ジョン・キム_自己省察は幸せの質を上げ多様性を担保した新たな社会的調和の基礎となる

自己省察による幸せに再定義を。 自立的な個人の対話による新たな関係性の模索がこれからの日本のあるべき姿。
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ジョン・キム @kim_firenze

日本人は経済的に豊かであるにもかかわらず、不幸を感じている人が多い。それには様々な原因が考えられるが、根本的なところは、自分の幸せの判断基準を外部に委ね、自己省察を省略してきたことに由来するのではないだろうか。自己省察とは言い換えれば”体験への事後的思索”である。

2014-05-28 13:07:50
ジョン・キム @kim_firenze

社会や経済への関心があっても、肝心な自己省察が足りないと、他の人が見ている景色は、自分の見ている景色と同じだと錯覚し、客観的な視点を持てなくなる。自分自身を見つめ、自分の信念を自分で生み出す。そういった意味での個人主義を持たないと、これからの時代は生きていけなくなるだろう。

2014-05-28 13:08:35
ジョン・キム @kim_firenze

幸福を分数として捉え、欲望を分母、所有を分子と考えてみよう。そうしたときに、分母となる欲望の中身を正しく見極める。自分が追い求めるのに値する欲望なのか。それを、自分と向き合って、省察を積み重ね、欲望を厳選して来た人は必要最低限の所有でも大きな幸福を得ることができる。

2014-05-28 13:09:11
ジョン・キム @kim_firenze

かつては、物質的な欲求を追求せざるを得ない時代があった。それは、いい悪いではなく、生活するために必要だったのだ。家庭を支える働き手の父親は、一定の生活レベルを維持するため住宅や家電、車などを手に入れる財力が求められていた。

2014-05-28 13:09:49
ジョン・キム @kim_firenze

しかし、社会全体の生活水準が上がってくると、欲求を調整することで、必死に働かなくともある程度の生活ができるようになる。そうすると人々は、物質以外の面で幸福を満たすことができるのではないかと気づく。かつては画一的だった幸福に対する価値観が、多元化していくのだ。

2014-05-28 13:10:01
ジョン・キム @kim_firenze

一方で、日本人は自己を他者との関係性の中で規定しがちだ。集団と個人を同一視する傾向がある。それは、例えば相手の肩書きや所属を見て相手を評価しようとする行動に表れる。その視線が自分に向けられることも当然だと思っている。

2014-05-28 13:10:17
ジョン・キム @kim_firenze

社会の中での自分に対する目線が所属というフレームに基づいて規定されることに日本人は慣れている。企業に所属している間は企業人としての仮面をかぶり続けているのでその姿を自分でも見慣れてしまう。その是非はともかく、仮面が自分の素顔だと錯覚している人は多い。確かにその方が楽な面もあろう。

2014-05-28 13:10:50
ジョン・キム @kim_firenze

そんなサラリーマンが定年を迎え、企業人としての仮面をパッと外される。あまりに長くかぶり続け、仮面という意識すら持っていなかったものを剥ぎ取られた時、自分の素顔を今までケアして来なかった分、予想外の素顔に動揺する。自分の素顔とどう向き合えばいいのかわからなくなってしまうのだ。

2014-05-28 13:11:06
ジョン・キム @kim_firenze

そして「さあ、これからは自由に自分を表現してください」と言われ、途方に暮れる。そんな人は案外多いのではないか。これは定年に限った問題ではない。自分のアイデンティティを持てず他との関係性に委ねている人は多い。それは非常に不安定な状態だ。時代の常識が変化するだけで個人は不安がつのる。

2014-05-28 13:11:56
ジョン・キム @kim_firenze

だからリーダーになり得そうな人が現れると、すぐに飛びつき、一気にそこに傾いていく。そして集団であら探しをした結果、すぐに失望し冷めていく。そんなことがよく起こる。日本で安定的にヒーローでいられる人というのは、スポーツ選手や芸術家などにしか現れない。政治家はヒーローになれないのだ。

2014-05-28 13:12:15
ジョン・キム @kim_firenze

そんな不安に振り回されないために、個人は人生に対する責任を自分で持たなければいけない。自己認識は、他者の目や所属、社会的な役割によって規定されるものではない。自分自身が、ありのままの自分を見つめなおし、自分と向き合う努力をしなければ、正しい自己認識にはたどり着けないのだ。

2014-05-28 13:12:31
ジョン・キム @kim_firenze

日本の企業組織はヒエラルキーが弱い。どうしても意思決定が合議制になる。それがいい作用をもたらし、自由に意見を出し合い、最適な結論を見いだせれば問題はない。しかし日本では対立を避け、結局どっちつかずの玉虫色の結論に落ち着くことがほとんどだ。結論に革新性がなく、エッジが立っていない。

2014-05-28 13:13:22
ジョン・キム @kim_firenze

日本企業は合議制であることでコンセンサスにたどり着くまでの時間が長い。変化の激しい今の時代は迅速に決断し実行することが求められている。だから今日本で勢いのある企業はどうしてもオーナー経営者が指揮を執るソフトバンクやファーストリテイリング、楽天などの企業に限られているようにみえる。

2014-05-28 13:14:20
ジョン・キム @kim_firenze

調和を重んじる組織はすばらしい。ただ、これからはその調和の在り方が変わってくるのだ。これまでの日本が得意としていた、互いに委ねあって調和が成り立つ社会ではなく、それぞれの個人が主体性を持って個性を発揮する道を模索するべきだろう。多様性の担保されたコラボによる調和である。

2014-05-28 13:14:35
ジョン・キム @kim_firenze

個人の犠牲の上に成り立つ集団的な調和というよりは、それぞれの主体がお互いに自立的な形で対話をする。その広い意味でのダイアログを通じて、相互作用を起こし、新しい関係性を模索していくのが、これからあるべき社会の姿であると思う。(終)

2014-05-28 13:15:30