小児甲状腺癌の潜伏期間について(福島とチェルノブイリの比較を通じて) cyborg012さんのツイートまとめ

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鈴木真一氏(6月10日甲状腺評価分科会) 「臨床データを我々が公表していないのに、(渋谷先生は)なぜ取らなくてもいい癌をとっていると断定できるんでしょうか」。 この発言は大きいです。「臨床データの未公表」が無用な論争を呼んでいることを、医科大自身が認めた瞬間です。

2014-06-14 06:15:53
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清水教授(6月10日記者会見) 検討委員会では(被曝影響との)因果関係に関する議論はされていない。因果関係は考えにくいという星先生の発言は、星先生個人のご意見で、部会全体の意見ではない。個人的にはチェルノブイリを考えると放射能の影響は関係ないと思っていたが、現在は白紙で考えたい。

2014-06-14 08:47:06
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小児甲状腺癌の潜伏期間について(福島とチェルノブイリの比較を通じて) 6月19日の甲状腺評価検部会後の記者会見で、清水一雄教授(日本医科大)は「チェルノブイリを考えると因果関係はないと思っていたが、今は白紙にして、真剣に考えたい」との見解を示した。

2014-06-15 08:33:53
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他方で、清水教授は、チェルノブイリと福島とでは年齢層が異なる点を指摘し、現段階での両者の相違についても言及された。

2014-06-15 08:34:50
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現在のところ、チェルノブイリと福島は、腫瘍径、病理形態、性比、発見率など複数の点でよく似ている。しかし、清水教授の指摘するように、両者の年齢層は大きく異なっている。 pic.twitter.com/wocVxUbiyL

2014-06-15 08:38:25
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ベラルーシでは、事故後10年以内の患者の被ばく時平均年齢は4.4才であり、幼い子どもが患者の中心であった。この点はウクライナでも同様である。これ対して、福島は平均14-15才であり、10代の患者が中心である。 pic.twitter.com/Q1f3wRwo4Q

2014-06-15 08:43:54
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しかし、症例の年齢分布は「潜伏期間」を反映している。したがって、福島を考えるにあたっては、チェルノブイリ事故後「10年間の症例」と比較してはならない。現在の福島の年齢分布は、チェルノブイリ事故後「3年以内の年齢分布」と比較する必要がある。

2014-06-15 08:48:07
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たとえば、チェルノブイリ原発事故後3年以内のベラルーシ共和国全土の患者の年齢分布は10代が中心であり、福島の年齢分布と極めてよく似ているのである(以下図のデータ出典は後にあげる)。 pic.twitter.com/GGuRIDU1NK

2014-06-15 08:50:01
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なお、ベラルーシ共和国では、チェルノブイリ事故前の小児甲状腺癌数は「全土」で毎年0-2人である。上記ゴメリ州1986-88年の患者数8人は、事故前と比べて明らかな多発である。「小児甲状腺癌においては潜伏期間は実質的に存在しない」(M. Malko教授)と言われる所以である。

2014-06-15 08:52:15
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以下図(pacini et al. 1997)は、ベラルーシの小児甲状腺癌について、「潜伏期間」と「被ばく時年齢」の相関関係を示している。10代青年層の潜伏期間が相対的に短いことが、この図で見てとれる。 pic.twitter.com/TYYcGcGRfL

2014-06-15 08:55:03
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より分かりやすく、ゴメリ州のデータで具体的に見てみよう。以下は、山下俊一氏の論文で引用されているゴメリ癌登録データである(文献は田島直樹氏からご教示頂いた)。年齢は「被ばく時年齢」である(以下、年齢はすべて被ばく時年齢を指している)。 pic.twitter.com/7aunoBjlVh

2014-06-15 08:57:37
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ゴメリ癌登録のうち、1986年から1989年まで(事故後3年以内)の癌患者の年齢分布を示したのが以下図である。最初は青年層の発症が中心であり、4年目から5才以下の小さな子どもの癌の発症が始まっている。 pic.twitter.com/EpF1dU3AK0

2014-06-15 09:00:30
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以下図は、事故後2年以内、および事故後12年以内の症例年齢分布を示している。事故後4年目から、患者が低年齢層にシフトし、また低年齢化とともに癌が爆発的に増加し始めたがことがよく分かる。 pic.twitter.com/7YPjuronal

2014-06-15 09:05:30
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ウクライナでも同様である。事故から4年以内(1986-1990年)では、甲状腺癌の増加は15-18才の青年層が中心であり、14才以下の小児集団では目だった増加は確認されていない。 pic.twitter.com/Ts3IeSozj8

2014-06-15 09:15:46
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つまり、小児甲状腺癌の潜伏期間は10代の青年層で短く、幼児では相対的に長いことがチェルノブイリの経験で知られている。Pacini et al 1997はこれを「負の相関性」(negative correlation)と呼んでいる pic.twitter.com/FFWcqFy4qa

2014-06-15 09:20:10
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こうした「負の相関性」は10才未満の幼児集団に限っても同じく確認され、また統計的な有意差も示されている(Pacini et al. 1997)。 pic.twitter.com/aKV8ZFev5a

2014-06-15 09:24:01
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同様の「負の相関性」は、ベラルーシの8才以下483人の患者について年齢別の臨床分析を行った別の論文(Farahati et al. 1999)でも確認されている。以下は論文データの抜粋である(latency=潜伏期間)。 pic.twitter.com/celYTXmkCQ

2014-06-15 09:27:00
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以下図はFarahati et al. 1999のデータをグラフ化したものである。事故時2才以下の平均潜伏期間が8.12年であるのに対して、6-8才では6.23年である。幼児集団に限っても、年齢が高い子どもの潜伏期間は明らかに短い。 pic.twitter.com/WIZbdcinje

2014-06-15 09:29:50
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cyborg001 @cyborg0012

なぜ、被ばく時年齢と潜伏期間にこうした負の相関性が存在するのか?残念ながらPacini やFarahati らの論文ではその病理メカニズムまでは解析されていない。被曝による小児甲状腺癌には様々な未解明の問題があるが、これもその一つに数えられるものと思われる。

2014-06-15 09:33:00
cyborg001 @cyborg0012

いずれにせよ、福島とチェルノブイリに年齢層の相違があるとの清水一雄教授の見解は誤りである。潜伏期間を考慮し、事故後3年以内の症例で正確に比較すれば、福島とチェルノブイリは年齢という点でも非常によく似ていると考えられる。 pic.twitter.com/1hFdIEFhqE

2014-06-15 09:36:34
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cyborg001 @cyborg0012

チェルノブイリで確認された潜伏期間と年齢の間の「負の相関性」が福島にも当てはまるとすれば、事故後4年目に入っている現在、10才未満の小さな子どもの潜伏期間が終了する節目の時期に当たる。

2014-06-15 09:37:57
cyborg001 @cyborg0012

なお、Farahati et al. 1999では、低年齢の子どもの癌はより進行性の癌が多いとの解析がされている。以下図は8才以下子どもの年齢別の転移率を示している。(被ばく時年齢)2歳以下の子どもの転移率が一番高いことが確認できる。 pic.twitter.com/ku4FJbGLwi

2014-06-15 09:42:21
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つまり、被ばく時の年齢が低いほど、癌がより襲撃的(aggressive)であることが明確に示されている。

2014-06-15 09:43:20
cyborg001 @cyborg0012

このように、患者の低年齢化は、症例全体に占める進行癌の割合の増加を伴うと予想される。我が国でも、注意が必要である。今後、とりわけ福島や東日本の小さな子どもには適切な配慮が求められよう。

2014-06-15 09:45:51
cyborg001 @cyborg0012

以下参考文献です。興味のある方は、ご覧ください。

2014-06-15 09:47:00