茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1270回「自分はイヤだからは、理由にならない」

脳科学者・茂木健一郎さんの6月18日の連続ツイート。 本日は、昨日のタトゥー、刺青問題のclarification(こういう意味であるという、補足の説明)です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1270回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日のタトゥー、刺青問題のclarification(こういう意味であるという、補足の説明)です。

2014-06-18 06:41:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(1)昨日、タトゥー、刺青を入れている人への入浴拒否は問題であるというツイートをしたところ、たくさんの方から反応をいただいた。@メンションを見ていると、1割が賛同、9割が反対。反対論の多くは感情的なニュアンスがあり、人口の中の分布を正確にサンプルできていない可能性がある。

2014-06-18 06:44:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(2)反対論を一つひとつ読んだが、いくつかの認知的失敗(cognitive failure)があったので、その点について整理したい。まず、茂木は刺青を入れているのか、暴力団関係者とつながりがあるのかという意見、私は刺青を入れていないし、暴力団関係者は一人も存じ上げない。

2014-06-18 06:45:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(3)ある主張をしている人が、その人の都合でそうしていると思い込むのはしばしば見られる認知的失敗である。タトゥー、刺青の入浴禁止は、現代の人権感覚から見て著しく不適切という判断は、私個人の立場、都合と全く無関係なもので、そこが読み取れてない方が非常に多い。

2014-06-18 06:46:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(4)また、刺青は暴力団が威圧のために入れるものだとか、過去に恐い思いをしたとか、そのような理由で入浴禁止を正当化する方がいる。前者は、刺青、タトゥー文化の広がりと多様性に対する理解が欠けている。また、後者は、自分の経験がすべての事例に適応できるという勘違いをしている。

2014-06-18 06:48:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(5)ドレスコードとの関連を指摘する人もいた。しかし、どんな服を着るかは、ドレスコードに応じてその時々で対応できるが、刺青、タトゥーはそうではない。刺青、タトゥーは、その人の生き方そのものだから、ドレスのように簡単に着替えるものではない。ここの違いがわからない人多数。

2014-06-18 06:50:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(6)刺青やタトゥーが好きではないとか、親にもらった身体を傷つけるのはうんぬんという方もいた。その方の感性、美意識はそうなのでしょう。だからと言って他人がそういう選択をしたということにとやかく言う権利はない。自分は金髪に染めたくないからと、染めている人を差別するのはおかしい。

2014-06-18 06:52:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(7)私自身は、自分にタトゥーや刺青を入れる考えは今のところないが、それはあくまでも自分の選択であって、それぞれの理由があって入れることを選択された方の生き方をとやかく言いたくない。温泉などにおける入浴禁止は、結局、他人の生き方に対する深刻な干渉につながってしまう。

2014-06-18 06:53:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(8)結局、現代の標準的な人権感覚、考え方の基礎から言えば、タトゥーや刺青を入れている人に対する入浴拒否の扱いは、即刻レッドカード、そもそも議論の余地なく許されないもの、という私の判断は、一ミリたりとも揺らがない。この判断の前提になる価値観が共有できない方がいるのは、残念。

2014-06-18 06:55:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

じり(9)日本国内では、刺青が暴力団の象徴になってきた、というようなことは、入浴拒否の「理由」には全くなり得ないこと、自分が嫌だから、恐いからという「理由」で、他人を排除することはできないこと。こんなシンプルな原理原則が、一部の人には共有されず、自分たちは正しいと思い込んでいる。

2014-06-18 06:57:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1270回「自分はイヤだからは、理由にならない」でした。

2014-06-18 06:57:57