グノーシス主義の定義の問題-ヘルメス文書の復権をかけて!-

グノーシスをめぐる議論に対して抱いた素朴な疑問です。
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アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ヘルメス文書の「あとがき」を見ると、荒井献の権威主義っぷりがあり、それから柴田有の心労と愚痴が錯綜してる。出版社もよくこんなのを同時に載せて出版できたもんだと思った。荒井の「荒井が荒井が」という書き方と、柴田のあからさまな皮肉つきの「荒井への感謝」。こんなことばかりなのか?と…。

2010-07-14 00:01:52
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

グノーシス研究者からはそんなの知っててあったり前だのクラッカーと鼻で笑われるかもしれないけど、1966年シチリア半島のメッシナで開催された画期的なグノーシス主義の研究会(ハンス・ヨナスも参加)で取り決められたグノーシス主義についての三つの定義。

2010-07-14 00:41:41
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

1:超宇宙的な神的領域を可視的物質的宇宙と存在論的に対立させてる反宇宙的二元論。2:超宇宙的な神的本質と人間に内在する本来的自己の間の同質性。3:この同質性の覚醒をもたらす啓示。

2010-07-14 00:42:30
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

グノーシス主義神話は多種多様な展開、無数の変種がある、しかしその発想自体は極めて単純明快ではないだろうか。「この世界を創造した存在は真に全知全能か」「そうだとしたら、なぜ不完全な世界を作り、悪を存在させたか」、こういう疑問がその発想の原因となっていると。

2010-07-14 00:49:14
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

グノーシス主義の発想自体はこの二点に尽きていて、キリスト教を含む一神教は知識より信仰を優先させるために、異端思想として弾圧することで疑問そのものを封じることになると。キリスト教以外でもユダヤ、イスラームでも、程度の差はあっても共通認識ではなかろうか。神秘主義系は分からないけど…。

2010-07-14 01:06:47
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

@Abraxas_Aeon キリスト教護教論にはついて回る問題ですね。「そこんとこ、どうなんだ?」というのを深く突っ込まないからこそユダヤ、キリスト、イスラームは世界宗教(民衆宗教)として普及してきたというのもあるんでしょうが。

2010-07-14 01:17:44
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

@perique_zero 疑問なんか持っちゃいかんと。しかしそうはいっても、疑問は今日まで潰えませんでした、みたいな感じですね。

2010-07-14 01:23:44
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

昨日話したグノーシスの三つの定義について、少し補足しておきたい。これは少し以前@ClothSackさんが「人即神」について私に問うてきたことと絡みがある。ClothSackさんが問うてきたのは、それは別にグノーシス主義に特有のことではないのではないか、ということだったかと思う。

2010-07-14 19:15:54
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

この点については、実はほぼ同じ疑問から、ずいぶん昔になるけれども異議を唱えている人がいる。それが先日取り上げた柴田有である。柴田有のグノーシス感は、『ヘルメス文書』、その中でもとりわけグノーシス的である『ポイマンドレース』からの読み込みからスタートしている。

2010-07-14 19:26:16
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

柴田有は、グノーシスの「人間論」について、果たしてハンス・ヨナスやクルト・ルドルフらが言うように「グノーシスに特有のものであるのか?」という問いを立て、非グノーシス的である『アスクレピオス』の人間論と比較することで「そうではない」と言うことを立証している。

2010-07-14 19:35:44
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ド素人の見解であり、柴田有の信者と言うわけではないが、この異論は荒井献らを初め、異論として紹介されはすれど、昨日話した三つの定義の正統性の主張のために内容関係なく晒し上げにされたりし、ほとんど見向きもされなくなっているのではないかと思われる。まだ十分に傾聴に値する論だと思うが。

2010-07-14 19:44:46
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

彼の論は批判だけでなく、自分の定義するところのグノーシス感を用意している。それは宇宙論を核とする「星辰拒否」、この一つに尽きるというのである。『ポイマンドレース』からの引用はほぼ@Agathoudaimonボットに収録してあるが、あれじゃ捉えにくいだろうな・・・。

2010-07-14 19:55:34
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

柴田有のグノーシス感について詳しく載っているのは、勁草書房の『グノーシスと古代宇宙論』である。絶賛絶版中の『ヘルメス文書』の訳がない今、選集Ⅰの『ポイマンドレース』だけはこの本にも全訳が載っている。でも絶版中の『ヘルメス文書』のすばらしすぎる訳注がない。凄く惜しい…。

2010-07-14 20:01:59
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

言ってるそばから自分で入れた『ポイマンドレス』の引用のレスが来たw RT @Agathoudaimon: @Abraxas_Aeon 確かに光を知解し、これを認識するように。

2010-07-14 20:06:42
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ヘルメス:本来はギリシア神話で活躍する神の一人であるが、ヘルメス文書で語られるヘルメスは、エジプト化されたものである。ヘルメス文書中においてこの神は、ヘルメス・トリスメギストス(三重に偉大なるヘルメス)とか単にトリスメギストスと呼ばれることが多い。

2010-11-01 22:23:19
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ヘルメス・トリスメギストスという呼び方はギリシャ名だが、発掘された資料(陶片、パピルス、碑文、壺)が証言しているように、エジプト起源の呼称であると考えられている。このヘルメス・トリスメギストスという名は、正式の名称である「ヘルメス・トート」のあだ名として愛用された。

2010-11-01 22:32:22
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

「ヘルメス・トート」とは、文字通り、ギリシャのヘルメス神とエジプトのトート神が結合した合成神。どちらも本来共に言葉と学問の神であり、ヘレニズム時代に入ってから広い範囲で両神の等置が認められる。ヘルメス文書はほとんど全て知識(認識)の伝授・教示として書かれている。

2010-11-01 22:42:19
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ヘルメス文書の大量の作品群が扱っているテーマは広い範囲にわたり、簡略な分類でも哲学、宗教、占星術、博物学、錬金術、魔術、歴史などが挙げられる-個々の作品についてみればもちろん、複数の主題にまたがっている例がほとんどである。(柴田有)

2010-11-01 22:56:15
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

【グノーシスと古代宇宙論】古代ヘレニズム思想研究者柴田有が、荒井献とヘルメス文書の共訳業の後に訣別し、独自に練り上げたグノーシス論。彼のグノーシス観は、ヘルメス... http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8392975 #bookmeter

2010-11-10 21:49:39
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

【ヘルメス文書 (1980年)】何度読んでも面白い!ヘルメス文書はルネッサンスに大きな役割を果たしており、パラケルススやアグリッパといった、錬金術師たちや魔道師... http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8400751 #bookmeter

2010-11-11 00:39:15