すらすらわかるヤフー組織再編判決の経緯。(その3)

今回は判決文の中から、ヤフー敗訴の決定的ポイントになったと思われる「特定役員兼任が形式的である」との部分を。
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すらたろう @sura_taro

①N氏が副社長に就任してから本件買収により特定資本関係が発生するまでの期間はわずか2カ月(引用者注:N氏はヤフーの社長とIDCS社副社長との兼任。特定資本関係とはIDCSをヤフーの100%子会社化したこと)

2014-06-03 21:50:28
すらたろう @sura_taro

②N氏がIDCSの副社長に就任したのは本件買収及び本件合併に係る本件提案を受けた後であること(引用者注:ヤフーはソフトバンクからIDCS社の全株式を取得して100%子会社化し、その後、吸収合併してIDSC社の繰越欠損金を引き継いだ

2014-06-03 21:53:07
すらたろう @sura_taro

②続き、N氏がIDSCの副社長として実際に行った職務の内容は本件提案(子会社化と吸収合併)に沿ったものであり・・IDCS社の従来のデーターセンター事業に固有の業務に関与していたとは認められない ここがヤフー敗訴の決定的ポイントと考えられる

2014-06-03 21:56:54
すらたろう @sura_taro

③他方、IDSCがデーターセンター事業を開始して以来、IDSC社の経営を担っていたU氏などの役員は、本件合併後、原告(ヤフー)の役員には就任していない

2014-06-03 21:58:35
すらたろう @sura_taro

以上の諸点から、本件においては、特定役員引継要件は形式的には充足されているものの・・「合併の前後を通じて移転資産に対する支配が継続している」という状況があるとはいえない(引用者注:移転資産はこの場合、IDSC社のデーターセンターなどの事業のこと

2014-06-03 22:01:37
すらたろう @sura_taro

・・したがって、本件副社長就任(ヤフー社長のIDCS社副社長兼任)は法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果と認められるもの」に解することが相当である ヤフーこれにて完全敗訴(まだ地裁です

2014-06-03 22:05:22
すらたろう @sura_taro

判決文のこの辺りを読むに、特定役員の兼任が形式的だ、というのはヤフーに分が悪いと思われます。しかし、ソフトバンクとヤフーが繰越欠損金の引継が認められない場合はIDSC社株式の売買対価を修正する契約を交わしていたのは当然であり、これをもって租税回避の意図、というのは無理筋では

2014-06-03 22:08:51
heuko_taxhavenized @heukocpa

@sura_taro ここまでの理由だけで判決下してくれたらよかったんですけどね。その後の総合勘案が気持ち悪いです。

2014-06-03 22:09:19
すらたろう @sura_taro

@heukocpa 未処理繰越欠損金が否認された場合の株式対価修正まで絡めてくるのはかなり無理な展開ではないかと感じられました。

2014-06-03 22:13:03
すらたろう @sura_taro

国税側に不利な点とすれば、法132条の2の文理解釈からは、国税側の意見書を書いた朝長氏の解釈は導き出せない(朝長氏はさかんに同族会社の行為計算否認(132条)とは範囲が異なると様々な文献を引用して論証しようとしているが、「条文には書いていない」という事実にはいったい・・?

2014-06-03 22:17:47
すらたろう @sura_taro

ただ、判決文から読みとれる限りでは、「(税制適格要件を満たすための)特定役員兼任が形式的」という指摘に対するヤフー側の反論は弱いのではないか、と

2014-06-03 22:21:58
すらたろう @sura_taro

「改正税法のすべて」とか、立法担当官の解説記事は国会の意思そのものではない、としても、国会そのものは「立法趣旨」を明らかにすることはありませんし、法令の条文にも書きこまれはしない。法的安定性とか予測可能性とかいったい・・

2014-06-03 22:26:14