深海長門外伝・其之参「季節外れの夏祭り編」

深海棲艦の長門(深海長門@艤装解除白面骸鬼(指輪)@nagato_bs_)の提督が執筆した日記、深海長門の外伝を纏めました。
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深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

太陽が水平線に沈み掛けている頃、海面に水柱がいくつも舞い上がる。 四散していく深海棲艦たち。奴らの視線の先に巨大な砲口から煙が噴き出ているのが観えた。 その艤装の主、異形の姿の長門が・・・そこに居た。 #深海長門外伝

2014-06-14 17:34:30
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

長門の砲撃で倒されていく深海棲艦たちは無残にも原形を留めない姿に返られていく。そして残る深海棲艦も残り1隻となった。 リ級は決死の砲撃を試みる。だが、長門は怯む事もなくリ級目掛けて突撃する。 #深海長門外伝

2014-06-14 17:37:11
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

リ級の砲弾の嵐のような攻撃の中を突っ込み、拳を解いたその手を貫手の構えとなった。 それに気付き、リ級は体勢を整え防ごうと考えるより先に・・・。 リ級の腹に大きな穴が開く、長門の貫手によって・・・。 #深海長門外伝

2014-06-14 17:43:57
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

リ級は悲鳴を上げる事もなく、海の中に沈んでいった。 リ級の液体で染まった自分の腕を観る長門はダルそうな表情をしている。満足出来ないらしく、気力が沸かない。 ため息を吐き、次なる獲物を探そうと周囲を見回す。 #深海長門外伝

2014-06-14 17:47:04
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

長門はふと気付く。そこに鎮守府がある事に。 深海棲艦との戦いでいつの間にか舞鶴鎮守府の近海まで来てしまったようだ。 引き返そうか、そう思う長門だったが・・・思い止まった。 何故なら、その鎮守府はかつて自分が艦娘だった頃に過ごした鎮守府だったからである。 #深海長門外伝

2014-06-14 17:51:12
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

他の鎮守府なら引き返すつもりだが、自分が居た鎮守府であるなら・・・大好きなあの人に逢いたいという感情が炎となって胸を熱くさせた。 もうすぐ夜だ。夜を待って逢いに行こう・・・だが、その前に警戒も必要だ。 長門は艤装のカタパルトから艦載機を発艦した・・・。 #深海長門外伝

2014-06-14 17:53:19
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

長門の生物というより怪物のような艤装。その艤装によく似た艦載機はまるで幼体のように観えなくもない。 その1機がカタパルトから飛び出して一直線に飛行、鎮守府に向かうのだった。 #深海長門外伝

2014-06-14 22:48:21
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

長門は瞼をを閉じると艦載機とリンクを開始する。彼女の目は艦載機と一体化。艦載機から観えた光景は鎮守府では寮に戻ろうとしていたり、主砲を撃つ訓練をしていたりという艦娘たちの姿だった。 平和と言えば平和に観えなくもない。だが、長門には興味などなかった。 #深海長門外伝

2014-06-14 22:54:04
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

その奥にある鎮守府に向かうと窓を観る。青カーテンがしてある窓でその奥で執務机でだらんとだらしくなく寝そべっている・・・この鎮守府と艦娘たちの司令官ともいうべき提督の姿があった。 季節外れの暑さに参っているのか、気力が沸かないようだ。 #深海長門外伝

2014-06-14 23:08:15
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

そんな提督を観て、長門は無意識にくすっと小さく笑った。相変わらずだな、提督は。ああ、やっぱり私が居なければ。秘書艦であるこの私が。 艦載機から観ているとすぐにでも傍に居ようという気持ちがさらに強くなって本能すら叫んでいる。 #深海長門外伝

2014-06-14 23:12:58
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

だが、今は堪えなくては。行ってもいいのだが、そうすれば艦娘たちの砲撃の的になる。負けるつもりもないし、彼女たち程度なら余裕で勝てる。だが、無駄な事はしたくなかった。提督に迷惑を掛けるつもりもない。 #深海長門外伝

2014-06-14 23:18:58
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

夜を待とう。 長門はその場に座り込む。 日差しは弱まっていくが、妙に暑く感じた。 その暑さに長門はあの頃の記憶がよこぎった。 そうだ、忘れるはずはない。私は艦娘だったあの時の事を、あの時間を。 #深海長門外伝

2014-06-14 23:24:12
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

忘れるはずはない。他の艦娘たちと過ごした時間はもう忘れてしまった。だが、提督と過ごした時間だけは忘れない。何度も何度も何度も甦ってくる。 その一つの記憶が再び甦る。あの時も・・・楽しかったと。 #深海長門外伝

2014-06-14 23:26:54
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

季節は初夏だというのに異様な暑さだった。最高気温は40度近くにも達し、もう蝉が鳴くという有り様。 異常気象とはこういう事を言うのだろうかと思いたくもなる。 この暑さには艦娘たちもへとへとになっている者が多くて出撃する気力もないようだ。 #深海長門外伝

2014-06-14 23:47:16
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

艦娘がなら、提督もだ。 ぐったりしていて、執務に励むなんて出来はしない。ズルも出来ないので気力の限り、試みるも体力を消耗するだけだった。 #深海長門外伝

2014-06-14 23:48:53
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

夜が近付き、少しはこの暑さも治まるかと思えば待っていたのは熱帯夜。さらに体力が奪われそうでしかならないし、気力だってやっぱり沸かないのであった。 そこにドアの向こうでノックをしながら「入るぞ」という声。 提督は「いいよ」と応えるとそこに入ってきたのは・・・。 #深海長門外伝

2014-06-15 02:36:10
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

背が高く、鍛えているからか、無駄のない体躯をした女性の姿。外見は20程度で凛とした武人を思わせる。観ただけで頼もしさという説得力が力強く伝わってくるようだ。 彼女は戦艦長門。この提督の秘書艦である。 #深海長門外伝

2014-06-15 02:45:54
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

建造当時は提督を嫌っていた彼女も今では心を許している。ただ。許しすぎてしまったようにも思える事もたまにあったりする。 だらしがない提督を観て、飽きれるかと思いきや・・・そんな素振りを見せずに言った。 #深海長門外伝

2014-06-15 02:51:58
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「またダウンか、提督」 「ああ、参ったな・・・この暑さは」 「艦娘からすれば少し暑い程度だが、人間はそうも行かないか」 長門はもう一つの机に座り、書類を観る。 #深海長門外伝

2014-06-15 02:54:58
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

「ほぅ、半分以上は済ませてあるではないか。やっぱり提督は期待のある男だな!」 「そう絶賛しなくたっていいんだぞ・・・半分しか出来てないんだし」 「気にしなくていいさ。この暑さでここまで書き上げるのは上出来だと私は思うよ。あとは私に任せて提督は休んでいいぞ」 #深海長門外伝

2014-06-15 02:58:33
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

長門はニコッと微笑む。だが、提督は申し訳なさそうだ。 「残りも俺が・・・」 「いいのだ、提督。貴方が倒れてしまっては艦娘たちに影響を与えてしまう。皆、提督が必要だ。私だって同じ想いだ」 #深海長門外伝

2014-06-15 03:02:01
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

提督を宥めるように頭を優しく撫でる。 長門の手の感触は暖かく、そして心地良い気持ちにさせてくれる。 「わかった・・・無理はしないようにな」 「ああ、了解だ。提督」 #深海長門外伝

2014-06-15 03:07:35
深海長門@白面骸鬼(指輪) @nagato_bs_

しばらくすると長門は残りの書類を済ませた。ソファで休んでいた提督は起き上がって書類をチェックする。 「うん、これで大丈夫だ。いつもスマン、長門」 「秘書艦だからな」 嫌な顔をせずに微笑む。提督にとって長門は秘書艦として外せなくなっていたのだった。 #深海長門外伝

2014-06-15 03:19:56