ラバウル少佐日誌:とある艦娘の過去と未来編其ノ弐

艦これ二次創作小説です。とある艦娘の過去捏造注意です(今回、番号打ちのミスで13の次が飛んで15になっておりますが、14は 元から存在していなかったので、御了承下さいませ)。
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檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

(前回までのあらすじ: 木曾の右目義眼カメラの運用実験を行った少佐であったが、彼女は両目の視界に慣れられず、惨憺たる結果に終わった。 司令部の意向もあり、何としてでも右目の視界を開かせたいと少佐は考えるも、木曾は意味深長な答えを返すばかりであった) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 20:09:21
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

(少佐は木曾が右目の治療を拒む理由を探るべく、彼女の実の姉妹であり、人間であった頃をよく知る他の球磨型の姉妹を集める。 そこで彼女達が語ったのは、少佐の想像を絶する、木曾の過酷極まる生い立ちであった) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 20:15:16
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

町の高台に建った中学校、そのグラウンドでは、丁度体育の授業が行われていた。 「木乃さん!準備出来た?」 木乃、そう呼ばれたのは、目つきのあまり良くない少女だ。 「ああ。宜しく頼むぞ、高梨」「はい!」 二人はバレーコートの中、木乃が前、高梨が後ろにいた。(2) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 20:40:24
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

……暫しの静寂後、笛が鳴り、 「てやっ!」 敵からのサーブが入る。 これを「はいっ!」 先ずバックライトが受け止め、 「木乃さん!」 次にバックセンターの高梨が打ち上げた。 (3) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 20:47:30
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「任せろ!」 木乃は……。 俄かに信じ難い程高く飛び上がると、 「おらぁっ!」「うわっ!」 おおよそ14歳の少女のものとは思えない程の剛速球を、相手コートへ叩き込んだ。 「やった!」 彼女の側のコートは、外野で見ていた他の女生徒達まで湧き上がる。 (4) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 20:55:28
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

が。 「アウト!アウトです!」 審判役の教師に、ブーイングが飛ぶ。 が、事実は事実である。 「あー……マジっかよ」 木乃はばつが悪そうな顔を見せた。 (5) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 21:04:13
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「あー……」 木乃は夏服のリボンをかなり緩めにして首元を開けた姿で、正門前に気だるげな様子で座り込んでいた。 ……ぼんやりと、何年も前の交通事故の事を思い出しながら。 (7) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 21:19:59
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

明らかに、最近の木乃は右肩に違和感を感じていた。 その右肩は、彼女が幼い頃に両親を喪った交通事故で、一番深い傷を負った箇所だ。 完治したものと、彼女は考えていた。 それが、今になって……? 木乃は左手で右肩を揉む。 ……妙な冷たさと硬さがあった。(8) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 21:25:09
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「……!?」 思わず、自らの肩を睨む木乃に、 「痛えよバカ!」「ぐえッ!」 鉄拳が飛んだ。 「……あ、ご、ごめんなさい球磨川さん!」 「ナニ?」「えっ……」(9) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 21:30:18
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「みんなでいる時は、お姉ちゃんって呼べっつったよなァ。アぁ?」 「そう、でした……姉さん」 木乃の後ろには、茶髪を腰まで伸ばし、彼女とは見るからに違う制服を、しかし彼女よりも更にだらしなく着こなした、ガラの悪い高校生がいた。(10)

2014-06-16 21:37:07
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「いや、待たせて悪かったにゃ、曽実(かつみ)」 球磨川の背後から、髪の白い少女が姿を現す。 彼女は球磨川と同じ服を着ていた。 「いえ、そんなコトないですよ、珠樹(たまき)姉さん」 「なーんでテメエ、タマちゃんだけはちゃんと姉さんって言うんだよおえェー」(11) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 21:44:34
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「まあ仕方ないんじゃなーいのー?だってアネキ怖えもん。ね、大井っち」 「北上さん、もうちょっとオブラートに包みましょう。ね?ね?」 長い黒髪の少女と、茶髪を三つ編みにした少女が、三人の輪に加わる。 「テメエ等おッッッせえよお!どんだけ待たせんの!?」(12) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 21:49:48
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「まあいいじゃーん、こうしてまた、何事も無く、今日も『姉妹』で集まれたワケだし」 北上は少し伸びをする。 「でもねー、アタシ等そろそろ受験だからね。勉強忙しくてキツいんだよねー」 「あ、でも球磨姉さん!私達、出来る限りは姉妹会に出させて頂きますよ!」 (13) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 21:55:21
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「おいおい、お前等志望校ウチっしょ?そんな勉強死ぬ程しねえと入れねえような学校じゃねえだろ」 「そりゃアネキは天才だからね。でもアタシ等は凡才だから、そうはいかないんだなー」 「じゃああたしが今度勉強見てやっから」「いえ、その、うふふ」 大井が苦笑う。(15) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 22:00:45
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「そんなコトより、だにゃ」 珠樹が、三人の会話を止め、その視線を木乃へ移させる。 「どしたんだにゃ?何か、かなり思い詰めて右肩見てなかったにゃ?」 「……そうなんだ、姉さん」 木乃は、俯いていた頭を上げた。 「実はさ……」(続く) #ラバウル少佐日誌

2014-06-16 22:06:07