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対潜兵器ヘッジホッグの運用について

第二次大戦中の英軍対潜兵器ヘッジホッグの運用について、その実態をこんぱすろーず氏が解説します。
軍事
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こんぱすろーず @flowerclass
艦これ絡みなのか、ちらちらとヘッジホッグに関する話題が目につくけれど、どうも「全体攻撃魔法」というかスーパーロボットの拡散ミサイルというか「広い範囲を一気に制圧する」すごい兵器と思われてるフシもある。実は全く逆の発想の兵器だったりするんだけどな。
こんぱすろーず @flowerclass
この2枚の図を見てもらえれば概要はわかってもらえると思う。(下手くそなのは見過ごしてくれ!) twitpic.com/e6s1nl ①アスディックと爆雷攻撃の欠点 twitpic.com/e6s1pz ②前投式対潜兵器の利点
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こんぱすろーず @flowerclass
肝心な攻撃時に敵を見失ってしまうため、爆雷攻撃は広範囲に大量の弾をばらまく必要があったのに対し、探知したままの状態で潜水艦をピンポイントで狙うことができるのがヘッジホッグの強みだったのだ。
こんぱすろーず @flowerclass
24連装という外形に騙されそうになるが、1発1発はとても小さく(炸薬はわずか17㎏だ)、全部合わせても爆雷の斉射よりよほど威力も低く攻撃範囲も狭い。しかし照準ははるかに精確なので一撃必殺が期待できる。…はずだったんだけど。
こんぱすろーず @flowerclass
原理的には優秀な兵器でも運用面でつまずくと戦力化は大変だったりする。ヘッジホッグも1942年の早い時点で登場しながら結局理論値通りの結果を出せるようになったのは丸2年以上たった1944年末頃から。それまではお荷物に近い扱いであった。
こんぱすろーず @flowerclass
なんせ初めて配備されたときは射撃教範どころかメンテのマニュアルすらなくて、乗員一同どう扱っていいのかわからなくて困ったそうだから。あるベテランの駆逐艦長は「理論的にすばらしい兵器なのはすぐ理解したけど、必死の戦いの最中に戦術研究やってる余裕はなかった」と述懐している。
こんぱすろーず @flowerclass
ヘッジホッグは直撃しないと爆発しなかったので海中の音波状況をかく乱することがなく反復攻撃を可能にした、という評価もあるけど、英海軍の現場の評価だと「攻撃が失敗したことが丸わかりで士気に大変悪い影響があった」である。
こんぱすろーず @flowerclass
ヘッジホッグは英海軍にとってはどちらかというとストップギャップ(間に合わせ)に近い評価であって、本格的な前投式対潜兵器の本命と目されていたのはスキッド対潜臼砲(Squid ASW Mortar)のほうだった。ちょっとその開発史も触れる。
こんぱすろーず @flowerclass
そもそも正確な照準ができるのならちまちま小型弾ばらまくより大きいの1発かましてやったほうがさらに効率が良いのは確かであったが、発射機の簡素さを優先してヘッジホッグがまず採用されることになった。しかし「でかいの一発」派(公式史ではBig Bang Mafiaと呼ばれている)も
こんぱすろーず @flowerclass
たゆまず開発に努め、1944年中に実戦配備にこぎつけたのがスキッドである。スキッドは3連装×2の発射機から口径30㎝、炸薬量100㎏の大きな対潜弾を発射するものであった。スキッドが画期的であったのは射撃管制がセンサーとほぼ一体化して作動するようになっていたことであった。
こんぱすろーず @flowerclass
さて、アスディックのもう一つの欠点として目標を2次元的にしかとらえられず、その深度を測定することができないというものがあった。twitpic.com/e6s1sz
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こんぱすろーず @flowerclass
その1つの答えは1943年春に実用化された「Q」アタッチメントであった。twitpic.com/e6s1ux これによって限定的であるが三次元的に目標の位置をとらえることが可能となった。
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こんぱすろーず @flowerclass
一歩進んで深度の精密な測定を可能にしたのがスキッドとセットになったタイプ147アスディックである。タイプ147がとらえた目標の三次元的な位置と運動は、スキッドの射撃管制装置へと自動入力され、信管の深度設定もリアルタイムで自動更新された。twitpic.com/e6s1xi
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こんぱすろーず @flowerclass
現代のFCSのはしりといえる兵器システムであったといえる。配備当初はろくな射撃管制システムがなく、艦橋で担当士官がアスディックオペレーターの口頭の報告を聞きながらストップウオッチとにらめっこしていたヘッジホッグとはえらい違いの豪華さではある。
こんぱすろーず @flowerclass
戦時の間に合わせ兵器であったはずのヘッジホッグも洗練を経て意外と戦後長く使用されることになったが、その「生みの親」たる英海軍はさっさとスキッドに乗り換えてしまったのであった。
Karura MG @KaruraMG
@flowerclass Qアタッチメントだと、上か下かだけ分類できるということ?
こんぱすろーず @flowerclass
@KaruraMG そこらへん史料だとあんまりはっきりしないんです。「限定的な深度の測定が可能になった」としかなくて。原理がよくわからん。
こんぱすろーず @flowerclass
参考文献あげろー、というリクエストにお応えして拾ってるがいっぱいあるぞ…
こんぱすろーず @flowerclass
今回直接参考にしたのは次の6冊。Hackmann, Seek and Strike : Sonar, Anti-Submarine Warfare and the Royal Navy, 1914-1954, (London, 1984)
こんぱすろーず @flowerclass
2冊目 Owen, Anti-Submarine Warfare ; An Illustrated History, (Annapolis, 2007)
こんぱすろーず @flowerclass
3冊目 Friedman, British Destroyers and Frigates: Second World War and After, (Barnesly, 2008),
こんぱすろーず @flowerclass
4冊目 Brown, Atlantic Escorts : Ships, Weapons and Tactics in WW2,(Barnesly, 2007),
こんぱすろーず @flowerclass
5冊目 Barnett, Engage the Enemy More Closely: Royal Navy in the Second World War,(London, 1991),
こんぱすろーず @flowerclass
最後6冊目 Hartcup,The Effect of Science on the Second World War, (New York, 2003)
こんぱすろーず @flowerclass
Hackmannは英国海軍のソナー・対潜兵器開発に関する公式史です。原潜登場の時点で終わってるけど(そっから先はおそらく機密に引っかかる)。開発組織の変遷を延々と追う記述のところで寝てしまう以外はすごくいい本です。
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