ラバウル少佐日誌:とある艦娘の過去と未来編其ノ漆

艦これ二次創作小説です。とある艦娘の過去捏造注意です。
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檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

(前回までのあらすじ: 深海棲艦の『ブレイン(提督)』となって木曾を迎えに来たのは、彼女が艦娘になったキッカケである8.15熱海事変で死んだ筈の養父だった。 化物と変わり果てた養父の姿を見て、拒む木曾。 彼女を力づくで連れ戻そうと、ブレインは装甲空母鬼を喚ぶ) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 21:36:29
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

(しかし、実の両親を失った事故、そして前述の熱海事変で、二度生き別れながらも艦娘として再会した四人の姉達が、彼女を危機から救う。 不利を覚ったブレインは雄叫び、更なる戦力を投入する) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 21:42:19
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

(……水平線の彼方より現れた数千のそれ等は、皆悲しみに満ちた顔を浮かべていた) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 21:49:13
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

------ラバウル基地、『少佐』司令室。(1) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 22:00:47
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

『提督、支援の艦隊も到着したよ。この調子でやれば、1時間以内にケリはつくだろう』 「そうか」 黒電話を手に退屈げに返事をしたのは、背の低いデブの男だ。 眼鏡の奥に浮かぶ目つきの悪い双眼で、窓の外の戦火をぼんやりと見つめている。(2) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 22:06:55
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「……出来ればあいつに、ケリを着けさせてやりたかったのだが」 『非合理的だな』 「お前からそんな言葉が聞けるとは。意外だよ、長門」 電話の相手、長門は乾いた笑い声を上げた。(3) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 22:11:38
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

『あいつは案外脆いからな。そんな真似をさせたなら、PTSDで寝込んでる羽黒よりも、酷い事になってしまうだろう』 「彼女ならば……いや、私なら乗り越えさせてやれる、そう思ったのだが」 長門は、溜め息をついた。 『提督。お前は何も、分かっていないよ』(4) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 22:17:31
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

数千隻はいたであろう深海棲艦の群れは、瞬く間に殲滅された。 血の涙を流し、異様な叫び声を上げるそれ等は、艦娘を相手にまるで戦意を見せていなかったのだ。 中には自ら爆撃、砲撃へ当たりに来る者まで現れる始末だった。 そして皆して、死に顔は安らかなモノであった。(6)#ラバウル少佐日誌

2014-06-22 22:24:47
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

……残すところは虫の息の戦艦級が1隻と装甲空母鬼、そしてブレインだけとなっていた。(7) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 22:44:31
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「父さん、もう、やめよう、こんな事」 木曾は顔を上げ、ブレインへ涙ながらに乞う。 「ソレハ許サレナイ。父サンハ海ノ底デシカ、モウ、生キラレナイカラ」 ブレインの土気色をした肌は何時の間にか剥がれ、鈍く光る鋼の表皮が露出していた。(8) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 22:51:30
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「ダカラ、かつみ。来ルンダ。ソレ以外ニ、父サン達ガ一緒ニ暮ラセル方法ハ、無インダ」 ブレインが、左手を木曾へ差し伸べる。 「……父さん?」 ブレインの左手へ、木曾は焦点を合わせる。 その開いた手の中には、あの日のままの彼女の右目があった。(9) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 22:58:57
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「あっやべえよアネキ!木曾っちが勧誘受けてる!」「何ィ!?」「えっ?」 重巡級を二人掛かりで殴りつけて沈める、大井と球磨。 二人が北上の声に促され、 「木曾!戻って来るクマ!」 球磨が呼び掛ける。 「姉サん!」(10) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 23:06:04
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「ウ……ア、アアアアアッ!?」 木曾は、右目からじわじわと顔面全体へ広がってゆく痛みを覚え、 「何……?ナニ!?ナニガ!?」 咄嗟に右手で頬を触り、 「ヒィッ!」 その硬く冷たい感触に、狼狽える。 「父サン!何ヲ、……」(12) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 23:10:34
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「父さん……?」 木曾は、目の前の光景に戸惑う。 黒い空。 赤い海。 緑色のフィルターを通したかのような景色。 水面に浮いていた筈の輸送ワ級の残骸は、母のバラバラ死体となっていた。 そして、 「……父さんが、分かるかい?曽実(かつみ)」 「父さん!」(13) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 23:15:05
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「あ、アネキ、木曾っちが……!」 北上、大井、球磨、そして合流して来た多摩は、ブレインと、彼の乗る装甲空母鬼、そして……。(14) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 23:20:10
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

経った今産まれた雷巡チ級と、対峙する。(続く) #ラバウル少佐日誌

2014-06-22 23:23:20