茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1252回「国立競技場は、どうあるべきか」

脳科学者・茂木健一郎さんの5月31日の連続ツイート。 本日は、所感です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1252回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、所感です。

2014-05-31 06:35:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(1)国立競技場の建て替え問題が議論を呼んでいる。私は、一年くらい前か、ある番組のロケで現国立競技場の一角で撮影したのだけれども、そこには、前の東京オリンピックのメダリストたちの名前が刻まれていて、日本の近代における大切な記憶であると感じた。

2014-05-31 06:37:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(2)国立競技場をどうするのか、今報じられている未来風のやつにするのか、それとも一部補修で済ませるのか。私は建築コミュニティの中にいるわけではないので、以下に述べることはあくまでも素人の印象であるが、要するにこういうことだろう、と思っていることを述べる。

2014-05-31 06:38:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(3)日本の建築は今や世界でもトップで、そのことは、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を日本人が連続で受けていたり、ベネツィア建築ビエンナーレで日本チームが最高賞に輝いていることでもわかる。では、日本の建築は、どうして世界一になったのか?

2014-05-31 06:40:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(4)近代における建築とは、建築家の作家性、いわば「エゴ」の表現でもあった。いかに独創的で、斬新な意匠を生み出すか。建築家は芸術家であり、革新者でもある。しかし、日本の建築が評価されているのは、そのような文脈においてではない。そこが、日本の建築は新しいのだ。

2014-05-31 06:41:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(5)隈健吾さんの「負ける建築」は、つまり、建築を設計するときに、環境や歴史性、文脈に根ざし、建築家の自我を過度に主張しないということ。伊東豊雄さんの建築に見られる優美さ、繊細さもまた、自然との共生、自他の調和を重視してきた日本の連続性の中にある。

2014-05-31 06:42:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(6)今回、伊東豊雄さん(ベネツィア建築ビエンナーレの最高賞や、プリツカー賞に輝く、日本を代表する建築家のおひとり)が声を上げられたのは、よほどのことで、控えめで温厚な伊東さんが、敢えてあそこまで言われるのだから、黙っていられないと思われたのであろう。

2014-05-31 06:43:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(7)国立競技場の建て替え案のコンペで、現行案がどのような経緯で選ばれたのか、その時の選定理由は何なのか、詳細は把握していないが、以上のような、日本の建築の流れ(そして、その世界の中での卓越さの理由)を踏まえると、現行案は、あまりにも時代錯誤であるように感じられる。

2014-05-31 06:45:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(8)現行案を推しているコミッティーの人たちは、神宮外苑のあの空気の中を、どれくらい歩いているのだろうと思う。近くには、重要文化財に指定されている聖徳記念絵画館もあり、日本の近代の記憶が何重にも詰まっている。あの空間に、いきなり近未来ヘルメットですか、という違和感。

2014-05-31 06:47:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

こど(9)公共建築は、決まったからすすめればいい、と言うにはあまりにも重要で、特に、今回のように日本の建築界の中から強烈なメッセージが出て来ている時には、真摯に耳を傾けた方がよい。文科省は現行案を強行するつもりかもしれないが、その禍根は数十年にわたるeyesoreとなり復讐する。

2014-05-31 06:49:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1252回「国立競技場は、どうあるべきか」でした。

2014-05-31 06:49:28