういう企業さんは関係ないんです」という趣旨のことをその先生が言っていた。それで、ぼくはある考えを持つに至った。
2014-05-26 06:48:50ぱぽ(4)以前から疑問に思っていることの一つは、いわゆる偏差値入試は、能力を見ているのではなくて、実は会員数の限られた「クラブ」への入会を競っているのではないかということである。もし、社会が、能力に基づく競争を本当にフェアにやっているのなら別だがクラブ会員が優遇されてはいないか。
2014-05-26 06:50:03ぱぽ(5)パフォーマンス(実際の行動ぶり)よりも、ポジション(ある地位)の方が大事で、その限られたポジションを得られるクラブ入会資格をめぐって、熾烈な偏差値入試が行われているのがどうも実態に近いように思う。サッカー選手のように、ピッチの上でガチな勝負をする必要がないのだ。
2014-05-26 06:51:40ぱぽ(6)偏差値入試擁護者たちと、私の話がかみ合わないのは、この、「ピッチの上でガチの勝負をする」という感覚の違い。サッカーチームを組む時、「監督、あいつは名門清水商業出身なんですよ」というのは参考にならない。ピッチでボールを蹴り、ドリブルし、シュートしてみろということになる。
2014-05-26 06:53:36ぱぽ(7)偏差値入試に血眼になる原因の一つが、日本の社会が、「ピッチの上で実際にボールを蹴って、ドリブルし、シュートしてみろ」というパフォーマンスを見るのではなく、「あいつは名門清水商業出身なんですよ」というポジションを見だけで済んでいる部分があると私は考える。
2014-05-26 06:54:54ぱぽ(8)清水商業は素晴らしい高校で、名波浩選手や、川口能活選手、小野伸二選手など、数々の卓越したプレイヤーを輩出しているが、みな、実際にピッチの上を走るパフォーマンスにおいて、その卓越性を示してきたのであり、「名門出身」というポジションが重要なのではない。
2014-05-26 06:57:04ぱぽ(9)正規雇用と非正規雇用の間の格差や、企業規模による給与水準の差異などを背景とした、「メンバー数の限られたクラブ」への入会を競うのが、偏差値入試の本質だとしたら、なんと愚かな話だろう。ワールドカップ日本代表は、みな、パフォーマンスでその座をつかんだ。後者は素晴らしい。
2014-05-26 06:58:28