ある問題が医療化されると、正常から外れたその状態は病気になり、専門家による援助の対象になる

医療化がなされない問題は、しばしば本人の根性や道徳の不足が問題を引き起こした原因とされてしまう。
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medtoolz @medtoolz

ある問題が医療化されると、正常から外れたその状態は病気になり、専門家による援助の対象になる。医療化がなされない問題は、しばしば本人の根性や道徳の不足が問題を引き起こした原因とされてしまう。

2014-06-06 12:53:03
medtoolz @medtoolz

スコアリングというのは問題を医療化する手段になる。その症状を医療が取り扱おうと思ったら、まずはそれを医療化する必要がある。

2014-06-06 12:54:08
medtoolz @medtoolz

高齢者の不穏状態を評価するスコアリングが、なにか業界共通の道具として普及してほしいなと思う。痛みにしても認知症にしても、スコアリングの手段が普及することで、ともすれば根性や愛情の問題として処理されていた症状を医療の問題として取り組むことができるようになった

2014-06-06 12:55:10
medtoolz @medtoolz

ある高齢の患者さんが忘れっぽくなる。ご家族はそれを病院に相談する。原因の検索と症状の定量が行われ、たとえば認知症に対する内服薬が処方される。物忘れの改善が劇的なものでなくても、一定期間を経て、認知症のスコアが改善したら、ご家族はある程度の納得が得られる。

2014-06-06 12:56:12
medtoolz @medtoolz

症状を定量する手段がない状況で病院が問題に介入すると、現場では愛情と医療の衝突が生じたり、根性と医療の衝突が生じたりする。問題の解決を、たとえば薬の処方を行おうにもそれを断られたり、下手すると処方を行った医師が問題悪化の原因として名指しされたりしてしまう

2014-06-06 12:57:14
medtoolz @medtoolz

認知症の、とくに物忘れ方面の症状に対して薬を処方することについては、今はけっこうどうにかなっている気がしている。評価スケールがそれなりに普及していることは、こうした好ましい状況にたどり着くことを後押ししたのだと思う。緩和ケアの痛みスケールなども。

2014-06-06 12:58:15
medtoolz @medtoolz

同じ認知症由来の症状であっても、不隠が厳しく施設での管理が難しい患者さんに薬を処方しようとすると、御家族から同意を得にくいことが時々ある。「うちのおじいちゃんは、施設の人が本人にきちんと向き合って、1時間でも2時間でもしっかり話を聞いてあげれば薬なんていらないんです」とか。

2014-06-06 12:58:15
medtoolz @medtoolz

高齢のご家族を自宅で介護しているご家族であればそうでもないのだけれど、施設に入所している患者さんが不隠になって、薬の増加をを敗北と認識するご家族がたまにいる。なるべく薬を使わないのが正しい、あるいは処方されたら負けみたいな空気。外来で医療と根性とが衝突してしまう。

2014-06-06 12:59:16
medtoolz @medtoolz

たとえベテランであっても、複数の大工さんがものさしを使わず自らの感性で柱を建てたら、完成した家は傾くか、そのまま崩壊してしまう。問題を数値化するやりかたは、「この問題をこの数字で計測しましょう、とりあえず数字の改善や維持を目指しましょう」という合意の入り口になる。

2014-06-06 13:00:33
medtoolz @medtoolz

ものさしの共有ができれば、大工さんの得意分野や考えかたが異なっていても、とりあえず家はまっすぐに建つ。問題に対してスコアを提案して受け入れてもらうことで、たとえば「物忘れ」という問題について、病院と患者さんを見守る御家族と、立場が異なるお互いが同じ方向を向くことができる。

2014-06-06 13:01:37
medtoolz @medtoolz

不隠という症状はそういう意味で、そもそも改善という目標のありかたがご家族と病院とで異なっていて、それを数値化する手段が乏しい。不隠はそもそもスコア化が難しいというか、落ち着いているときと暴れているときの差が激しかったりもするからなのだろうけれど。

2014-06-06 13:11:58