研究紹介１０　　印象操作（"嘘”）尺度は対人的な自己統制と関連があり、欺瞞とは関連しない　Journal of Personality, 2014

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

研究紹介です。 「印象操作（“嘘”）尺度は対人的な自己統制と関連があり、欺瞞とは関連していない」 goo.gl/EFPzG1

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

英文は"Impression management ("lie") scales are associated with interpersonally oriented self-control, not other-deception"です。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

以前、社会的望ましさ反応を測定する尺度としてバランス型社会的望ましさ反応尺度（BIDR）を紹介しました。 BIDRの日本語版の文献はこちらです。 goo.gl/9DbKAU

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

BIDRは印象操作尺度と自己欺瞞尺度の2因子から構成される尺度です。印象操作は意識的に自分をよく見せようという嘘、自己欺瞞は無意識的な嘘と考えられます。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

今回の研究では社会的望ましさを測定する尺度（Lie scale）としてよく使われているBIDRの印象操作尺度がLie scaleとしてあまり適していないことを示した研究です。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

著者の主張としては印象操作尺度は自分を過大によくみせようという欺瞞ではなく、社会に適した行動をとる能力の一つである自己統制（self-control）を測定していると主張しています。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

自己統制の概念や自己統制を測定するための尺度に関してはこちらの文献が詳しいです。 「自己統制能力が高いと心身ともに健康で社会的にも上手くいく」 goo.gl/5E2jgr

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

英文は" High self-control predicts good adjustment, less pathology, better grades, and interpersonal success"です。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

著者たちの主張を裏付けるための調査は全部で4つ行われています。細かい方法と内容は本文をご参照ください。 特に興味深かったのは調査2の方法と結果です。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

調査2ではカップル（ほとんどは結婚している）のどちらか一方に自分の性格（BIG5尺度）とBIDR、相手との関係の満足さを回答させています。 もう片方の人は、自分ではなく相手の性格とBIDRを評価させていました。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

その結果、印象操作尺度にはカップル間の評価にやや高い相関（r = .44, p<.01）が見られ、自己欺瞞尺度にはやや弱い相関（r = .24, p<.05）が見られました。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

著者たちは印象操作尺度は過度に自分をよく見せる傾向ではなく、社会生活でも実際に好ましい行動を取っているので相手にその印象が伝わっているのだろうと考察していました。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

4つの調査の結果をまとめると、印象操作因子はやはり社会に適した行動をとる能力の一つである自己統制を測定しており、Lie scaleとしては適していないことが明らかになりました。

欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

その一方で、自己欺瞞因子はLie scaleとして適切に機能しているので、Lie scaleに使用するのは自己欺瞞因子の方がよいと考察されています。 今回の研究結果から、BIDRを社会的望ましさを測定するための尺度として使用するときには注意が必要なようです。