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2014年6月6日

ぼくがかんがえたカッコいい時間犯罪

1860年代から分岐する世界線。米国は南北に分かれているが、それゆえにより一層の対外進出路線を突き進む。  一方日本は、中国利権を英国と折半する形でアジアでの影響力を伸ばす。その利権を得ようと、米国は日本に恐慌な姿勢を取る。そこで新進気鋭の参謀たちを集めた戦略会議の結果は……。という形でお送りする、火葬戦記の一幕。俺得。
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現場猫教授 @Dr_crowfake

ストラテジック・カンファレンス――1948年10月

2014-06-06 09:13:11
現場猫教授 @Dr_crowfake

登場人物 桜小路正美:軍令部員:海軍大佐 山本白水:連合艦隊所属:海軍中佐 相田紘一:元総力戦研究所員・海軍大尉 友永信一郎:陸軍参謀本部第一部員:陸軍中佐 乾潤一郎:陸軍参謀本部第二部員:陸軍少佐 紘瀬雄昂:陸軍参謀本部第三部員:陸軍少佐 檜山啓:企画院所属

2014-06-06 09:16:44
現場猫教授 @Dr_crowfake

 まず最初に口を開いたのは相田だった。 「問題点は単純です――我が帝国が、いかに国力を消費せず、戦争を終わらせるか」  桜小路が怪訝そうに質問した。 「相田君、勝たなくてもいいというのかい?」

2014-06-06 09:17:32
現場猫教授 @Dr_crowfake

 相田が頷く。 「完全勝利はありえませんから。決定的敗北は無論避けなければなりません。しかし、その次に、総力戦による勝利は避けなければならないのです」

2014-06-06 09:18:04
現場猫教授 @Dr_crowfake

「総力戦を展開した場合の国富の消費は、われわれが戦後四半世紀にわたって築き上げてきた経済的発展を無にすることにつながります。しかし米国は総力戦により却って豊かになるでしょう」

2014-06-06 09:18:43
現場猫教授 @Dr_crowfake

「連邦政府の権限強化による税収の拡大、軍需の増大による遊休工業施設の稼動、軍需と軍備の拡大による失業者吸収――これら全てが、米国の経済を戦後に飛躍させる基礎となるのは間違いありません」

2014-06-06 09:19:12
現場猫教授 @Dr_crowfake

 山本が最初に発言した。 「断然打って出るべきだ。連中の攻撃を南洋で吸収し、布哇に陸海軍の主力をぶつける。電撃作戦だ。枝葉末節にかかずりあっている場合じゃない」

2014-06-06 09:19:31
現場猫教授 @Dr_crowfake

 確かに布哇を落とせば米国の士気は下がる。うまく交渉すれば戦争を終わらせることは可能だろう。最悪でも太平洋の中心拠点を使用不能にし、大きく行動を制限できる。  だがそれは正論ゆえに最も困難だった。友永がいう。

2014-06-06 09:20:04
現場猫教授 @Dr_crowfake

「そんなうまい話があるかね。米国の布哇防衛部隊は5個師団以上、航空機も200機以上ある。確実に攻略するなら、機動部隊と戦艦の過半の支援を得た陸軍の10個師団を必要とするよ。100隻以上の輸送船団を守り、上陸部隊に支援を行いながら、米海軍の反撃に対応するのは困難だろう」

2014-06-06 09:20:34
現場猫教授 @Dr_crowfake

「やはりどこかで邀撃決戦を挑むべきかねえ?」  桜小路の立場は最も海軍の正統に近いものだった。小笠原あるいは沖縄で邀撃を行い、敵艦隊を撃滅後反攻に転ずる。賭博性は低く、精算は十分にある。

2014-06-06 09:21:06
現場猫教授 @Dr_crowfake

 しかし相田はそれを言下に否定した。 「彼らが決戦を望まなければ? ある程度の戦術的勝利と軍需好況を背景に高い支持率を保っておけば、後は十分な戦力が集積できるまで、彼らは待ちの戦法を展開できるんです」

2014-06-06 09:21:35
現場猫教授 @Dr_crowfake

 桜小路は頷いた。 「南支那海での通商破壊戦と、遊撃部隊による我が近海での襲撃作戦か。そんなものにいちいち付き合っていたらジリ貧だね」

2014-06-06 09:22:12
現場猫教授 @Dr_crowfake

 山本が鋭く言い放った。 「だったらなおさら打って出るしかないじゃないか。我が海軍は決戦しか能がないんだ。敵の主力と拠点を一挙に叩き潰すほか、この戦争をとっとと終わらせる手段はない」

2014-06-06 09:22:34
現場猫教授 @Dr_crowfake

 相田が疑わしげに質問した。 「確かにそうですが――陸軍はどうでしょうか?」

2014-06-06 09:23:22
現場猫教授 @Dr_crowfake

 紘瀬が応える。 「布哇作戦は困難です。シベリアの赤軍は日々増強されていますし、支那や満州での抗日運動は相変わらず活発です。最低10個師団は置いておかねば、どうなるか知れたものじゃありません――しかもこれは長期的に漸増していくものと思われます」

2014-06-06 09:23:56
現場猫教授 @Dr_crowfake

 山本がいたく不機嫌そうに問う。 「つまりは、現状じゃ無理ってことか。なんとかならんのか」  友永が山本をにらむと、吐き捨てるように云った。 「部分動員と兵力転用でなんとか抽出可能だが、それ以上は苦しいな」

2014-06-06 09:24:31
現場猫教授 @Dr_crowfake

 桜小路が嘆息する。 「しかし、布哇攻略だけで片がつかなければ、どのみち総力戦だがね。英国も頼りにならんし、独逸に至っては漁夫の利を狙おうと虎視眈々だ。厳しいところだよ」

2014-06-06 09:24:58
現場猫教授 @Dr_crowfake

 英国は加奈陀や南部連合、そして豪州、新西蘭を担保に取られ、米国に対して強い態度をとれずにいた。外務省の再三の要求にも関わらず、戦力展開を渋っている。

2014-06-06 09:25:24
現場猫教授 @Dr_crowfake

そして独逸は、南洋諸島にシャルンホルスト級戦艦とグラフ・ツェッペリン級空母を基幹とする機動部隊を展開し、日米の緊張を横合いからにらんでいた。

2014-06-06 09:25:54
現場猫教授 @Dr_crowfake

「くそ、どうにかならんか」  誰かがそう呟いた。  そこで初めて、これまで押し黙ってた檜山が口を開いた。 「布哇攻略だけでは却って米国民の敵愾心を煽りかねん。独逸に横槍を入れられるのも好かん。そこまでやるなら、もう一手、本土に直撃をかけるくらいのつもりでやらんと」

2014-06-06 09:26:26
現場猫教授 @Dr_crowfake

 乾が首を振り、即座に否定する。 「無理です。どうやっても限定動員じゃ足りません。予備を根こそぎ集めて、最低40個師団は動員しないと、米国本土に10個師団送れません。それじゃあ総力戦だ。本末転倒です」

2014-06-06 09:26:49
現場猫教授 @Dr_crowfake

 相田もひどく陰鬱な表情を浮かべて同意した。 「船腹も大変なことになります。米本土進攻なら最低200万tは必要だ。そんなに民間経済から引き抜いたら、それだけで決戦に負けるのと同じ打撃になります――補給線維持を考えればもっとだ」

2014-06-06 09:27:21
現場猫教授 @Dr_crowfake

 だが檜山は悠然とした態度で応えた。 「誰も上陸しろなんていっとらん。紘瀬くん、うちにはいい飛行機があるだろう」  急に話を振られ、紘瀬は一瞬怪訝そうな顔をした。 「なんのことですか――」

2014-06-06 09:27:52
現場猫教授 @Dr_crowfake

「あれだよあれ。えーと、なんだっけか、川崎の」  紘瀬の表情に驚愕が浮かぶ。 「キ91ですか? まずいです。あれは」  乾もそれに追随する。 「あれは対ソ対支抑止力です。そう簡単に引き抜けません。それに、使用した後の反応が怖い。米国がどう出るか分かりませんよ」

2014-06-06 09:28:18
現場猫教授 @Dr_crowfake

 そして友永は心底不快そうに吐き捨てた。 「幾らなんでもやりすぎだ。国際輿論の支持を失う。到底出来ん」  陸軍軍人たちの発言についていけず、怪訝そうな表情を浮かべている海軍士官たち。ややあって、山本が問う。

2014-06-06 09:28:43
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コメント

睡羊軒 @suiyouken 2014年6月6日
仏と蘭はどうしてんだろ。
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