深海長門外伝・其ノ弐

深海棲艦の長門(深海長門@艤装解除白面骸鬼(指輪)@nagato_bs_)の提督が執筆した日記、深海長門の外伝其の弐「提督と深海長門の過去話」を纏めました。後半に残酷表現があるため、ゆるりとご留意ください。
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深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

季節は秋。涼しい風が吹く・・・はずだった。 何故だかはわからない。 季節外れの酷暑が連日のようにつづいている。 場所によっては40度も越えたそうで気象観測史上稀にない天気が日本列島を燃え上がらせていた。 #深海長門外伝

2014-06-02 20:32:09
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

あまりの暑さに仕事にならないと呟く人もまた多く、士気が一気に下がっている。 当然の事ながら、艦娘だって例外ではない。これ以上の熱を体験していて耐えられる体だとしても熱いは平気でも暑いのは好きとは言えないのだ。 #深海長門外伝

2014-06-02 20:37:44
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

この鎮守府もまた例外ではなかった。 だから、皆で鎮守府の付近の砂浜で海水浴をする事になった。 提督に強引に許可を求め、降りた途端に水着姿になって皆で騒いでいる。 提督もまたこの暑さには耐えられず、浮き輪に乗って海面に浮いていた。 #深海長門外伝

2014-06-02 20:39:52
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

提督のテンションは低い。暑さで参ったわけではなく、別の事である。 どうしても振いきれず、いつものような元気が出ないのだ。艦娘たちも心配しているがどうしようもない事だと迂闊に声は出せないでいる。 どうすればいいと悩む提督。 眠れない日はつづいたせいで眠気に襲われる #深海長門外伝

2014-06-02 20:43:48
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

そして提督は知らず知らずのうちに夢の中に入っていく。 提督は海面に浮いている船の残骸の一部に座り込んで、月を眺めていた。 ―元気かな、彼女。 どうしても会いたくてたまらない。気持ちは焦り、彼女以外に見せぬと決めた涙が零れそうになる・・・。 #深海長門外伝

2014-06-02 20:48:10
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

それでも提督なら元気に振舞う必要がある。指揮をする者は常に周りに心配させてはならない。戦場に向かう者たちを不安にさせてはならない。 そこが辛い。それでも振舞う、それが提督だ。 #深海長門外伝

2014-06-02 20:53:45
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

それでも、どんなに頑張っても心に開いた穴を埋めるのは簡単ではない。提督だって人間だ。 隠すモノはひたすら隠す。ぶつけられる相手がいなければパンクするのは目に見えているとわかっていても。 #深海長門外伝

2014-06-02 21:00:59
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

どうすればいいのか・・・。 「夢の中まで考え事か?悩むのはいいが、夢の中はせめて明るくなった方がいいぞ」 後ろから声がした。振り向くと懐かしい人物がにっこりと微笑んでいた。 #深海長門外伝

2014-06-02 21:05:54
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「長門・・・」と提督は小声で言った。 彼女は長門。だが、提督の長門とは別の長門であり、提督になろうと心の底から決めた・・・彼女こそがすべての始まりである。 #深海長門外伝

2014-06-02 21:11:35
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

この長門はもう居ない。幼かった提督を護り、沈んだのだ。 提督に形見を渡して・・・。 大きくなった提督はこの形見を資材に投入した事であの長門が誕生したのである。 #深海長門外伝

2014-06-02 21:24:24
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「・・・落ち込んでいるのか、俺」 「ああ、落ち込んでいるとも。情けぬほどにな」 「ははは・・・そうだよなぁ。あいつが居なくなっちまったからな」 「私の一部から生まれたもう一人の私だな」 #深海長門外伝

2014-06-02 21:29:56
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「ああ、深海棲艦になって向こうに行っちまった。鎮守府には居られないってのはわかってるんだが、あいつが居ないと寂しくてたまらない・・・」 提督は拳を強く握り締める。悔しそうな表情が一層濃くなっていく。 #深海長門外伝

2014-06-02 21:32:05
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「死んだわけではないのだ・・・また逢えるさ。すぐにでもな」 「だけど・・・」 「信じろ。お前の長門だろう?それなら一番信じるべきお前がもう一人の私を信じないでどうする?もう一人の私は絶対にお前の、君の事を信じている」 #深海長門外伝

2014-06-02 21:36:58
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「信じているか・・・」 「そうだ。だから、今は夢の世界で引き籠っている場合じゃないぞ。目覚めろ、君のするべき事は目の前にある」 「目の前・・・」 ニッコリと微笑む長門がうっすらと消えて行く、周りの景色も、何もかも。 #深海長門外伝

2014-06-02 21:46:42
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

ハッとなって提督は目を覚ます。 「夢・・・」と言い、ため息を吐く。 寝ちまったんだなと思っていると、ふとある事に気付く。 さっきまで賑わっていた艦娘の声が聞こえないのだ。 えっとなって周囲を見渡す。 「んなっ!?」 #深海長門外伝

2014-06-02 21:53:46
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

提督が驚くのも無理はなかった。 そう・・・何故なら彼は今、海のど真ん中に居るのだから。 提督がうとうと寝ているうちに潮に流され、遠くまで来てしまったのである。 艦娘たちは誰も気付かなかったようだ。 #深海長門外伝

2014-06-02 21:59:06
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「なんてこったい・・・」 生憎、無線機も持っていない。サイフもないし・・・あるのは海パンのみ。 今、ここで深海棲艦に襲われたらひとたまりもないだろう。そいつらだけでなく、鱶だって泳いでいるはずだ。 #深海長門外伝

2014-06-02 22:03:53
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

完全な無防備すぎた。 「やべぇ・・・これって今世紀最大のピンチだ・・・」 冷や汗を大量に掻く。コンパスも持ってないので方角がわからない。 それに太陽を観ようにも今はすっかり夜になっていた。夜なら月と星座で位置をある程度、わかるのにさっきと違って曇り空だった。 #深海長門外伝

2014-06-02 22:10:51
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

完全にお手上げだった。船があれば助けてくれるかも知れないが、深海棲艦が居る以上が迂闊な航海は出来ない。それに艦娘も居ない。 助け舟もない中で一人ぼっちだ。 「あはは・・・ついに死ぬのか、俺」 #深海長門外伝

2014-06-02 22:16:53
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

そう思いながら横を観る。 彼の目の前に飛び込んできたのは大きな顔。黒くて長い髪。鋭い目つき、目から紅いオーラ。 戦艦ル級のエリートが海面に佇み、提督を見下ろしていた・・・。 #深海長門外伝

2014-06-02 22:20:54
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

ただでさえやばいのにさらにやばいのが付いてくるのか!? 提督の汗はさらに大量に増え、固まっている事しか出来なかった。 ル級はニヤリと嗤う。盾のような主砲を提督に向ける。砲塔が動き、砲門が提督の額に当たる。 #深海長門外伝

2014-06-02 22:28:07
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

ここまで・・・なのか?いや・・・違う!俺はまだあいつにっ! その時だ、ル級の喉からブレードの刃が突き破った。 ル級はピクピクと痙攣を起こし、白目になっていた。 刃は下に振り下ろすとル級の肉体は左右に分かれ引き裂かれてしまった。 #深海長門外伝

2014-06-02 22:41:13
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

海面に倒れるル級。その後ろに姿を現したのは・・・。 「長門・・・?」 #深海長門外伝

2014-06-02 22:44:06
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

顔の右側はスカルフェイスを思わせるマスクに覆われ、深海棲艦タ級を思わせる紫のオーラに染まる右眼。骸骨のような腕と脚。服はボロボロで怪物のような下顎のような首輪に変わり果てたベルト。 異形の長門がそこに居た・・・。 #深海長門外伝

2014-06-03 00:09:10
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

長門は提督を観ると踵を返す。 長門の目線の先に居るのは深海棲艦たちの姿があった。 よく観ると深海棲艦たちは困惑しているようだった。何があったのかわからずにオロオロしている。 #深海長門外伝

2014-06-03 00:11:46
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