竹野内真理さんの翻訳した3冊の本に関する覚え書き

竹野内真理さん(@ mariscontact)が翻訳したとされる3冊の訳書について、ざっと調べてみた感じのメモです。 いろいろと気になるところはあるのですが、補足があればコメント欄からでもお知らせ下さい。
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またの名を田中@モデルナ×4完 @rafcooc

この「人間と環境への低レベル放射能の脅威―福島原発放射能汚染を考えるために」 amazon.co.jp/dp/4871541002 の原書って何なんでしょうね?アーネスト・スターングラス氏の方は80年代と90年代に1冊ずつ著書があるみたいですけど、お二人とも1920年代生まれのご老人。

2014-06-12 06:43:22
Amazon.co.jp:人間と環境への低レベル放射能の脅威―福島原発放射能汚染を考えるために [単行本]

ラルフ・グロイブ (著), アーネスト・スターングラス (著), 肥田 舜太郎 (翻訳), 竹野内真理 (翻訳)

登録情報

  • 単行本: 337ページ
  • 出版社: あけび書房 (2011/7/8)
  • ISBN-10: 4871541002
  • ISBN-13: 978-4871541008
  • 発売日: 2011/7/8

商品の説明

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    ノーベル賞に匹敵するといわれる「ペトカウ効果」をつぶさに紹介、原発・核実験の放射能汚染を徹底検証した世界的労作の初邦訳。

  • 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    グロイブ,ラルフ
    1921年にスイスのリースタールで生まれる。チューリッヒ工科大学で化学工学を学んだ後、開発エンジニアとして働きながら、多くの国際的な環境保護委員会で活躍。40年近く、原子力のリスクについてのコメンテーター、著者、専門家として活動し、地位を確立した。社会的責任を考える医師の会、核戦争防止国際医師会議/社会的責任を考える医師の会(IPPNW/PSR)のスイス支局のメンバー。2008年1月死去

スターングラス,アーネスト・J.
1923年ドイツのベルリンで生まれる。ピッツバーグ大学医学部放射線科名誉教授。専門は放射線物理。米国議会、米国科学アカデミー、州議会、政府の規制当局での公聴会の証人として、核実験による死の灰と原子炉からの放射性放出物による人体の健康、特に発達中の胎児や幼児への影響について広範な疫学調査を行なった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

--ツイでも触れていますが、著者のお二人がずいぶんとご高齢なのが気になります。

ちなみに翻訳版の出版元はこちら。

リンク www.akebi.co.jp あけび書房 福祉・医療、平和、社会問題・ルポ、教育、ヒューマンドキュメントなどを中心とする出版社。『沢内村奮戦記」『福祉が人を殺すとき』『平和への伝言』などが高評。
リンク www.amazon.co.jp Amazon.co.jp: The Petkau Effect: The Devastating Effect of Nuclear Radiation on Human Health and the Environment: Ralph Graeub: Amazon.co.jp: The Petkau Effect: The Devastating Effect of Nuclear Radiation on Human Health and the Environment: Ralph Graeub: 洋書

登録情報

  • ペーパーバック: 242ページ
  • 出版社: Thunder's Mouth Pr; 2版 (1994/09)
  • 言語: 英語, 英語, 英語
  • ISBN-10: 1568580193
  • ISBN-13: 978-1568580197
  • 発売日: 1994/09

アーネスト・スターングラス氏の著作の方はいくら探しても見つからないのですが、ラルフ・グロイブ氏の方はアメリカのAmazonにありました。これまでに2冊の著作があるようです。

リンク www.amazon.com Amazon.com: Ralph Graeub: Books, Biography, Blog, Audiobooks, Kindle Online shopping from a great selection at Books Store.

で、「人間と環境への低レベル放射能の脅威―福島原発放射能汚染を考えるために」の原書と思われるものがこちら。

リンク www.amazon.com The Petkau Effect: Nuclear Radiation, People and Trees: Ralph Graeub: 9780941423724: Amazon.com: Books The Petkau Effect: Nuclear Radiation, People and Trees [Ralph Graeub] on Amazon.com. *FREE* shipping on qualifying offers. A look at the dangers of radiation exposure argues that small doses could be up to one thousand times more dangerous than previously

Product Details

  • Hardcover: 250 pages
  • Publisher: Thunder's Mouth Pr; 1 edition (June 1992)
  • Language: English
  • ISBN-10: 0941423727
  • ISBN-13: 978-0941423724

発売が1992年とありますが、竹野内真理さんが翻訳されたのは1994年に発売された第2版のようです。

--さてこの本の著者ラルフ・グロイブとはどういう人物なのか。そして原書(らしきもの)にはない著者のアーネスト・スターングラスという人物が翻訳版にのみクレジットされているのは何故なのか。を調べてみましたところ、Wikipediaに興味深い記述がありました。

リンク Wikipedia ペトカウ効果 ペトカウ効果(ペトカウこうか、英語: Petkau effect)は、「液体の中に置かれた細胞は、高線量放射線による頻回の反復照射よりも、低線量放射線を長時間、照射することによって容易に細胞膜を破壊することができる」という現象である。「長時間の低線量放射線被曝の方が短時間の高線量放射線被曝に比べ、はるかに生体組織を破壊する」等とも表現され、また、文脈によりペトカウ理論、ペトカウ実験等と用いられることもある。 カナダの医師アブラム・ペトカウが、1972年3月、マニトバ州にあるカナダ原子力公社ホワイトシェル研

ラルフ・グロイブによる紹介
スイスの科学者ラルフ・グロイブ(Ralph Graeub , 1921-2008)は、1985年ドイツ語で Der Petkau-Effekt und unsere strahlende Zukunft (『ペトカウ効果と我らの晴れやかなる未来』)を著し、この理論を詳細に紹介すると共に、原子爆弾・核実験・原子力発電所がもたらす様々な放射線被害や政府当局による放射線防護基準の欠陥について記した。同書は1994年、アーネスト・スターングラスの序文が付された英訳版が出版され、2011年には日本語訳が刊行された。

--Wikipediaの英語版にはない記述なので、さらに検証が必要ですが、この記述が正しいとするならばこの本は1985年にドイツで出版された本の英訳版の翻訳書です。原書が出版されたのは今から30年近く前のドイツです。繰り返しますが、30年近く前の本です

またの名を田中@モデルナ×4完 @rafcooc

「低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録」 amazon.co.jp/dp/4846111059 の原書はたぶんこれ amazon.com/dp/1568580665 ですけど、この方は1996年の本書以外1冊も著作なし。出版社は2007年に潰れてる。(´・ω・`)

2014-06-12 06:47:05
Amazon.co.jp:低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録 [単行本]

ジェイ・マーティン グールド (著), Jay Martin Gould (原著), 肥田 舜太郎 (翻訳), 齋藤 紀 (翻訳), 戸田 清 (翻訳), 竹野内 真理 (翻訳)

登録情報

  • 単行本: 384ページ
  • 出版社: 緑風出版 (2011/04)
  • ISBN-10: 4846111059
  • ISBN-13: 978-4846111052
  • 発売日: 2011/04

Product Details

  • Paperback: 346 pages
  • Publisher: Four Walls Eight Windows (January 1996)
  • Language: English
  • ISBN-10: 1568580665
  • ISBN-13: 978-1568580661

この方もあまり情報がないのですが、英語版Wikipediaによれば1966年、1990年、1996年にそれぞれ1冊ずつの著作があって、この「The Enemy Within: The High Cost of Living Near Nuclear Reactors」(1996)が最後の著作になるようです。2005年に亡くなっています。

リンク Wikipedia Jay M. Gould Jay Martin Gould (August 19, 1915 – September 16, 2005), was a statistician and epidemiologist who cofounded the Radiation and Public Health Project in 1989. It was Gould's contention that radiation from nuclear power plants was causing high rates of can

英語版Wikipediaによればエイズも原発の影響にされていそうな感じです。

The enemy within: the high cost of living near nuclear reactors : breast cancer, AIDS, low birthweights, and other radiation-induced immune deficiency effects