村上部長

クラゲ @04kurage

#1 from信五 ① 「おい○○！」 とつい大きな声で呼んでしまう部下の名前 鬼部長なんていつからか呼ばれているらしい 直しを指示して「○○」と3年目の女子社員を呼ぶ 案の定ビクっとされて恐る恐る近づいてきた 「お前な怒る訳ちゃうねんから」 と思わずフッと笑ってしまう

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#1 ② じゃぁ何なんだといった顔をする彼女 コロコロ表情の変わる彼女がとても面白い 「ゴホンっ」 と咳を一つして 「お前今日初めてのプレゼンやろ。大丈夫か？」 と聞く 『な、なんとか…』と今度は不安そうな顔 「初めっから上手く行くなんて思うな。俺かて最初はあかんかった」

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#1 ③ 『失敗している部長なんて想像つかないです』 と眉間にシワの寄る彼女 「とりあえず思いっきりやれ」 そう言って肩を叩いて送り出す 数時間後 他部署からの呼び出しから戻って来ると就業時間はとっくに終わっているはずなのに一人自分のディスクでため息をつく

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#1 ④ 「お疲れさん」 と声をかけると慌てて涙を拭く彼女「だから言ったやろ。最初から上手く行くやつなんておらんって」 『はい…』 「デビューにしては上出来な方やで」と励ますと 『ありがとうございます』 と思いっきり鼻をすする彼女

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#1 ⑤ 「よし、飯でも行くか」 『え？』 「お疲れさん会や」 と背中を叩いたら 『痛いです…』と怯える彼女 「そんな痛ないやろ」 彼女を助手席に乗せやってきたのは昔から行きつけの店 お酒の種類も豊富だが料理も味がいい 「お前は飲めよ」とビールと烏龍茶を注文する

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#1 ⑥ 『そんな、悪いです』と彼女 「気にするな」と言ったが乾杯の時まで申し訳なさそうにしていた けれど一口料理を食べて笑顔に変わった 『すごく美味しいです』と箸を進める彼女 お酒も入り少し酔って来た様子 仕事の話や学生時代の事を饒舌に話す彼女

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#1 ⑦ 今まで知らなかった彼女の過去 職場では見せない顔をしていて 新たな一面をしれて何だか嬉しい自分がいた 『部長ってモテそうですよね』 と唐突に言った彼女 「なんや急に」 『だって厳しいし怖いですけど、ちゃんと見ててくれるんだって解るから』

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#1 ⑧ 急にそんな事を言われて少し照れてしまう 「お前何でそれがモテそうになるねん」 『そこそこイケメンだって噂されてますし』 ブッと締めのお茶漬けでムセる 「ゴホッゴホッ…ガキちゃうねんから顔で選ぶな。何やねんしかもそこそこって」

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#1 ⑨ 『ふふふ。そこそこって噂なんですもん』 彼女があまりにも笑うものだから「笑うな」と頭を掴む 『痛いです』と拒む彼女 彼女の髪は柔らかく、サラサラで何故かドキっとして慌てて離す 解放されて『もう痛いですよ』と口を尖らせる彼女 可愛いと思ってしまった

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#1 ①⓪ 7つも年下に何を思ってるねん と自分自身を落ち着かせた 「そろそろ帰るぞ」 と伝票をもち席を立つ 彼女を自宅まで送り高ぶる感情を紛らわすためにタバコを吹かしながら運転する 帰宅し携帯を見ると彼女からメールが入っていた

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#1 ①① “ご馳走様でした。部長に追いつけるよう仕事頑張ります。これからもよろしくお願いします” 彼女らしいシンプルなメールだった 何度も返そうと返信画面を開くも送れないまま過ぎた週末 月曜出社すると何時もの彼女の姿が いつも通り仕事をこなす彼女だった

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#1 ①② しかし昼休みに知った週末の間に失恋したという情報 同期の女子社員と話す所を偶然聞いてしまった その瞬間目が合ってしまったのだが彼女は恥ずかしそうに目を逸らした 思いがけず知ってしまった彼女の失恋 だからと言って声を掛けるのもおかしいしどうするわけでもない

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#1 ①③ なのにどうしても視線が彼女を追っている 「俺もガキやないねんから」と呟いてみる この歳になって慎重になってる自分に笑えた しかし今更止めることの出来ない感情は日に日に大きくなるばかりだった 結局仕事以外で話す事の出来ないまま迎えた金曜日の昼休み

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#1 ①④ 不意に耳に入ってきた「合コンでいい出会いがあるかもよ」と言う彼女の同期の言葉 返事を渋る彼女は 『仕事終わりまで考えさせて』 と言った 合コンと言う言葉が頭を巡る午後 就業のベルが鳴り彼女は同期に『やめておく』と言った

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#1 ①⑤ その言葉に安堵を覚える俺 残業前にコーヒーを淹れに給湯室に向かう すると彼女がやってきた 『お疲れ様です。残業ですか』 「ああ。お前はもう帰れよ」 『私ももう少し残ります」 と言った彼女 二人っきりでする残業 「なんで合コンやめたんや？」 気になって聞いてみる

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#1 ①⑥ 『別に今出会い必要ないんです』 「お前今独り身だろう」 『盗み聞きとか達悪いですよ』 と笑う彼女 『別れたのは彼じゃない人を好きになったからですよ』 と俺の目を見て言う彼女 『付き合ってって言われて付き合ったら好きになるかななんて思ってたんですけどなれなくて

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#1 ①⑦ 気づいたら彼以外の人好きになってたんです。最低ですよね』 と自分を責める様に話す 『でも安心してるんです。自分には好きって感情無いのかなって悩んでたんで』 「付き合ってって言われて付き合うな。このガキが」 『部長はこんなガキじゃ相手にしてくれませんか』

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#1 ①⑧ 一瞬時が止まった気がした 気がつくと彼女の前に立っていて 「どういう意味や」と投げかける 『何でも有りません』とパソコンに向かおうとする彼女を制止した 「32の男が25の女の言動を気にするなんておかしいやろ。不意に見せる笑顔や表情にドキってしとんねん」

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#1 ①⑨ 俺病気なんかと思ったわ。やけど悪くなかった。お前の事見てる時間は」 『ぶ、部長？』 戸惑う彼女にキスをした 『んっ…//』 「そういうことや」と彼女を抱きしめた 『どういう事ですか。ちゃんと言ってください』 「言ったらキスしてええか？」

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#1 ②⓪ そう言うと言うと顔を真っ赤にした こいつ可愛い過ぎるやろとにやける顔を必死に抑えて 「お前なぁ。まあええわ。好きや」 と言ってさっきよりも深いキスをした pic.twitter.com/WRm1Zhy8Gh

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#2 from信五 ① 週末 本当は部長とご飯の予定がなくなって 一人で家で飲んで過ごす 付き合って1ヶ月 同じ部署だから毎日のように顔が観れるけれど 1度この間のお店でご飯を食べただけでまだ何もない デートとかしたいとかそういうのって言っていいのかもわからない

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#2 ② 『はぁ…』 自分が思っているより部長が好きでだからこそ慎重になる 部長に似合った彼女で居たいけど まだ25歳の私にはどうしたら釣り合うのかがわからない… 毎日電話したりメールしたりしたいけど 部長はそういうの嫌いそうだしな… 私は3本目のビールの飲み干した缶を置いた

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#2 ③ ピピピ…ピピピ… 携帯電話の着信で目を覚ますと1時間くらいそのままソファで寝ていたらしい 慌てて携帯電話を取ると部長からで少し緊張した 『は、はい…』 「何や寝とったか？」 『すみません。ちょっと』 「そうか。そやったら切るわ」 と言われて 『ぶ、部長！』

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#2 ④ 切ってほしくなくて思わず大きな声で言ってしまった 「なんや？」 『あの、大丈夫ですから…その…』 「ふっ//ほならちょっと話すか」 と優しい部長の声 「今日はすまんかったな」 と言われて、本当は会いたいって言いたいのを我慢して 『いえ。仕事なんですから。お疲れ様です』

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#2 ⑤ 本当は会いたいし寂しいって言ったら困らせるから強がる私 でも何故だか視界が霞んでくる 「お前今泣きそうやろ」 と部長にそれを見透かされた 『いえ…あの…』 自然に涙が溢れてくる 「泣くなよ。泣くくらいなら我慢するな」 と慌ててる様子の部長