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「レイジ・アゲンスト・トーフ」 エピソード3 「ソウカイ・シンジケート」

B・ボンド&F・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台に繰り広げられるサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物のtwitter連載まとめ 第1巻「ネオサイタマ炎上」より
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1部「ネオサイタマ炎上」より 「レイジ・アゲンスト・トーフ」 エピソード3「ソウカイ・シンジケート」
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エンペラーを失って久しいカスミガセキ皇居ビルの666階で、秘密会議が行われている。参加者の大半はソウカイヤ……日本経済界を裏で取り仕切る秘密結社の連中だ。彼らと癒着する暗黒メガコーポ各社の幹部たちも、この談合に参加している。ヨロシサン製薬やオムラ・インダストリなどがその筆頭だ。
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真暗なフロアの中心には、「殺伐」と毛筆で書かれた大円卓が据えられている。そこに掛ける参加者三十人全員の顔が、埋め込み型UNIXモニタの放つ緑色の光に下から照らされ、ユーレイのように浮かび上がる。部屋の四隅には、最新型クローンヤクザY-11がカタナを構えて剣呑な風情で立っていた。
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円卓の中心にはボンボリ状の3D映像が投影され、刻々と移り変わる株価情報や、猥雑千万なオイラン天気予報などを、万華鏡のごとく映し出していた。しかし、このホール自体はハカバのように静かである。ここで声を発する者はいない。何故なら、IRCを使った最先端談合システムがここにあるからだ。
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声を出せば盗聴の危険がある。録音され言質を取られても困る。だが、電子情報はいくらでも改竄が効く。よってIRC談合は、ソウカイヤに非常に好まれている。参加者は円卓にイヤホンプラグを挿し、オイラン天気予報やネンブツ・レディオなどで心の平静を保ちながら、キーボードを黙々と叩くのである。
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#DANGOU:TANAKA@SOUKAIYA:甚大な被害を生んだ先日のクローンヤクザ工場事故について、ヨロシ=サン製薬会社殿のお考えを頂戴したく。/// タイプ速度わずか5秒! ここにいるのは、サイバー手術無しで常人の十倍以上のIRCタイプ速度を誇るスゴイ級ハッカーばかりだ。
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#DANGOU:KATAGI@YOROSI_SAN:第三プラントが異常加熱したため、加速装置が爆発。その結果、緑色のバイオエキスがタマガワに注ぎました。が、現在は回復し再稼動しております。皆様、クローンヤクザの製品は安心です。/// タイプ速度3秒! 小さなどよめきが漏れる。
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ヨロシサンのスゴイ級ハッカー、カタギはどよめきを聞きながら、続くセンテンスを得意気に高速タイプした。 #DANGOU:KATAGI@YOROSI_SAN:なお、この件につきまして、日本政府からは例によってお咎めなしです。ただ、浣腸保護団体がこれをしつこく嗅ぎ回っています。 ///
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#DANGOU:TERUWO@SOUKAIYA:浣腸 /// #DANGOU:KANABUKI@SOUKAIYA:kant /// #DANGOU:TANAKA@SOUKAIYA:浣腸とは何事か! ///
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インガオホー! 慢心が生んだ痛恨のタイプミスだ。日本語はアルファベットが一文字違うだけで致命的な意味の違いを生んでしまう、油断ならない言語なのである。カタギ=サンは不健康そうな青白い顔を、さらに青白くして狼狽した。ニューロンがチリチリし、ひきつった口の端からよだれが漏れる。
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#DANGOU:KATAGI@YOROSI_SAN:たたた大変失礼致しました、環境保護団体の間違いです。/// #DANGOU:TERUWO@SOUKAIYA:直ちにセプクしろ! /// #DANGOU:KANABUKI@SOUKAIYA:直ちにセプクだ! ///
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ソウカイヤたちは、鬼の首を取ったかのようにセプクの大合唱を始める。無慈悲なタイプ音がカタカタと響き渡った。カタギ=サンは「この場でセプクか、さもなくば指を数本ケジメされるだろう」と考え、失禁寸前だった。スゴイ級ハッカーにとって、指を失うことは死刑宣告にも等しい。だが、その時……
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#DANGOU:KHAN@NEKOSOGI:まあまあ、おのおのがた、それ以上ヨロシ=サンを愚弄しないほうがいい。タイプミスなど誰にでもあること。コウボウ・エラーズというではないか。/// メッセージの横に括弧で示されるタイプ時間は……0コンマ5秒! 全員がゴクリと固唾を飲んだ。
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いや、より重要なのはタイプ速度ではなく、そのアカウント名であった。カンという男の名がボンボリ3Dモニタに映し出されるやいなや、全員のタイプ音が一斉に止んだ。皆、神妙な顔つきで次の発言を見守る。ホールにはもはや、定期的に分泌されるクローンヤクザY-11の痰の音だけしか存在しない。
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日本屈指のリアルヤクザや暗黒メガコーポの幹部らと肩を並べるどころか、恐怖さえ抱かせるとは。しかも、スゴイ級ハッカーを遥かに凌ぐタイプ速度。果たしてこのカンなる男、一体いかなる人物なのか? 違法サイバー手術を受けたテンサイ級ハッカーなのか? 或いは…もしかすると……ニンジャなのか?
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「あの程度でセプクを迫るとは、まったく興ざめだ。罪を憎んで人を憎まず、というコトワザがある」アルマーニ製のスーツを着込み、鎖帷子のついたニンジャ頭巾で両目以外を覆った男が、円卓席を立ちながら肉声でぴしゃりと言った。「おのおのがた、本日の談合はこれにて閉会とさせていただきたい」
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驚くべきことに、彼の体にLANケーブルジャックイン用のバイオ端子は見当たらない。テンサイ級ハッカーにも匹敵する、わずか0コンマ5秒の長文IRCタイプを、彼は想像を絶するほどの身体能力によって成し遂げていたのだ。タツジン! これは人間技ではない。まがうことなき、ニンジャの技である。
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彼こそがラオモト・カン。七つのニンジャソウルを憑依させつつも自我を保つ、恐るべきニンジャ。ソウカイヤの実力行使部門ソウカイ・シックスゲイツを束ねる頭目にして、のっぴきならぬネコソギ・ファンド社の長でもある。彼を敵に回せば、その晩にでもシックスゲイツの暗殺者がデリバリーされるのだ。
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威圧的な暴君のオーラをまとってラオモトが立ち上がるや、暗黒経済世界の大物たちは顔を青ざめさせ、先を争うように談合ルームから退室を始めた。クローンヤクザたちが、かしこまって一礼する。 今日の談合は終了だ。特に大きな成果はなかった。ヨロシ=サンに対する糾弾がうやむやになった点以外は。
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「ラオモト=センセイ。本日は大変お世話になりました。ヤクザ工場爆発の件は水に流されました。蒸す返す無粋な輩はいないでしょう」 前歯をリスのようにむき出し、下卑た笑い顔を張り付かせながら、ヨロシ=サン製薬の幹部カタギ・シンゲンはラオモトに歩み寄った。まだ膝がかすかに震えている。
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「ムハハハハ! 気にするな、カタギ=サン。ヨロシサン製薬にはいつも、無理な注文を通させているからな」4人のクローンヤクザとカタギ=サンだけが残った暗い談合ルームに、ラオモトの哄笑が響き渡った。「ときに、トーフヤの件だが、Y-11型ヤクザの大量購入を拒否したという話は本当か?」
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「はい。しかもサカイエサン・トーフ社は、我々の系列企業ニルヴァーナ・トーフ社との提携を拒否し続け、国内のトーフ市場独占に向けて動いているのです」カタギはもみ手をしながら報告する。ボンボリ3Dモニタには、ここ数ヶ月でウナギ昇りとなったサカイエサン・トーフ社の株価推移が映し出された。
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「ムハハハハ、愚かな奴らだ。インガオホーというコトワザを知らぬと見える」ラオモトは絶大な自信と狡猾な知性をうかがわせる言葉で答えた。「約束どおり、トーフヤ襲撃計画を実行に移そう。手はずは整えてある。貧民を扇動し、トーフ工場を襲わせるのだ。むろん、必要物資の協力は可能であろうな?」
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「ヨロコンデー!」静かな殺気をたたえたラオモトの視線を受け、カタギ=サンは失禁。しかし平静を装いつつ続けた。「ズバリ成分を違法混入させた特製バリキ・ドリンクを、500ダース提供させて頂きます。これを服用した貧民たちはズバリ状態に陥り、痛みも恐れも知らぬ暴徒軍団が完成いたします!」
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2011-01-20 12:48:57
「レイジ・アゲンスト・トーフ」 エピソード4 「ウシミツ・アワー・ライオット」 http://togetter.com/li/67517
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