1日1伊勢物語

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Chiaki @ichiaki

1日1伊勢物語「101 咲く花の」、1メートルを超える大きな藤の花を、人々が群がって見ているので、その大きさ以上に立派に見えると歌う。藤の花と藤原氏を重ね、藤原氏の権力の大きさがそれに追従する人々の多さでさらに増すと歌う。この様子の重ね合わせが見事。

2010-11-03 21:24:01
Chiaki @ichiaki

1日1伊勢物語「102 そむくとて」、"思ひうんじて"の"うんじて"は聞き慣れない言葉であるが"うんざりして"と綺麗に訳されている。漢字で書くと"倦みす"あるいは"鬱す"となると考えられる。"うんざり"の語源もこの辺りにありそうに思います。

2010-11-04 21:03:42
Chiaki @ichiaki

1日1伊勢物語「103 ねぬる夜の」、真面目で実直な男が親王の側近の女性と関係を持ってしまう話。この話で男が詠んだ歌は男のノロケ話そのもので、話の最後は"きたなげさよ"で締めくくられる。真面目な人ほど一度の遊びで崩れてしまうといった人間の真理を上手く表現している。

2010-11-05 16:14:00
Chiaki @ichiaki

1日1伊勢物語「104 世をうみの」、"世をうみの あまとし人を みるからに めくはせよとも たのまるるかな"、"うみ"は"倦み"と"海"の、"あま"は"尼"と"海女"の、"みる"は"見る"と海松"の、"めくはせ"は"目配せ"と"布食わせ"の掛詞になっている技巧を凝らした秀歌。

2010-11-06 20:25:37
Chiaki @ichiaki

1日1伊勢物語「105 白露は」、「あなたのことが好き過ぎて死んでしまう」と言う男に対し、女は「なら死ねば?あんたなんかのことを好きになる奴なんているわけないし、死んでも誰も悲しまないんじゃない?」と詠う。それを聞いて男はより一層その女を好きになるというドMの話。

2010-11-07 16:50:44
Chiaki @ichiaki

1日1伊勢物語「106 竜田河」、竜田河に映った紅葉の美しさを詠む。"逆さ富士"や"鏡田"、"水面の月"など日本人は何故水に映る偽物に美しさを感じるのだろう。風や雨によって儚く揺らぎ消えてしまう姿が愛おしいのだろうか。その儚さへの愛は桜の花に対するそれに似ているように思う。

2010-11-08 17:52:37
Chiaki @ichiaki

1日1伊勢物語「107 涙河」、日本版「シラノ・ド・ベルジュラック」と言える話。藤原敏行に思いを寄せられた女性だが、まだ若く文章や歌が下手だったので在原業平が女の代わりに歌を贈る。その歌の秀逸さに一層惚れ、歌の書かれた手紙を大切にしまい込む敏行もロクサーヌと重なる。

2010-11-09 07:38:06
Chiaki @ichiaki

1日1伊勢物語「108 風吹けば」、「波に濡れる海岸の岩のように私はいつも泣きぬれている」と詠む女に対して「雨が降らなくても田は蛙の涙で乾きませんよ」と詠む男。なかなか真意を読み取りづらい話だが、「君の涙で救われることもあるんだよ」という皮肉と捉えるのが妥当でしょうか。

2010-11-10 17:15:29