コルクマリーの聖杯戦争【召喚──『アサシン』】

ツイッター聖杯戦争第一話。
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コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

コルクマリーのツイッター聖杯戦争。召喚──『アサシン』。 #KT聖杯戦争

2014-06-10 01:43:36
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

『饅頭屋ゆっくり』。近所でも評判の和菓子屋である。その二階の居住区にある自室で、懇望はただ茫然と目の前の現実を眺めていた。 パソコンの前、その机の上に一人の男が立っている。

2014-06-10 01:45:18
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

──『願いを叶えるおまじない』。このおまじないをしたのはほんの些細な興味からだった。友人から送られてきたメールにあったホームページ。試しにそこへ行ってみると、確かに魔法陣と、願いを叶える為の呪文が書かれていた。本当にそれだけの、簡素なサイト。

2014-06-10 01:46:11
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

スマートフォンでは呪文を唱える途中で画面が暗く成る為、自分のノートパソコンから件のサイトにアクセスする。そうして画面に魔法陣を映しながら、懇望は儀式を行った。しかし、呪文を唱え終えても『願いを叶える魔法の騎士』の姿が現れる気配はない。

2014-06-10 01:48:30
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「まあ、こんなもんだよね」 やはり噂は噂に過ぎない。ちょっぴり何か心霊現象が起こる事に期待はしていたが、外は風すら吹いていない。静かな夜だ。 明日は休みだし、これから他のサイトでも見て回ろうか。そう思いマウスを動かす。

2014-06-10 01:50:30
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

──その時だった。 「あ痛っ!?」 突然、右手の甲に刺すような痛みが走る。何事かと右手を見ると、そこには三匹の蛇が絡み合ったような、奇怪な模様が浮き出ていた。

2014-06-10 01:51:51
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

初め、その血のように赤い模様を見て、自分は怪我でもしたのかと思った。しかし痛みは一瞬で引いており、左手で触っても血が付く事はない。右手の甲に、何かが直接刻み付けられているのだ。

2014-06-10 01:52:54
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

状況が呑み込めない内に、次の異変が発生する。パソコン画面に映し出された魔法陣が淡い光を放ち始めた。画像が光るプログラムか、と思ったのも束の間、魔法陣の輝きは増し、部屋の中の空気が動き始める。

2014-06-10 01:53:39
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「な、何何なになんなのこれ!?」 恐怖を感じて椅子から立ち上がった懇望が、ノートパソコンの置かれた机から距離を取る。その間にも空気の渦は激しさを増し、部屋中を突風が走っていた。

2014-06-10 01:55:29
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

本棚からは少女コミックや文庫が吹き飛び、ぬいぐるみまでもが宙を舞う。立っている事も儘ならず、懇望はベッドに倒れてしまった。 魔法陣の映るパソコンに目をやれば、そこには霧状の物が立ち上っていた。濃度を増す霧の中では雷のような光と音が暴れ周っている。

2014-06-10 01:56:57
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

霧の膨張が人の背丈に達した瞬間、落雷のような閃光と轟音が大気を震わせ、その衝撃に懇望は思わず目を閉じた。

2014-06-10 01:58:16
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

──目を閉じてから、どのくらい経っただろうか。一分か、それとも十分か。もしかしたらまだ数秒も経っていないかもしれない。 あの雷鳴を最後に、辺りはしんと静まり返っていた。部屋を吹き荒れていた暴風も今は収まっている。

2014-06-10 01:59:33
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

恐る恐る、瞼(まぶた)を開く。立ち込めていた霧は消え、代わりに一人の男が佇んでいた。 頭にはメキシコで見られる帽子、黒のソンブレロを被っている。顔は黒いマスクのせいで輪郭がはっきりせず、体も長い黒マントで隠れていた。全身を漆黒で覆い隠すその男は、まるで実体を持つ影のようだ。

2014-06-10 02:00:49
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

男は部屋を見渡し、マスクの奥の瞳に懇望の姿を捉えると、重力を感じさせない軽やかな身のこなしで部屋の床へと着地する。そしてマントを広げると、恭しく一礼した。

2014-06-10 02:01:52
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「お初にお目に掛かりますセニョリータ。サーヴァント『アサシン』、淑女の呼び掛けを聞き付け此処に馳せ参じました。貴女が、私を招いたマスターですね?」

2014-06-10 02:03:35
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

突然の問い掛け。サーヴァント、アサシンと言う単語はわからない。しかし『自分を呼び出したのは貴女か?』と問うている事は理解できた。これが、噂にあった『願いを叶える魔法の騎士』なのだろうか。

2014-06-10 02:04:40
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「えっ、あっ……は、い……」 なんとか絞り出せたのは、肯定の言葉だけ。その言葉に満足したのか、アサシンと名乗った男は静かに頷く。

2014-06-10 02:05:43
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「此処に契約は成されました。この剣に誓い、必ずや聖杯を貴女の元へと届けるとお約束します」 そう言うとアサシンはマスターとなった懇望へ近付き、右手を取ってその甲へと口付けをする。まるでそれが誓いの証であるかのように。

2014-06-10 02:06:53
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「なっ、なななななな!?」 契約? 聖杯? 男の言っている事は何一つわからない。そして手の甲とはいえ、突然のキスで懇望の混乱は加速するばかりだ。

2014-06-10 02:07:51
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「突然の無礼をお許しください。しかし私の気持ちをこうして表さずにはいられなかった」 返す言葉が見付からず、懇望はただ魚のように口をぱくぱくさせている。

2014-06-10 02:09:25
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

と、突然、アサシンは何かに気付いたらしく、ぱっと窓際へ移動すると剣を振るった。 「ハァッ!!」 剣が振るわれた先に居たのは、真っ二つになった蛇だった。その蛇の残骸は数秒間のた打ち回ったかと思うと、煙となって消えてしまった。

2014-06-10 02:11:00
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「ふむ? 見た所マスターの使い魔や魔術という訳でもなさそうだ。いや、それ以前にここは魔術師の工房とは思えない。……マスター、一つ確認したいのですが……」 発言の途中、アサシンは何かに気付いたのか、壁の方に目を向ける。そして残念そうに首を振ると言葉を続けた。

2014-06-10 02:12:32
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「すいません、どうやら御家族を起こしてしまったようです。じき、この部屋へとやって来るでしょう。その前に私は退散する事にします。それではマスター、可憐な花よ、またお目に掛かれる時をお待ちしております。ブエナス・ノーチェス」

2014-06-10 02:13:56
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

そう言うとアサシンは一礼し、霞のように消えてしまう。 懇望の母親が部屋のドアを開けたのは、それとほぼ同時の事だった。

2014-06-10 02:14:53
コルクマーケット@人狼PL @Korkmarie

「ちょっと、こんな夜中に何を騒いで……何よこの部屋!? あんた何やってんの!!」 部屋に残されたのは、未だ混乱から立ち直れぬ少女が一人と、部屋の惨状に金切り声を上げる母親のみ。

2014-06-10 02:17:54