研究紹介11 君のことを知らないと嘘をつきたいけど、私の脳(楔前部)は協力してくれない Scientific Reports, 2012

研究紹介のまとめです。fMRIを用いた虚偽検出研究のレビュー論文も紹介してあります。
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欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

研究紹介です。 「君のことを知らないと嘘をつきたいけど、私の脳(楔前部)は協力してくれない」 goo.gl/c4Zu6f

2014-06-18 19:15:42
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英文は"I want to lie about not knowing you, but my precuneus refuses to cooperate"です。

2014-06-18 19:15:50
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fMRIを使った虚偽検出(lie detection)の研究です。今回の研究では特に顔の熟知性(familiarity)に着目しています。 つまり、顔見知りの人を「知らない」と反応したときに脳の活動から嘘を見抜けるかを検討しています。

2014-06-18 19:16:00
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実験の結果としては左の楔前部の活動を見ると約85%(11/13)の人の嘘を検出できていました。ここでの嘘は「知っている人の顔を知らないと反応する」嘘です。

2014-06-18 19:16:11
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楔前部の場所はウィキペディア(goo.gl/yKb1wi)に非常に分かりやすい図があったので転載させていただきました。

2014-06-18 19:16:29
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fMRIを使用した虚偽検出の研究は2000年代から盛んに行われています。fMRIを使用した虚偽検出の研究について非常に読みやすいレビュー論文があるので紹介させていただきます。

2014-06-18 19:17:30
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脳はどのように嘘を構成するのか:これまのでの研究の統合的なレビュー 【How the brain shapes deception: an integrated reveiw of the literature】 goo.gl/y1ngms

2014-06-18 19:17:42
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これまでの研究結果を知るのと、脳と嘘の関係性に知るには個人的に一番良い文献だと思います。著者は阿部修士先生(京都大学)ですので、英語も非常に読みやすいです。

2014-06-18 19:17:57
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さて、戻ります。先行研究では背外側前頭前野(DLPFC)や前帯状皮質(ACC)などの脳部位が嘘をつくときに賦活していました。これらの部位は嘘をつくとき特有の脳領域というよりは人の実行機能(executive function)を司る部位と考えられています。

2014-06-18 19:18:20
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DLPFCとACCの場所は検索したらこのサイト(goo.gl/xk0jpt)に分かりやすい図があったので転載させていただきました。今度は回りません。 pic.twitter.com/Brhy6sQ48V

2014-06-18 19:18:58
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著者たちは嘘をつくときに実行機能に関連する部位が賦活するのは確かだと思うが、より直接的に嘘をつくときに賦活する部位はないかを探索しています。

2014-06-18 19:19:27
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

そこで着目したのが、顔の熟知性に関して特異的に反応する部位です。先行研究では顔の熟知性や再認に楔前部の賦活が関連していることが報告されています。

2014-06-18 19:20:05
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

実験課題は顔の熟知性(よく知っている・あまり知らない)が異なる写真に対して、「この人を知っているか?」と聞かれたときに本当か嘘の反応をするものでした。

2014-06-18 19:20:14
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

実験の結果、嘘をついても本当のことを言っても相手の顔をよく知っている場合には楔前部が賦活していました。 また、嘘をつくときには下頭頂小葉(Inferior paritetal lobule)と下前頭回(Inferior frontal gyrus)が賦活していました。

2014-06-18 19:20:34
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下頭頂小葉と下前頭回の場所はこちらです。ウィキペディア(goo.gl/WXY9Gvgoo.gl/Bn8aYD)から参照させていただいております。

2014-06-18 19:21:04
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

これらの部位から個人ごとに嘘をついていたかを判別できるか検討したところ、左の楔前部の活動を見ると約85%(11/13)の人の嘘と約92%(12/13)の真実を検出できていました。

2014-06-18 19:22:07
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

その一方、下頭頂小葉では約69%(9/13)の嘘、0%(0/13)の真実しか見抜けませんでした。下前頭回だと約38%(5/13)の嘘、約15%(2/13)の真実しか見抜けていませんでした。

2014-06-18 19:22:21
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

嘘をつくときに実行機能に関わる領域がより賦活することは確かかもしれないが、真実を話すときにもこの部位は賦活するため、より直接的に判断できる部位に着目した方がよいと著者たちは主張しています。

2014-06-18 19:22:34
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

この考え方は嘘を見抜くのではなく、記憶の有無に着目している隠匿情報検査(CIT)に通ずるものがあると思いました。 CITも嘘か真実かは置いておいて、その人が対象となる「記憶」を有しているかいないかを判断するための検査方法です。

2014-06-18 19:22:58
欺瞞的コミュニケーション研究会(考え中) @D_research_team

また、虚偽検出を考える際には嘘を嘘であると検出すること(Hit)と、真実を真実として検出すること(Correct rejection)を合わせて検討することが重要です。

2014-06-18 19:24:04