羽根っ娘グラディエーター

羽根っ娘だってfight for libertyしたい時くらいある
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あおとり @bluebird_kndk

人間に捕まって奴隷として売られた羽根っ娘の母親から生まれて、底辺から抜け出すために剣闘士になるハーフの羽根っ娘とかそういう話を誰か

2014-06-03 18:30:51
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

おうあくしろよ(バンバン)

2014-06-03 18:32:17
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

遠い歓声、怒号、鋼同士のぶつかる音、そして血と埃の匂い。「俺も死にたがりのアホは山ほど見てきたが」少女の前でふんぞり返る中年男性は大きくため息をついた。「女でしかも羽根つきが出場するってぇのは初めてだ」少女は表情を変えないまま僅かに翼を揺らす。  #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 18:42:53
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「で、お前さんのほしいもんは何だ。金か、名誉か、それとも……自由か?」「全部」少女は短く答える。「ハッハッハ! お前は面白い羽根つきだな。殺すのは最初にしてやる。明日の朝一番の試合にしてやる。せいぜい美味い飯を食ってくるんだな」「わかりました」 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 18:48:23
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「母さん、帰ってきたよ」貧民街のはずれにある崩れかけの家に帰りついた少女は寝台の上で横になっている母親に声をかける。「おかえり……」よろめきながら起き上がる母親にも少女と同じように背中に翼が生えていた。「明日、闘技場に出るから」「あなた、まさか……」 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 18:54:36
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「もう決めたから」少女はかびかけのパンを二つにちぎり、大きい方を母親に渡す。「明日、生きて帰ってきたら焼きたてのパンをカゴいっぱいに買ってくるから」「ああ、何てことを……」母親は翼をフラフラと動かす。 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 19:00:33
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

翌朝、少女は日が昇る前に家を出た。母親は何も言わず、安物の宝石がついたただけの短剣を少女に持たせた。今日死ぬかもしれないと思うと、世界のあらゆるものが鮮やかに見えた。朝焼けの紺から水色に変わりゆく空の色彩、薄汚れた貧民街すら輝いて見えた。 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 19:04:05
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「おう、ビビって逃げたんじゃないかと心配してたんだがその様子なら気合十分だな」闘技場の中年男性は下品な笑いを浮かべると少女の腰に吊るされた短剣と背中の翼を見比べる。「それがお前の得物か。飛ぶのはありだが逃げたり卑怯な真似をしたら羽根をもぐからな」 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 19:09:22
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「善良なる市民の皆さん! 闘技場へようこそ! 本日は皆様のために可愛らしい猛獣をご用意しました!」司会の言葉に観客的が湧き上がる。少女は少し顔をしかめる。「はたして彼女は闘技場の露と消えるのかそれとも相手を丸焼きにするのか!? 試合開始っ!」 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 19:30:26
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

対戦相手も彼女と同じ貧民街育ちらしい30手前の男だった。「うおおおおおおお!」男の長剣一撃を後ろに跳ねて躱し、少女は短剣を抜く。空中にいるときに剣を振り回せばバランスを崩す。ひらりと左右に避けて少女は機会を待つ。「このメスガキぃ!」男の語気が荒くなる。 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 19:36:31
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

少女は翼を広げた。下半身に力を込め、羽ばたきの力を加えて一気に飛び上がる。砂埃と羽毛が舞い、男の視界を奪う。「な――」驚愕に変わる男の顔が少女の視界の下へと流れていく。「やあああっ!」男が振り向く前に、少女の短剣が男の背中に突き刺さっていた。 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 19:39:52
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

短剣の刃を伝った生暖かい液体が少女の手を赤黒く汚していく。「あ、がぁ……」少女が短剣を軽く引くと、男は小さくうめいて倒れこむ。「やっ……た……」男の背中の傷から溢れだす血が闘技場を赤く染めるていく。少女は不思議な高揚感に包まれたまま、短剣を握っていた。 #羽根っ娘グラディエーター

2014-06-03 19:45:29