少女活劇

少女活劇は一話完結の連作twnovelです。凜という少女が自身の冒険活劇を病床の少年に語って聴かせるというお話になります。更新頻度はほぼ毎日。凜が本当に異世界を冒険したのかというのは問題ではなく、少年の中で真実味があればいいのでしょう。 よろしくお願いします。
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猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

病弱なために自宅で軟禁状態の僕は娯楽に飢えていた。読書もテレビの視聴も思いの外体力を使うから長時間することは出来ない。かと云ってただ寝ているという行為もまた体力を要した。そんな僕の楽しみは幼馴染みの凛が話す物語。凛は異世界への扉を開く鍵を持っていて冒険に明け暮れていた。#少女活劇

2014-06-08 18:33:12
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

燎原の魔は生きている炎の軍勢。私が草原に建つ国に召喚された時にはもう周りを囲まれて、攻め落とされる直前だった。それでも怯むことなく炎の軍勢の前で舞い踊る。すると見る見る間に黒雲が湧き起こり、大雨が降り注いだ。燎原の魔はたちまち鎮火し、王国は救われたの。雨女の面目躍如ね。#少女活劇

2014-06-09 10:42:29
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

時に冒険は盤上でも繰り広げられる。それはチェスに似通っていたけれど8×8マスではなく、迷宮のように入り組んでいてね。その遊戯の覇者が王に選ばれ、現王は暴君だった。私は知略を駆使して立ち向かったわ。迷宮を突破した私の駒が暴君に刃を突きつけ、遊戯が絶対な体制を終わらせたの。#少女活劇

2014-06-10 08:33:35
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

旅人を歓待してくれるという立派なお屋敷を訪れてみたの。そこで出迎えてくれた姫君はご馳走を振る舞ってくれた。そして帰る間際に黒い箱が。私はその場で箱を開けると姫君に投げつけた。煙に燻された姫君はたちまち老婆になる。人間の生気で生き長らえていた妖女は灰となって崩れ落ちたわ。#少女活劇

2014-06-11 08:54:38
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

とある国ではお城の地下に巨大鼠が出没し、大切な食料庫を荒らされて困っていた。私はたかが鼠と侮って地下に挑んだが、狭い通路では剣も満足に振るえず退散するはめになった。そこで私は国一番の画家に大きな目玉を描いて貰う。猫の目を前にして縮み上がり隙が出来たところで急所を貫いた。#少女活劇

2014-06-12 07:41:19
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

魔法のランプでも条件は色々あるわ。その世界では魔神と戦って勝てば願いが叶えられたの。私は腕試しに試練に挑む。魔神の繰り出す魔法に苦戦したけど、ついに倒すことに成功した。命が燃え尽きる直前に増す魔力で願いを叶えると聞いて、好敵手だった魔神に対し願ったのはランプからの解放。#少女活劇

2014-06-13 07:05:45
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

とある漁村に立ち寄った時、故人を一緒に弔ってくれないかと頼まれたの。村人たちは故人の家から海を目指して棺桶を担ぎ、浜辺にやって来ると水に浮かべた。すると棺桶の蓋が外れ、魚の大群が溢れ出してね。周囲の人間もいつの間にかぬらつく魚顔で、危うく私も葬儀をあげるところだったわ。#少女活劇

2014-06-14 06:51:30
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

その雪国では、真夜中暖炉の火床の薪が燃え尽きると、煙突から魔物が侵入して来るというの。しかし領主の屋敷では、暖炉の火を絶やしていないのに現われた。そこで暖炉の前で待ち構えたけど猛烈な眠気に襲われる。翌朝なんとか一睡もしなかった私の足もとには睡魔の屍が積み重なっていたわ。#少女活劇

2014-06-15 07:34:03
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

ある国ではかまどに火蜥蜴の巣を作り、その熱を利用して煮炊きをしていたの。でも扱い方を間違えれば危険な目にも遭う。私が駆けつけた家では子供の悪戯によって火蜥蜴が荒れ狂っていたわ。私は火に飛び込むと親の火蜥蜴に卵を返す。すると卵は孵化し、みぃという鳴き声で炎が消えてくれた。#少女活劇

2014-06-16 08:20:55
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

村外れにおもむいた。到着したのは夕方だったけど、荒れ果てた墓地はいつ化け物が出てもおかしくなかったわ。そして穴の掘られた形跡がいくつもあった。その夜、墓地を狐が取り囲み、狐火で操られた死体が這い出し踊る。私も釣られて踊ったら狐は逃げ、糸の切れた死体と一緒に取り残された。#少女活劇

2014-06-17 07:58:29
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

葬儀に参列したの。亡くなったのは死顔もそっくりな双子だったわ。でも式の最中、それぞれの棺がカタカタと動き出した。そればかりか泣き声まで聞こえて来てね。そこで私は肝を冷やしている大人たちに、二人を一緒の棺に納めるよう提案したわ。すると怪異は治まった。来世も一緒だといいな。#少女活劇

2014-06-18 08:50:49
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

呪われた椅子があった。いわれは様々あるけれど座ると死を招くというのよ。その椅子に子供がうっかり座ってしまった。子供の命を救いたい両親は私に頼んだってわけ。私は別の椅子をその前に置いて呪いと対話を始めた。言霊で元凶をあぶり出し、苦悶して来たところを椅子から引き剥がしたの。#少女活劇

2014-06-19 07:36:57
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

まず、村に一匹の羊が迷い込んで来た。それから毎日のように羊の数が増えていった。すると村人たちは一人また一人と昏睡状態になり始める。原因を探ってみると、怠け者の羊飼いに行き当たった。彼は眠りながら羊の数を数えていてね。私が羊飼いに狼が来たぞと叫ぶとみんな眠りから覚めたわ。#少女活劇

2014-06-20 07:16:42
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

ガマの油売りの口上をやっていた。醜いガマは油売りが置いた鏡を見て脂をたらたらとにじませている。その時「助けて」という声がした。それだけで察した私は乱入して鏡を壊してやる。するとドロンと煙が立ってガマは見目麗しいお姫様になったの。呪いの反動で今度は油売りがガマになったわ。#少女活劇

2014-06-21 07:47:58
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

あるお屋敷まで義眼を届けるように頼まれたの。楽な依頼だと思っていたんだけど、道中何度も襲撃を受けた。どうやら私が義眼を持っていることを賊たちは分かっているらしかった。それでもなんとかお屋敷に到着する。私は義眼の主に訳を問うた。「これには女風呂の光景が記憶されているのさ」#少女活劇

2014-06-22 08:35:14
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

悪魔は人の心の扉を閉ざす鍵を持っていた。悪魔討伐に挑んだ私たちのパーティーの絆は、その鍵の力で分断させられてしまった。ある者は疑心暗鬼になり、ある者は仲間を嫌悪した。だけど本物の絆は強いものよ。傷つきながらも信頼し続ける私の姿を見た仲間たちは、自力で心の扉を開放したの。#少女活劇

2014-06-23 08:07:08
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

ダチョウに似た動物に乗る騎士見習いに稽古を付けることになった。しかし騎士見習いたちは乗るどころか近づくのも怖がる始末。そこで荒療治を考え、モンスターの前に放り込んでやった。そのモンスターは足が速いので有名だ。戦わずとも良い。逃げ切るために人馬一体となることが目的だった。#少女活劇

2014-06-24 08:48:10
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

並び立つ塔が遮り、地上には光が届いていなかった。そんな下層に住んでいるのは貧しい人ばかり。だけど希望はあるものよ。私が足を運んだのは小さな教会だった。そこだけ一筋の光が届いていたの。床の代わりにお花畑が彩り、皆夢にまどろんでいたわ。こういう幸せを守りたいと改めて誓った。#少女活劇

2014-06-25 08:50:44
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

収穫した、大人の背丈よりも大きい黄金芋を山の麓に積み重ねる。すると光り物に目がない竜が自分の巣へと運び込むの。そして頃合いを見計らって竜の山に登る。竜の巣にたどり着いたら、危険でないことを確かめて黄金芋を回収するわけ。竜の灼熱の体温で焼かれた芋は甘くほくほくして最高よ。#少女活劇

2014-06-26 07:02:46
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

市場で竜巻を閉じ込めた壺が売っていたの。半信半疑だったものの、余裕があったので購入してみる。商人からは荒野や平原で開けるように言われたんだけど、「スリだ!」の声で思わず盗っ人目がけて投げつけてしまった。すると市場のど真ん中で竜巻が発生し……私は一目散に逃げ出しちゃった。#少女活劇

2014-06-27 07:09:31
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

湖に橋を架けたくても、怪物が住んでいて工事がちっともはかどらないので、退治するように依頼されたの。早速船で怪物と会ってみたんだけど敵意はまるで感じられなかった。もしやと思った私の提案で怪物の背中を利用した移動手段が確立されてね。寂しがりの怪物は人に寄り添えて幸せみたい。#少女活劇

2014-06-29 09:24:08
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

異世界を走るのは気持ちいいだろうなと思い、自転車を持ち込んでみたの。でも道が舗装されていないものだからお尻が痛くなる。けれど速度制限がないので思いっきり飛ばすのはなかなか爽快だった。その途中で何度も人助けをしたら、鉄の馬を駆る騎士としてすっかり有名になってしまったのよ。#少女活劇

2014-06-29 09:28:08
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

塔のような巻き貝の中は迷宮になっていた。そしてずっと波の音が響いているの。傾斜になっている通路を迷いながらも進んでいく。どこまでも続く迷路にさすがの私も心細くなった。でもようやく頂上に出ることが出来た。そこには荒涼とした世界が広がっていて、上空に青い惑星が浮かんでいた。#少女活劇

2014-06-30 08:33:29
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

森の魔女はスイーツ占いをやっていた。食べた味で運命が分かるという。しかし魔女は魔女。もし不幸な結果が出れば、煮え立つ鍋に放り込まれるという。そこで私は自作のケーキを持参し、魔女に食べさせた。魔女の顔はたちまち蒼くなり、自ら鍋に飛び込んだ。料理下手も役立つことがあるわね。#少女活劇

2014-07-01 08:17:43
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

竜が焼け付く息を吹きかけて来たの。私は冷気を発する盾の後ろに隠れてしのいだわ。そして息が止んだところで斬りかかった。その間も竜は息をチャージしている。このままじゃらちが明かないと思った私は、竜が口を開いたところへ盾を投げ入れた。急激な冷気を浴び、竜は深い眠りに落ちたわ。#少女活劇

2014-07-02 09:57:18
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